メキシコペソ 9月5週目 米金利7%の可能性

今週もアメリカさん本当に振り回してくれました。
先週の国債金利上昇から、連邦政府封鎖の懸念、投資銀行大手JPモルガン(JPMorgan)のCEOが9月26日にブルームバーグに語ったところによると、世界経済はアメリカの金利が7%にも上昇し、スタグフレーションに陥るという最悪のシナリオに直面する準備ができていない可能性があると、マーケットを混乱させました。
おかげで円安はどうでもいいとして、全面株安、ドルペソも一時17.80ぐらいまで上昇と予想外に荒れました。来週もアメリカの政争で荒れるのかもしれません。

日本の円安も財務大臣等の口先介入頻度が上がりましたが、個人的に為替介入は148円ぐらいを怪しいと狙っていたのがスルーなので、今の状況では150円越えても重い腰を上げない気がしています。

個人的に一言言いたいのは、岸田政権は積極的な賃上げでインフレを乗り切ろうとしているようですが、円安で儲かっている企業があれば瀕死の企業もあるわけで、勝ち組負け組の差を大きくして社会不安を増長するだけだと思います。いっそ最低賃金を引き上げ、業者によっては歪な待機時間の解釈変更、それで存続不可能な企業は退場してもらい、根本的な生活価格を見直した方が論理的だと思います。

政策金利は予想通りの据置

28日の政策金利会合ですが、予想通りの全員一致で金利据置でした。
内容としては、
・第4四半期のインフレ率予想は4.6%から4.7%へ修正
・2024年第1四半期も3.7%の見通しから4.4%へ修正
・インフレ目標の3.0%到達は2025年上半期へ修正
メキシコ中銀の声明としては、総合インフレ率を3%目標に秩序正しく持続的に収束させるためには、政策金利を長期にわたって現行水準に維持することが必要であるとのことでした。

現時点で大方のアナリストは最初の利下げが2月に行われ、年末政策金利は9.25%で終了すると予想していますが、利下げは2024年下半期まで延びそう意見も出てきています。個人的には、「バイデン氏、ミシガン州の自動車組合労働者のストライキに参加」とストを煽り、賃上げ、サービス価格上昇、物価上昇のコンポの余波が来そうで高金利はなかなか終わりそうにないと思います。

メキシコ原油は不調

メキシコは産油国で原油価格上昇が即国益と思われがちですが、原油価格が60~100ドルの幅に収まらないと赤字と言われています。ちなみに、最も利益を上げているカデレイタ(Cadereyta)油田でバレル辺り12ドル、平均的にはバレル辺り8ドルの利益だそうです。
PEMEXとその提携会社による今年1月から8月までの平均原油生産量は日量160バレルで、前年同期比5.9%減少。1月から8月までの石油収入は年間ベースで25%減少とのことです。原因は事故多発によるとのことです。また、AMLO政権以来、国産化を推進して減少しているとは言えガソリン輸入量は日量48万バレルで高い水準のままです。

また、石油国産化について野党大統領候補者は民営化を主張しており、PEMEXの約1100億ドルの借金問題、財政負担問題も含め選挙の争点になりそうです。
単純にメキシコは産油国で原油価格の上昇はプラス材料とメキシコ投資を勧めるアナリストにはちょっと反発を感じます。

中国離れ?

今週、メキシコー中国関係で気になった記事が3つほどありました。今まで中国景気の影響と貿易不均衡ぐらいの話だったのが傾向が変わってきたのかもしれません。

・リチウム鉱床の利権取り消し
メキシコ政府は鉱山総局(DGM)を通じて、中国企業ガンフェン・リチウムに対してソノラリチウムプロジェクトにおける鉱床を含むリチウム採掘に関連する9件の利権を取り消しました。
問題のリチウム鉱床は、埋蔵量推定2.4億トン?あるらしいですが、取り消し理由は中国会社がメキシコの法律で要求される最低投資額を満たしていなかったというもので、中国会社は国際法に違反していると異議申し立てしているようです。

・電気自動車の優遇関税撤廃
メキシコは電気自動車工場の誘致に励んでいますが、普及率は1%ぐらいと非常に低いです。
将来メキシコ産電気自動車の販売推進するためには、中国産が無関税で入ってくると競争できないので関税優遇の撤廃の声が上がっています。実際に中国BYDもメキシコ工場進出を宣言していますが、テスラやGMなどのアメリカ系企業もメキシコ生産を表明しているので、いままで優遇関税していた方が違和感あります。

