メキシコペソ 7月1週目 コパまさかの予選落ち

投資に関係ないのですが、サッカーのコパアメリカ、メキシコまさかの予選落ち。日本の上位互換だと思っていただけに残念です。でている人、ヒメネスぐらいしかわからなくって、ロサーノとかエレーラってどこいったんだろうって感じです。サッカー追っているわけではないので有名どころぐらいしか知りませんが、ワールドカップ北米3国開催には間に合って欲しいと思います。

メキシコは今政治的には経済優先ですすんでいるようです。経済指標では、2.6%の低失業率、税金の増収、総固定資産投資の伸び、高いインバウンドと送金収入とポジティブな点は多いのですが、経済成長率が2.0%前後と下方修正されているのは気になります。まだまだ何が飛び出すか分かりませんが、個人的にはドルペソ17.50ぐらいで安定して欲しいと思っています。

ドル円は160円超えたところで推移、もし為替介入があるとすれば164円ぐらいなのかもしれません。最近、円安軽視の経済専門家が増えた気がしますが、個人的には反対です。研究開発には設備、特許、製品化とどうしてもお金がかかるし、円安になれば円ベースで投資額が下がってしまうので競争上不利です。日本を失業率の少ない低賃金・製造・低付加価値で運営しようと考えているなら円安の方がいいのかもしれませんが、研究開発や投資、多少の失業率は目をつぶっても高賃金・専門・高付加価値で運営するなら円安はどうかと思います。昭和の時代は先進国、欧米日の世界だけ考えていれば良かったのかもしれませんが、無駄にグローバル化しただけに日本人の水準は下がるしかないのでしょうか?

AMLOも利下げ慎重

今週、上半期メキシコの税収が前年同期 2500億ペソ増収で6.1%増加の2兆5200億ペソと発表。また憲法28条、免税廃止の改正で、これまで富裕層から徴税されなかった3000億ペソを徴収する見通しがたったこと、弱者保護による社会保障費で膨らんだ予算も、財政健全化に向けて道筋も立っていると定例会でAMLOは自画自賛していました。

また、「現在本当に金利を下げ、信用コストを下げ、経済成長を高めたいが、インフレは弱者大衆に大きなダメージを与えるので十分コントロールしなければならない」と安易な利下げには懸念を表明しました。

今週、FRBのパウエル議長が「利下げの前により良性のインフレデータが必要」と発言しましたが、メキシコ中銀のヒース副総裁も同様に、金融政策の慎重な運営を継続することが重要と安易な利下げに対する懸念を表明しました。去年と比べても経済成長と政策金利のバランスの取り方が複雑になっているよう思います。

クリーンエネルギーは日本

円安の話題以外で珍しく日本の記事がありました。今週、JETROとCOPARMEX (la Confederación Patronal de la República Mexicana メキシコ経営者連盟?)の会合にエブラルド次期経済長官が参加して日本との協力関係について演説したようです。

基本的にはクリーンエネルギーに対するメキシコへの投資促進なのですが、その中で
El extitular de Relaciones Exteriores reafirmó el deseo de la próxima administración federal de continuar fortaleciendo la relación con Japón, “siempre de respeto”, e identificó a la electromovilidad y el nitrógeno como las principales vías de acción bilateral.
とありました。次期政権も変わらず敬意をもって対日関係を維持すること、そして la electromovilidad(電気自動車の部品、車載搭載チップ)とel nitrógeno(窒素)をキーワードに挙げてきました。クリーンエネルギーなのに el carbón(炭素)でなくel nitrógeno(窒素) 、半導体は水と電気が圧倒的に不足しているメキシコでは非常に厳しいのでちょっとイメージがわきません。もう少し前後の発言が知りたいところです。

個人的には投資環境の整備よりも、治安、安全確保の方が重要だと思います。

中国自動車メーカー誘致

メキシコの年間小型車総販売数は140万台ぐらいで、今年に入ってから電気自動車の販売数はだいたい月間2000台程度です。政府的には電気自動車を推進したいようですが充電設備は全然普及していません。

