メキシコペソ 9月3週目 コロナとインフレは根強い模様

今週、ドルペソ17.20~40あたりで、日銀の為替介入があればと期待していました。この2つがそろえば今年一番の買い場とリキを入れていたのですが、結果は介入なしでドルペソが17.00へ戻っていきチャンス到来はなくなりました。

個人的に、今の円安はそろそろやばいと思います。民主党時代の円高を製造業潰しと一方的に「悪」というひともちらほらいますが、あのとき商社は海外の資源利権、製薬は特許の爆買い、銀行も海外融資増大と今の土台を強化したと良い面もあったと思います。円安はその逆で、知財は買いたたかれ、下請け工場の低賃金労働者として生きていく未来が目に浮かびます。また物価高による消費の冷え込みから内需縮小を招く以外にもいろいろ副作用があるように思います。

経済パッケージ2024

メキシコ財務省と産業会議所連合(Concamin) は次年度の産業政策である経済パッケージ2024(Paquete Económico 2024)を発表しました。
序章の要点は以下の4点
・社会開発投資はGDPの12.8%、前例のない水準を達成
・堅調な労働市場、消費・投資水準の上昇、世界貿易への積極的な参加により経済成長率は2.5~3.5%と推定
・脱税対策、納税の効率化により税収の安定
・GDPに占める負債割合が安定的持続可能なレベルにとどまること

追記すると
この報告書はメキシコ政府の財政、税収、収支バランス、メキシコ原油の説明がほとんどですが、USMCA関係強化による経済的利益と中小企業への優遇融資政策については力を入れていたように思います。
経済パッケージ2024で来年の歳入歳出の差は1.7兆ペソを見込まれ公的債務がGDPの48.8%まで増加すると明言しているのですが、長期的視点では強気すぎないかと疑問に思います。

FX的に重要な点は以下の点だと思います。

個人的な感想ですが、政府もメキシコ中銀も11.3%(11.25%)と現状維持を予測しているので、年内利下げはなくなったと思います。またメキシコ中銀は24年末政策金利を8.5%と予想しているので財務省の9.5%は利下げ幅は少ない様に思います。金利差によるスワップ益は減少するものの来年末まで続きそうです。ドルペソのレートは、投資が集まってきている今の状況と、USMCA経済統合による物価が均一化で、ペソ高方向になると思うので17.0はさばを読みすぎのように感じます。

ちなみに去年の経済パッケージ2023の予測です

米国CPI

今週、8月の米国CPIの発表がありました。

米国のインフレは若干悪くなっていますが、来週のFOMCで利上げを決定するほどではない様な気がします。しかしながら、最近の原油高で来月以降は年間インフレ率上昇が予想されるので、次々回のFOMCで利上げがあるのかもしれないと漠然と思っています。日銀の為替介入がそろそろあるかもしれませんが、結局今の円安をひっくりかえす要因もないのでジワジワ円安が続くと考えています。

また最近、アメリカが利上げすれば相対的にペソとの金利差がなくなりキャリートレードが解消されペソ安方向になるとの意見を目にします。しかし個人的には、利上げ発表時に一瞬ペソ安になるかもしれないですが、長い目で見れば投資流入や送金の勢いでペソ高は変わらないと思います。

銀行は記録的な利益を更新中

メキシコの銀行グループ1~7月の収益は1572億ペソで、昨年1295億ペソから見て21%増益でした。一昨年の収益が957億ペソで去年も36%の増益と絶好調です。コロナ開けの産業再開、メキシコへの投資拡大、インフレによる政策金利上昇で、不動産やハイリスク商品で失敗しない限りは増収増益の美味しい状況と思います。
これを日本に当てはめると大銀行の去年夏頃の株価は
・三菱ufj ・・・ 650円ぐらい 
・三井住友F ・・・ 3800円ぐらい
・みずほ ・・・ 1500円ぐらい

今の株価は
・三菱ufj ・・・ 1300円ぐらいで去年の2倍 
・三井住友F ・・・ 7500円ぐらいで去年の 2倍
・みずほ ・・・ 2600円ぐらいで去年の 1.7倍
とまだ利上げ前にもかかわらず順調。日銀が利上げすれば収益がステップアップする確率が高く、株のプロならここで追撃すると思うのですが・・・どうなんでしょうか?