・工場団地倍増
Bancomext(国立貿易銀行?)は、中国で稼働する生産施設の2%を吸収するためには、現有する工場団地の面積を2倍にする必要があると表明しました。ニアショアリングで工場移転が促進される現在の状況で、メキシコ南東部テワンテペク地域へのさらなる工場用不動産開発の促進を狙ったものと思いますが、脱中国への舵取りは確固たるものなのかもしれません。

トピック

通貨:
先週17.21から週末は17.42
アメリカ金利上昇、世界的なドル高の影響から混乱
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.60と予測
フィッチは年末ドルペソを16.40に達すると予測
パリバは2024年末のドルペソレートを16.50と予測

メキシコ株:
週末株価は51.7から50.8
メキシコ証券取引所は年初から4.95%下落
2023年末の株価楽観値は61、目標は60へ上方修正

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は11月9日
年末目標金利は11.25%
9月28日の政策金利会合は金利据置
利下げは2024年2月が有力も8月頃まで延期説も

財務省は2024年財政赤字が石油収入減少によりGDP比5.4%、1.7兆ペソと過去最悪を予想
2024年末の公的債務はGDPの48.8%を予想(日本は対GDP比184%)

メキシコ年末経済成長率予想
3.5%・・・パリバ
3.4%・・・XP、JPモルガン
3.3%・・・ムーディーズ、OECD
3.2%・・・バークレイズ、BoA、シティ、BBVA
3.1%・・・フィッチ
3.0%・・・メキシコ財務省、メキシコ中銀

金融:
CBM(旧Deutsche Bank México)がCitibanamexを吸収
7月までの銀行利益が1572億ペソ、前年同期21.4%増加
7月までの銀行利息徴収は9000億ペソで前年同期6100億ペソより47%増加

消費者物価指数:
8月の年間インフレ率は4.64%、前月4.79%より0.15改善
8月の年間コアインフレ率は6.08%、前月6.64%より0.52改善
9月中間の年間インフレ率は4.44%
9月中間の年間コアインフレ率は5.78%
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 7月:-8億ドル、6月:-14.2億ドル、5月:-0.7億ドル
輸入額 7月:484億ドル、6月:511億ドル、5月:529億ドル 
輸出額 7月:476億ドル、6月:497億ドル、5月:529億ドル
7月の輸出も自動車製造業が牽引も石油関係が大幅減少
経常収支が3四半期ぶりに黒字、送金による2次所得が堅調

7月送金額は56.5億ドル 前年同月比6.6%増加
今年の送金額累計は359億ドルで前年同時期より9.4%増加
送金による購買力はドル安ペソ高で16%減少

小売り売上:
ANTADの9月までの累計売上は9701億ペソ、前年同期比11%増加
INEGI:7月の小売り売上は前月より0.2%増加
BBVA:8月の消費は前月比0.3%減少
8月の消費者信頼感指数は46.7、前月比0.4、12ヶ月前より右肩上がり

雇用・失業率:
INEGI:8月失業率は2.8%、前月より0.1%改善
8月の失業者数は前月より11.8万人減少

製造業・自動車:
工場移転などにより来年の鉄鋼需要は2.6%増加見込み
8月自動車生産台数は32.5万台、前月より3.1万台、10%増加、前年同月比は1%増加
8月国内自動車販売数は11.3万台、今年累計は85.7万台で前年同期69.4万台と比べ23.8%増加
7月製造業活動指数は105.2、前年同月比は0.2%増加
6月の製造業受注は53.8で35ヶ月連続50越え
6月の経済活動は前年同月比3.2%も前月比は0.2%増加
6月の景況感は前年同月比53.6%で好況を維持
6月総固定投資は年次28.8%、月次では3.1%で過去最高
第2四半期のメキシコ総需要供給は、前期より1.3%増加
建設会社の生産額はパンデミック前の2019年9月の水準まで回復

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは86.79から88.12
1月から8月までの石油収入は年間ベースで25%減少

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴

USMCA以外:
EUは資源確保のためメキシコとの貿易協定を推進

観光業:

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