メキシコペソ 2月2週目 コアインフレと総合インフレが逆転

3ヶ月ぐらい前は148円で為替介入が入ると思っていた時期がありました。今は株価上昇、企業決算も良好で日銀は何もしないかもしれません。3月20日のFOMCまで、有事か第2次地銀の金融危機がなければ、特にドル安円高への転換はなさそうです。

来週の米国消費者物価でCPIが上がっていればドル円150円突破で152円を目指すかもしれません。個人的には行き過ぎ感が強く、反動が怖く手を出しにくいです。特にメキシコペソに関しては一旦下がるのを待たないと火傷するかもしれません。今は少額 ・短期トレードで安全第一が大事だと思います。

インフレの見方は難しい

フィナンシャリオ誌のヘッドラインよると「インフレ率は1月より​​急勾配:2024年初めには4.88%に加速。メキシコのインフレは3カ月間加速しており、1月の数字は2023年6月の年率5.06%以来の高水準となった。」とのことです。
消費者物価指数の要点は以下の通りです。
1.年間インフレ率は前月4.66%から4.88%へ悪化
2.年間コアインフレ率は前月5.09%から4.76%へ改善
3.農産物は前月から9.75%の大幅増加、特に野菜果物が21%増加
4.サービスは前月5.33%から5.25%と若干改善も高止まり

正直、コアインフレとインフレが逆転するとは思ってなかったです。またメキシコ中銀は年内インフレ予想を以下のように修正しました。(インフレ目標は3.0%です。)

第1四半期 4.3% → 4.7%
第2四半期 4.1% → 4.3%
第3四半期 3.8% → 3.9%
第4四半期 3.5% → 3.5%
(注:民間機関は概ね年末インフレ率を4.0%ぐらいと予想)

ディスインフレのプロセスは続くと言いながらも、引き続きインフレのリスク要因として、高水準のインフレ基調、為替レート、コスト圧力の増大、好調な経済、気候、紛争激化を挙げています。

政策金利は据置

同日の政策金利会合では全員一致で据置になりましたが、次回2つの考え方でどっちに行くか難しそうです。

・利下げ論
コアインフレ率は順当に下がってきており、今回インフレ率上昇に寄与したのは野菜果物で穀物は安定。インフレは落ち着く可能性が高い。12月にブラジルも利下げ開始しているが特に混乱なし。そもそも政策金利11.25%は高すぎなので3月に利下げを開始して、予定通り連続利下げで年末金利9.5%を目指す。

・据置論
コアは落ち着いても、賃上げの影響もありサービス価格は高止まり。穀物以外の食糧が牽引してインフレ率も上昇中でその他リスク要因も多い。ウクライナ、イスラエルで紛争が終わりそうもなく、世界的なインフレ再燃の懸念あり。慌てて利下げする必要もないので、今はとりあえず様子見。

個人的には、今までのメキシコ中銀の姿勢から見て、3月のインフレ率が大幅に改善して、3月20日にFRBが利下げをしない限り、次回3月21日のメキシコ政策金利会合は据置だと思います。

来週の米国消費者物価

と予想されていますが、メキシコ農産物価格の上昇はアメリカともリンクすると思われるので、インフレ率は3.4%から0.1~2%ぐらい上がる気がします。賃上げの影響でサービス価格も高止まりすると思います。
3月の政策金利会合は
 20日 アメリカ
 21日 メキシコ
なのですが、3月12日発表の米国消費者物価でインフレ率がよほど下がれば3月利下げの可能性もあると思いますが、かなり低い気がします。ただし、コアインフレは鈍化しているので、見方によっては不気味です。

野党候補者AMLO外交批判

日頃はメキシコの政治と犯罪のことは目にしないことにしていますが、野党統一候補のガルベス氏がワシントンでAMLO外交を「アメリカの同盟国でない」「ロシア中国へ媚びる」と批判したのですがとても気になりました。