中国BYDが雇用者数1万人程度のメキシコ工場建設を計画し、年間5万台を販売目標としているのですが、やっと候補地を3州に絞ったとのことです。ちなみに去年テスラが大々的に工場進出を表明したにもかかわらず全く着手していないこととは対照的ですが、テスラ以上に茨の道を歩くことになりそうです。

INEGIの自動車販売からですが、これに存在する中国メーカーはMG MOTORS(中国汽車、ローバーとか)が唯一で、今年1~5月までの総販売数58.5万台中2万台程度、ホームページを見る限りは中国で生産しているようです。

個人的に、メキシコを経由したアメリカへの迂回自動車販売は、数が少なすぎてイメージがわきません。昔テスラとメルセデスが中国製造の車をメキシコ経由でアメリカへ持って行って大問題になったことがありますが、これを指しているなら本質が違うと思います。
メキシコの立場では輸出の70~80%はアメリカ向け、もしアメリカから警告を受ければ躊躇なく中国を切り捨てると思います。中国と蜜月という意見には疑問です。

トピック

通貨:
先週18.34から週末は18.11
米国金利上昇よりペソ売りになるもその後落ち着く

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.80

メキシコ株:
週末株価は52.4から52.7

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は8月8日
6月28日の政策金利会合は4:1で金利据置

メキシコ中銀:次回から利下げ議論を前向きに行う
アナリスト予測では利下げ9月12月の2回、年末政策金利10.50%が優勢想
ヒース副総裁:利下げ前に良質のインフレデータが必要
AMLO:安易な利下げには反対

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.5%・・・OECD
2.4%・・・IMF
2.3%・・・メキシコ中銀、ムーディーズ、世界銀行
1.9%・・・シティ
1.8%・・・モルガン、BoA

金融:
第一四半期の総利益は693億ペソで4年ぶりで前年同期比より減少
4月までの総利益は934億ドル、前年同期926億ドルと比べ増加も実質レベルでは減少

消費者物価指数:
5月の年間インフレ率は4.69%、前月4.65%より0.04悪化
5月の年間コアインフレ率は4.21%、前月4.37%より0.16改善
6月中間の年間インフレ率は4.78%
6月中間の年間コアインフレ率は4.17%
農産物価格が5月後半8.12%から8.99%へ上昇

貿易収支・経常収支:
2024年度貿易収支は累計44.6億ドルの赤字
貿易収支 5月:19.9億ドル、4月:-37.5億ドル、3月:21.0億ドル
輸入額 5月:536.8億ドル、4月:550.7億ドル、3月:486.5億ドル
輸出額 5月:556.7億ドル、4月:513.1億ドル、3月:507.5億ドル

BBVAは2024年の送金総額を前年633億ドル割れすると予想
5月送金額は56.2億ドル 送金額は鈍化
1~5月累計は251.3億ドル 前年同期246.6億ドルと比べ1.9%増加

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
INEGI:4月の小売り売上は前月比0.5%増加
BBVA:消費は2ヶ月減退後、5月は2.7%増加
5月の消費者信頼感指数は46.7で前月より0.5悪化

雇用・失業率:
INEGI:5月失業率は2.6%

製造業・自動車:
5月の輸出台数は31.1万台で年間累積142.6万台で前年同期比12.3%増加
5月の生産台数は36.6万台で年間累積165.2万台で前年同期比5.5%増加
自動車産業は2023年の生産台数370万台から2024年400万(韓国、ドイツレベル)以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

6月の総固定投資は年次18.1%で順調
6月の景況感は前年同月比53.0%で好況を維持

食品:
6月初旬、今年3度目の熱波により農作物不作懸念

エネルギー:

メキシコバスケットは76.63から78.29
中東の緊張から上昇

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
中国車問題で協議中

USMCA以外:
ソノラ・リチウム利権国有化で中国が提訴
履き物のアンチダンピングで中国製を検証


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