メキシコペソ 6月2週目 恐怖の大統領選後

おそらく一週間単位では最悪の下落だと思います。覚悟はしていましたが予想以上で、車買えるぐらいの額の含み益を吹っ飛ばしました。

なんとか致命傷で済んだニダ
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ただ、今が底かと言えばシェインバウム氏の施政方針がまだはっきりしないので、ペソ円ロングはそれを待ってからにした方が良いと思います。よほど狂ってない限りこの状況でこれ以上経済を冷やす発言はしない、経済あっての彼女の主張する環境改善、社会保障拡充と信じたいですが不安でいっぱいです。

大統領選終了の混乱

大統領選後のドルペソの流れは以下の通りでした。

1.シェインバウム政権への不安から大幅なペソ売り

2.ラミレス・デ・ラ・オ氏の財務長官無期限留任宣言でペソ下落沈静

彼が投資家に約束した内容は
・マクロ経済の安定
・財政の健全運営
・メキシコ中銀の自主性の尊重
・法の支配遵守
・民間投資促進

3.AMLOが9月に18項目の憲法改正案を採決すると発表

すぐさま予想される政治的混乱や財政悪化からペソが暴落

正直、ペソ下落は予想していました。ドルペソは18割らないぐらい、ペソ円は9円割れの8.8ぐらいまでは想定していました。結果はペソ円8.5は予想常以上の下げ幅。2.の流れまででは想定内ですが3.の改憲は「AMLO、空気読め!」といいたいです。AMLO政権誕生の時も左派政権不安もありましたが、経済が好調な今回の方がインパクト強いです。

憲法改正

6月7日朝の定例会でAMLOは、司法制度は「少数派の利益」に「乗っ取られている」ため、完全に改革する必要があると主張しました。汚職撲滅のため司法、立法、行政の各委員を選挙制にするとのことですが、現在でもそういう人が経済の鍵を握っていて、大統領6年やっても何もできなかったとか疑問です。(犯罪については言わずもがなですが・・・)メキシコの汚職や犯罪を突き詰めたところで私に理解することは不可能と思っていますが、経済的に上手くいって欲しいとしか言葉がありません。

改憲について以下はEL FINANCIEROの記事の抜粋です。
‘Plan C’: ¿Cuáles son las reformas constitucionales que Morena prometió y debilitaron al peso?
プランC:MORENAが約束し、ペソ安を招いた憲法改正とは?

第1は二重機能を持つ機関の廃止:
-国立透明性・情報アクセス・個人データ保護研究所(INAI)。
-連邦経済競争委員会(Cofece)。
-連邦電気通信研究所(IFT)。
-エネルギー規制委員会(CRE)
-国家炭化水素委員会(CNH)
-国家社会開発政策評価委員会(CONEVAL)
-国家教育継続改善委員会(Mejoredu)。
-ロペス・オブラドール政権が「自治」を疑問視しているもう18の自治組織。

第2は司法改革:
- 国家最高裁判所(SCJN)の閣僚の一般選挙。
-最高裁判所本部の閣僚を11人から9人に削減。
-連邦司法評議会を、最高裁判所から独立した司法管理機関と司法裁判所に置き換える。
-最高裁判所が一般的効力を持つ法律を停止することの禁止。
-財政問題の解決には最長半年、刑事問題の解決には最長1年の期限を設ける。
-2025年に最高裁判所裁判官を全員更新。

インフレ率上昇中で改善の見込み薄

INEGI(統計地理院)によると5月後半の年間インフレ率は4.69%と前回4.67%、2週間前の年間インフレ率が4.78%と考えると若干落ち着いてきています。ちなみにコアインフレ率は4.21%と高いながらも順調に下げ基調、サービスは5.22%と高止まり、ノンコアは前回8.47%から6.19%へ減少も、農作物は8.44%、野菜果物18.57%と高止まり。統計終了後の6月5日からメキシコシティ以南はまた45度の熱波で果物野菜価格がインフレ再上昇を牽引しそうです。

コアインフレ率は落ち着いてきているのと4.5%前後のインフレ率で11%の政策金利はさすがに高すぎとのことから利下げという判断も正しいかもしれませんが、エコノミストの利下げ予想もトーンダウンしています。

環境重視のシェインバウム氏が大きな予算をかけて気候変動、脱炭素に動くよりも、目先のインフレ沈下と財政規律を優先してくれることを祈るばかりです。

トピック

通貨:
先週17.04から週末は18.41
シェインバウム、MORENA圧勝、その後憲法改正発議でペソは歴史的大暴落

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・17.90 (18.20から下方修正)

メキシコ株:
週末株価は55.0から54.4
BMVは一時的に51.8まで暴落、選挙による失望売り

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は6月28日
5月10日の政策金利会合は全会一致で金利据置

次回政策金利会合の立場
 利下げ賛成:メヒア副総裁
 日和見的利下げ賛成:セハ総裁
 利下げ反対:エスピノーサ副総裁、ボルハ副総裁
 不明:ヒース副総裁
シティ:アナリスト36人中20人が6月の利下げを予想
熱波天候不良で食糧価格が不安定も、コアインフレ率は順調に下降中

ヒース副総裁:年末政策金利10.50%を容認(残り5回中2回の利下げ)
INEGI:2024年4月の経済成長率は0.3%増、年率で1.6%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.5%・・・OECD、BBVA
2.4%・・・IMF
2.3%・・・メキシコ中銀、ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
第一四半期の総利益は693億ペソで4年ぶりで前年同期比より減少
4月の消費者信用残高は1兆5,040億ペソ、前年同期と比べて13.9%増加

消費者物価指数:
5月の年間インフレ率は4.69%、前月4.65%より0.04悪化
5月の年間コアインフレ率は4.21%、前月4.37%より0.16改善
3度目の熱波で野菜果物価格が懸念

メキシコ中銀:年末年間インフレ率を3.6%と予測
シティ:年末インフレ率を4.21%から4.3%へ修正

貿易収支・経常収支:
2024年度貿易収支は累計64.5億ドルの赤字
貿易収支 4月:-37.5億ドル、3月:21.0億ドル、2月:-5.8億ドル
輸入額 4月:550.7億ドル、3月:486.5億ドル、2月:513.1億ドル
輸出額 4月:513.1億ドル、3月:507.5億ドル、2月:507.2億ドル

4月送金額は54.2億ドル ドルベースでは47ヶ月連続増加
1~4月累計は195.5億ドル 前年同期189.8億ドルと比べ1%増加

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
5月の消費者信頼感指数は46.7で前月より0.5悪化

雇用・失業率:
INEGI:4月失業率は2.6%
INEGI:第1四半期の失業率は過去最低更新の2.5%
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
5月の輸出台数は31.1万台で年間累積142.6万台で前年同期比12.3%増加
5月の生産台数は36.6万台で年間累積165.2万台で前年同期比5.5%増加
自動車産業は2023年の生産台数370万台から2024年400万(韓国、ドイツレベル)以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

4月の景況感は前年同月比54.2%で好況を維持

食品:
6月初旬、今年3度目の熱波により農作物不作懸念

エネルギー:

メキシコバスケットは72.46から70.46
ソノラの天然ガスをアジアへ売り込み

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴

USMCA以外:

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