メキシコペソ 6月5週目 オオカミ少年の口先介入

ペソ下落も落ち着いてきたので、トランプ爆誕までの短期目線でペソ円をエントリーしようと思うもドル円160円付近。エントリーしてすぐに介入があるのは嫌すぎると機会をうかがうも空振りでした。正直、日銀が利上げしても円安の流れは止まりそうにありません。介入があればエントリーしたいと思いますが、今一番やってはならないことは介入狙いのショートかと思っています。

新政権火消し中

ラミレス・デ・ラ・オ財務長官、彼はAMLO政権からの留任で特にコロナ期の財務運営は高く評価されています。現在彼はAMLO政権下でも秩序ある財務運営を行ってきたこと、今後司法改革しても2025年末には赤字をGDPの3%以内に抑えることを至る所で力説しているようです。
シェインバウム氏も年金改革、司法改革やPEMEX支援についてはAMLOを継承するといいながらも、SDGsやフェミニズムを表にすることなく経済安定に努めていることは今の時点では好感を持っています。

投機的にはAMLO政権の不安が一気にでて混乱していますが、今年四半期に、海外直接投資が203億ドル、送金195億ドル、観光収入125億ドル、石油92億ドルとドル→ペソ換金につながる実需要は旺盛で順調に成長しています。
特に海外直接投資が多いことは未来に対してポジティブなことで、ドルペソは今は調整段階で、上目線が正解だと思っています。

インフレ再燃中

6月中間のCPIが発表されましたが年間インフレ率4.78%で5月末4.69%から上昇しました。特に農作物が8.12%から8.99%、どんなものかよく分からないのですが、チャヨテ(翻訳ではハヤトウリ)が80%、オレンジが20%、バナナが11%と激上げしています。反面、ブドウ22%、トマト12%と下がっているのもあるようです。庶民生活を直撃する生鮮食品とエネルギー込みのノンコアインフレ率は6.73%と前月0.34%上昇しています。
反対に年間コアインフレ率は4.17%と順調に右肩下がりですが、サービスは0.14%、商品0.19%と若干上がっています。

個人的には熱波の不作が原因なので、天候さえ正常化すればすぐにディスインフレプロセスに戻ると思います。当面は高スワップが続きペソがそれほど下落しなければおいしい感じです。

政策金利会合

28日の政策金利会合は4:1で金利据置と言うことになりました。反対は景気回復優先のメヒア副総裁なので予想通りです。しかしながら声明内容は以前とは全然異なるもので、想定される以上の経済低迷により、抑制し続けた金融政策がインフレに及ぼす影響を検討することになると今後は利下げ議論に前向きになるとのことでした。
現在、熱波、気候に起因する野菜果実不作からインフレが再燃していますが、コア指数自体はゆるやかに下落しているのでインフレの根は浅くなったと思います。次回8月8日夏季に不作で困っている生鮮食料価格が下落する可能性は非常に少なく、ノンコアインフレ率の高止まりから利下げ議論すら不可能が予想されるので、利下げは早くても次々回9月27日になると思います。そのときはインフレよりも経済成長率と為替相場が議論の主流になると思われますが、それ以外にもメキシコ新政権運営、アメリカ大統領選、地政学的紛争と予想が困難です。

最近利下げ期待のアナリストですら、利下げは9月12月の2回、年末政策金利は10.50%の意見が優勢になってきました。

トピック

通貨:
先週18.11から週末は18.34
司法改革の不安とメキシコ中銀の政策金利会合待ちでペソは売られる

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.80

メキシコ株:
週末株価は52.7から52.4

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は8月8日
6月28日の政策金利会合は4:1で金利据置

メキシコ中銀:次回から利下げ議論を前向きに行う
アナリスト予測では利下げ9月12月の2回、年末政策金利10.50%が優勢想

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.5%・・・OECD
2.4%・・・IMF
2.3%・・・メキシコ中銀、ムーディーズ、世界銀行
1.9%・・・シティ
1.8%・・・モルガン、BoA

金融:
第一四半期の総利益は693億ペソで4年ぶりで前年同期比より減少
4月までの総利益は934億ドル、前年同期926億ドルと比べ増加も実質レベルでは減少
ペソ暴落で引当金増加が利益を圧迫

消費者物価指数:
5月の年間インフレ率は4.69%、前月4.65%より0.04悪化
5月の年間コアインフレ率は4.21%、前月4.37%より0.16改善
6月中間の年間インフレ率は4.78%
6月中間の年間コアインフレ率は4.17%
農産物価格が5月後半8.12%から8.99%へ上昇

貿易収支・経常収支:
2024年度貿易収支は累計64.5億ドルの赤字
貿易収支 4月:-37.5億ドル、3月:21.0億ドル、2月:-5.8億ドル
輸入額 4月:550.7億ドル、3月:486.5億ドル、2月:513.1億ドル
輸出額 4月:513.1億ドル、3月:507.5億ドル、2月:507.2億ドル

4月送金額は54.2億ドル ドルベースでは47ヶ月連続増加
1~4月累計は195.5億ドル 前年同期189.8億ドルと比べ1%増加

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
INEGI:4月の小売り売上は前月比0.5%増加
BBVA:消費は2ヶ月減退後、5月は2.7%増加
5月の消費者信頼感指数は46.7で前月より0.5悪化

雇用・失業率:
INEGI:4月失業率は2.6%
INEGI:第1四半期の失業率は過去最低更新の2.5%
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
5月の輸出台数は31.1万台で年間累積142.6万台で前年同期比12.3%増加
5月の生産台数は36.6万台で年間累積165.2万台で前年同期比5.5%増加
自動車産業は2023年の生産台数370万台から2024年400万(韓国、ドイツレベル)以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定
4月の景況感は前年同月比54.2%で好況を維持

食品:
6月初旬、今年3度目の熱波により農作物不作懸念

エネルギー:

メキシコバスケットは76.47から76.63
アメリカ原油備蓄が予想以上で投機筋と綱引き状態

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アボガド対米輸出が再開

USMCA以外:
ソノラ・リチウム利権国有化で中国が提訴
履き物のアンチダンピングで中国製を検証


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