メキシコペソ 8月1週目 米国格下げでメキシコペソはとばっちり

米国信用格下げ

フィッチの米国信用の格下げから相場は荒れまくりで、月曜日に少しだけおこづかい稼いで逃げたのが幸いでした。
この騒動で、ドルペソが16.7から17.4までまれに見る急落。普通に考えれば17.0から割れることはないと思っていたので結構ビックリでした。ドルペソはペソ高の方に戻っていくと予想しますが、ドル建てでドルペソをショートできないのが残念です。自分の知っている範囲の日本では最終的にその時点のドル円レートでの強制円決済になってしまうので手が出せません。
ドル円は経済イベントの結果とドル円の動きが連動しているようには思えなく、140~145円のレンジなのかと思いつつも、触らない方が良いのかと思っています。今は日本株が回復するのかどうかが気になります。

南米は利下げ開始

8月2日、ブラジル中央銀行は政策金利を0.50ポイント引下げ13.25%としました。

ブラジルのことはよく分かりませんが、インフレの起点は2020年4月頃、政策金利引き上げは2021年1月からのようです。6月には年間インフレ率が3.16%まで下がっているとのこと、そして今年の経済成長率も2.24%と好況予想しており、結果この決断に至ったようです。
チリも同様に、政策金利を1.00ポイント、10.25%に利下げを行いましたが、ブラジルとは反対に経済低迷の配慮とのことでした。

メキシコは来週10日政策金利会合ですが、ほぼ金利据置と予想されています。その結果としてドルペソの相場が動くことはないでしょう。インフレは鈍化も物価高は未だに根強く、経済も過熱気味なので今利下げは考えられません。ジョナサンヒース中銀副総裁の示唆した11月利下げも怪しい気がしてきました。

農作物の輸出は10年間で倍増

「公式データによれば、この10年間でメキシコの海外における農業食品の売上高は2倍以上に増加した。その結果、同国は世界のトップ10に入る食品輸出大国になった。対照的に、同国では500万人近くの食糧難の人々がいる。」(農業市場諮問グループ Grupo Consultor de Mercados Agrícolas)

メキシコの農作物販売額は533億ドル、このうち輸出されるのが225億ドルになるそうです。輸出される品目はビール(60億ドル)、テキーラ(44億ドル)、アボガド(33億ドル)、肉(30億ドル)、ベリー(30億ドル)、トマト(30億ドル)と続きます。普通に資本主義の論理で言えば「高く売れるものをつくる」のが正義なので、その分単価の安いトウモロコシは放棄されました。結果、主食であるトウモロコシは輸入が多くなり、不作のたびに価格統制不可能な高騰して庶民の家計を直撃しています。
インフレ対策でAMLOは補助金でトウモロコシ生産を奨励しましたが、必要な補助金の額とUSMCAの貿易ルールを考えると良い解決策は難しそうです。トウモロコシを品質向上しても、粉にしてトルティーヤをつくるのが主流なので意味なさそうです。日本人の国産米信仰はリスク状態のときには最強の安全弁かもしれません。

トピック

通貨:
先週16.67から週末は17.08
米国信用格下げのとばっちりでペソ暴落
BBVAは年末ドルペソレートを0.5%の利下げ込みで18.50へ修正
パリバは2024年末のドルペソレートを16.50と予測
シティは年末ドルペソレートを18.30から17.70へ修正
フィッチはドルペソは16.40に達すると予測

メキシコ株:
週末株価は53.5から53.9
2023年末の株価楽観値は61、目標は60へ上方修正

メキシコ中銀:
現在11.25%:次回の政策金利は8月10日
6月22日の政策金利会合は利上げなし
年末目標金利は11.25%
メキシコ中銀副総裁は11月に利下げの可能性を示唆
IMFの経済成長率予測2.6%にメキシコ政府は3%越えを宣言
7月までの税収は2.6兆ペソ、前年同期2.3兆ペソから0.3兆ペソ増収

金融:
5月までの銀行利益が1140億ペソ、年々同期25%上昇
5月までの銀行の投資総額は3.2兆ペソ、前年同期の2.3兆ペソから増加
投資利益は1021億ペソで前年同期50%以上増加

消費者物価指数:
6月の年間インフレ率は5.06%、前月5.89%より0.83改善
6月のコアインフレ率は6.89%、前月7.39%より0.50改善
7月中間の年間インフレ率は4.79%
7月中間の年間コアインフレ率は6.76%
6月の消費者信頼感は45.2で前月より1.1増加

貿易収支・経常収支:
貿易収支 6月:-14.2億ドル、5月:-0.7億ドル、4月:-15.1億ドル
輸入額 6月:511億ドル、5月:529億ドル、4月:477億ドル 
輸出額 6月:497億ドル、5月:529億ドル、4月:462億ドル
6月の輸出は自動車製造業が牽引も石油関係が大幅減少

6月送金額は55億ドル 前年同月比8.3%増加も前月より2億ドル減少
今年の送金額累計は302億ドルで前年同時期より9.9%増加

小売り売上:
ANTADの5月売上は前月比0.4% 消費は鈍化
USB:個人消費を前年4.8%から3.1%へ鈍化すると予測
INEGI:5月の個人消費は前年同月比3.5%増加、前月比は0.1%減少

雇用・失業率:
6月失業率は2.7%、前月より0.2%良好
6月に創出された雇用50万件のうち95%以上が非正規雇用

製造業・自動車:
7月自動車生産台数は29.4万台、前月より3.7万台、11%減少、
 前年同月比は31%増加
6月の製造業受注は53.8で35ヶ月連続50越え
5月の経済活動は前年同月比4.3%も前月比は0%
6月の景況感は前年同月比53.6%で好況を維持
5月の倉庫低投資は前月比4.5%増加、年次変動は15.1%増加
 特に工場団地含む非住宅建設が9.7%増加

鉱業:

食品:
食肉貿易収支が前年前期7.1億ドル赤字から12.7億ドル赤字と悪化
ベーシックバスケットは年初より3.4%増加
メキシコ国内のイエローコーン生産が停滞、輸入額は過去最大

エネルギー:
メキシコバスケットは75.01から77.77
サウジ、ロシアなどの原油減産後に価格高騰
原子力発電所建設をAMLOは拒否
高温で天然ガス輸入が急増

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
アメリカ、カナダともに遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコ政令の延期を要請

USMCA以外:
ボリビアは決済通貨に中国元の比率を増加

観光業:
国内旅行は前年同時期に比べ17.8%増
低中所得者の国内旅行が観光業を促進
第1四半期観光業のGDPは前年同期比8.4%増加

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