トピック

通貨:
先週17.60から週末は17.08
米国インフレ率上昇とペソ売りの反動でペソが買われる
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.85と予測
フィッチは年末ドルペソを16.40に達すると予測
パリバは2024年末のドルペソレートを16.50と予測

メキシコ株:
週末株価は53.3から51.7
2023年末の株価楽観値は61、目標は60へ上方修正

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は9月28日
年末目標金利は11.25%
8月10日の政策金利会合は利上げなし
アナリスト35人調査では利下げは2024年2月が有力

財務省は2024年財政赤字が石油収入減少によりGDP比5.4%、1.7兆ペソと過去最悪を予想
2024年末の公的債務はGDPの48.8%を予想(日本は対GDP比184%)
年金支出は14年で4倍
INEGI:第2四半期のGDPは年率3.6%成長と発表

メキシコ年末経済成長率予想
3.5%・・・パリバ
3.4%・・・XP、JPモルガン
3.3%・・・ムーディーズ
3.2%・・・バークレイズ、BoA
3.1%・・・シティ、フィッチ
3.0%・・・メキシコ財務省、メキシコ中銀

金融:
CBM(旧Deutsche Bank México)がCitibanamexを吸収
7月までの銀行利益が1572億ペソ、前年同期21.4%増加

消費者物価指数:
8月の年間インフレ率は4.64%、前月4.79%より0.15改善
8月の年間コアインフレ率は6.08%、前月6.64%より0.52改善
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想
JPモルガンは年末年間インフレ率を4.3%、これ以上鈍化しないと予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 7月:-8億ドル、6月:-14.2億ドル、5月:-0.7億ドル
輸入額 7月:484億ドル、6月:511億ドル、5月:529億ドル 
輸出額 7月:476億ドル、6月:497億ドル、5月:529億ドル
7月の輸出も自動車製造業が牽引も石油関係が大幅減少
経常収支が3四半期ぶりに黒字、送金による2次所得が堅調

7月送金額は56.5億ドル 前年同月比6.6%増加
今年の送金額累計は359億ドルで前年同時期より9.4%増加
送金による購買力はドル安ペソ高で16%減少

小売り売上:
ANTADの9月までの累計売上は9701億ペソ、前年同期比11%増加
BBVA:8月の消費は前月比0.3%減少
8月の消費者信頼感指数は46.7、前月比0.4、12ヶ月前より右肩上がり
6月個人消費指数は108.19。輸入製品は20%増加

雇用・失業率:
7月失業率は2.9%、前月より0.2%悪化
第2四半期の労働人口は6020万人、前年同期より110万人増加

製造業・自動車:
工場移転などにより来年の鉄鋼需要は2.6%増加見込み
8月自動車生産台数は32.5万台、前月より3.1万台、10%増加、前年同月比は1%増加
8月国内自動車販売数は11.3万台、今年累計は85.7万台で前年同期69.4万台と比べ23.8%増加
7月製造業活動指数は105.2、前年同月比は0.2%増加
6月の製造業受注は53.8で35ヶ月連続50越え
5月の経済活動は前年同月比4.3%も前月比は0%
6月の景況感は前年同月比53.6%で好況を維持
6月総固定投資は年次28.8%、月次では3.1%で過去最高

鉱業:

食品:
ベーシックバスケットは年初より3.4%増加
熱波で果物野菜価格が上昇

エネルギー:
メキシコバスケットは83.27から85.24
メキシコバスケットは10ヶ月ぶりの高値更新

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
コスタリカはUSMCA加入を希望

USMCA以外:
EUは資源確保のためメキシコとの貿易協定を推進

観光業:
外国人観光客の訪問者数は7.7%増加も外貨収入は25億ドルで年間2.3%減少
米国連邦航空局からカテゴリー1を回復


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