この発言は、もしメキシコ人の多数がG7に入って西側先進国としての立場を欲しているなら当然と思いますが、今までのようにどっちつかずの立場で漁夫の利を得ようとするなら危険です。それでなくともニアショアリングでアメリカからの恩恵が増えるほど介入、同調を強要されることが増えると思います。

アメリカ大統領選挙の議題の一つにメキシコ不法移民があり、今週12月のAMLOとブリンケン国務長官の対談の続きをメキシコ代表団とバイデン大統領がワシントンでする予定です。これもアメリカから請求書を差し出されるのが関の山で、トランプ元大統領ならチアパスに国境の壁をつくってメキシコに流入する不法移民を取り締まれといってくるでしょう。
正直、北米とラテンアメリカ以外の外交、国際関係に興味を示さないAMLOの姿勢は秀逸だと思います。

トピック

通貨:
先週17.13から週末は17.09
米国利下げ時期の後退からドル安
メキシコ中銀は2024年のドルペソを18.53前後と予想
シティは2024年のドルペソを19.00前後と予想

メキシコ株:
週末株価は58.0から57.3
利確売りとメガケーブルの下落が影響

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は3月21日
2月8日の政策金利会合は全員一致で据置
年末金利予測は9.5%で1.75%、0.25%の利下げ7回分を予測
(メキシコ中銀の政策金利会合は年8回なので3月から毎回連続)
2023年の税収額は4.5兆ペソで前年同時期より0.7兆ペソ、12.3%増収

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.7%・・・IMF
2.5%・・・OECD
2.4%・・・メキシコ中銀
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
11月までの銀行利益が2367億ペソ、前年同期16.9%増加で過去最高を更新中
サンタンデール、BBVAは2023年度は過去最高益を記録

消費者物価指数:
1月の年間インフレ率は4.88%、前月4.66%より0.22悪化
1月の年間コアインフレ率は4.76%、前月5.09%より0.33改善

貿易収支・経常収支:
貿易収支 12月:42.4億ドル、11月:6.3億ドル、10月:-2.5億ドル
輸入額 12月:450.1億ドル、11月:496.2億ドル、10月:519.7億ドル
輸出額 12月:492.5億ドル、11月:502.5億ドル、10月:522.3億ドル
2023年度貿易収支は54.6億ドルの赤字、2022年度の268.8億ドル赤字と比べ80%縮小。

12月送金額は54.9億ドル 送金額累計は626.5億ドルで前年同時期より12.1%増加。過去最高と更新。

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの12月までの累計売上は1兆5367億ペソ、前年比の名目成長率は既存店ベースで5.2%、全店ベースで8.5%
12月の消費者信頼感指数は46.8、前月比0.4%減少

雇用・失業率:
INEGI:12月失業率は2.6%、2023年全体で平均2.8%、18年間で最低
12月末の就業者数は5915万人
年末の不完全雇用(週35時間未満労働でそれ以上の労働を希望する雇用者)は450万人で全体の7.6%
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ
AMLOはインフレ率以上に最低賃金を上昇するよう憲法改定を提案

製造業・自動車:
1月までの輸出台数は25.4万台で前年同期比6.8%増加も前月より9.9%減少
1月までの生産台数は30.7万台で前年同期比9.5%増加

1月の製造受注指標は50.5
INEGI:11月の鉱工業生産は8ヶ月上昇後の月次1.0%減少。前年比は3.0%増加
12月の景況感は前年同月比54.6%で好況を維持

食品:
世界的には肉と穀物は2021年2月以来の安値
メキシコ国内では野菜果物が急騰

エネルギー:
メキシコバスケットは69.17から71.50
紅海緊張とフーシ派基地爆撃で再び原油高傾向

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカーメキシコ間の鉄鋼アルミニウム貿易の透明性を協議
メキシコ経由の中国車輸出関税率にアメリカがクレーム
2023年対米貿易割合は、メキシコ15.7%、カナダ15.2%、中国11.3%
野党候補ガルベス氏がワシントンで現政権を中国ロシアに媚びていると批判

USMCA以外:
紅海、アメリカとイランが緊張悪化

観光業:
2023年第3四半期の観光業GDPは前年同期比2.8%増加

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