メキシコペソ 12月3週目 ドル円までも殺人通貨

今週の米国消費者物価指数とFOMCですが、CPIは0.1ポイント悪化でFOMCは引き続き慎重姿勢、結果若干円安ドル高に振れると予想していました。そこで負けても痛くないくらいのロット数でロングしましたが久しぶりに撃沈。今年一年通してFXは成績今までで最悪。しかしながら株の含み益が増えたのでトータルは悪くなかったと感じています。本当FXはスワップだけで満足しておくべきでした。

FOMCでパウエル議長が来年の利下げに言及して国債金利低下とドル売りを誘発しましたが、実際に利下げしたわけでなく、来年政策金利が0.75%下がって、日銀がマイナス金利を放棄して日本国債が1.5%ぐらいまで上がったとしても3%ぐらいは金利差は存在。そして日本企業が好調な割に貿易黒字が増えず、政治混乱と国内消費低迷を考えれば簡単に円が浮揚するとは思えません。ネットでは円安の終焉、個人的にはドル円が125円ぐらいの方がボラティリティが下がってありがたいのですが、今のところはまだ円安目線かと思っています。

新築住宅の考察

データは mx.statista.comからです。

新築住宅の建築数ですが、2015年の30万戸をピークに右肩下がりで、今年は13.5万戸ぐらいです。ちなみに建設業自体は好調で、今年の雇用増加率8.8%とメキシコの雇用を牽引しています。しかし、これを総固定投資でみると非住宅投資は47.4%激増中でも住宅建設は3.9%減少。住宅着工数が減少しているのは
・金利が高くて買い控えている
・人手不足で住宅まで手が回らない
これのどちらが原因なのかはわかりません。

一方で、2022年の中古住宅とアパートをあわせた販売数は60万戸と新築住宅と違い2007年以降で最高の盛況のようです。
2023年第3四半期のデータになりますが、中古住宅の平均価格は100万ペソ、平均ローン金利は11.4%になるそうです。

私はメキシコ人の住宅の嗜好性がわかりませんし、地域差や都市農村差もあるので一概には言えません。個人的な想像ですが、新築着工件数が10年前の半分の水準にもかかわらず、インフレ以上に賃金上昇が起こり、アメリカ・カナダとの経済統合で景気が上向きの中で、普通に考えれば新築住宅購入需要が増大していないとおかしいです。何かのきっかけがあればバブルとは行かなくても住宅関係価格が相当値上がりする状況と思います。

政策金利は据置

14日にメキシコ中銀の政策金利会合がありましたが全会一致で金利据置で11.25%を維持することが決まりました。これ自体は事前に発表されていましたが、FRBみたいに利下げに言及することなく次の声明を出しました。
「メキシコ中銀は、同国においてディスインフレのプロセスが進んでいることを認識している。しかし、見通しは引き続き困難である。上記を踏まえ、すでに達成された金融スタンスと直面するショックの持続性を考慮し、総裁会は全メンバーの出席のもと、銀行間取引金利の目標を11.25%に維持することを全会一致で決定した」

個人的には、ウクライナやパレスチナで紛争が続く中、エネルギー価格が低迷気味なこと、鶏卵以外の食料は豊作ぎみで価格が安定していることの方が想定外です。経済は上昇中で、最低賃金は今年20%上昇、これから3年ぐらいは10%継続で上昇が見込まれ、利下げすれば確実に住宅需要増加で関連価格の上昇が考えられ、物価上昇サイクルは根強く、終わりが見えません。今の政策金利は高すぎるとは思っていますが、中銀メンバーにとって軽い言葉で利下げを語る状況ではないと思います。

日本の対メキシコ投資

先週メキシコ財務省の海外投資を見たところ、トップ10に日本が入ってなく違和感があったところ、今週日本大使館から発表があったようで、2023年が24億ドル、2024年が40億ドル程度メキシコに投資予定とのことでした。中でも、メキシコがインドと並んで日本に大きな関心を集めている目的地の一つであること、そして在留邦人の安全性向上に特別な配慮することを要求していました。累計投資額は多くとも、単年では韓国の60%になってしまったというのも寂しいです。

トピック

通貨:
先週17.35から週末は17.20
FRB発言に振り回される
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.60と予測

メキシコ株:
週末株価は54.2から55.1
アメリカの株高につられてメキシコ市場も上昇

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は2月8日
12月14日の政策金利会合は全員一致で据置
インフレ再発の懸念あり、シティは利下げは早くても3月21日と予測
外貨準備高が2056億ドルで1995年来の最高水準
メキシコ財務省、中銀は来年の成長率を2.1%から3%へ上方修正

メキシコ年末経済成長率予想
3.6%・・・JPモルガン
3.5%・・・ムーディーズ、パリバ、メキシコ財務省
3.4%・・・XP、シティ、ゴールドマンサックス、BBVA
3.3%・・・OECD、メキシコ中銀
3.2%・・・バークレイズ、BoA、IMF
3.1%・・・フィッチ

金融:
10月までの銀行利益が2280億ペソ、前年同期17.4%増加で過去最高を更新中
銀行は高金利で記録的な利益を継続

消費者物価指数:
10月の年間インフレ率は4.26%、前月4.45%より0.19改善
10月の年間コアインフレ率は5.50%、前月5.74%より0.24改善
11月中間の年間インフレ率は4.32%
11月中間の年間コアインフレ率は5.31%
アナリストは冬季燃料高とペソ安が物価を圧迫する可能性有りと指摘
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 10月:-2.5億ドル、9月:-14.8億ドル、8月:-13.8億ドル
輸入額 10月:519.7億ドル、9月:511億ドル、8月:537億ドル 
輸出額 10月:522.3億ドル、9月:497億ドル、8月:524億ドル
資本財の輸入は20%、資本金流入も20%増加

10月送金額は52.9億ドル 送金額累計は528.9億ドルで前年同時期より9.4%増加

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの10月までの累計売上は1兆2110億ペソ、10月単月の売上高は既存店で1.4%減少
INEGI:9月の小売り売上は年率3.7%増加
Banco Base:今年の個人消費は4.3%成長と予測
11月の消費者信頼感指数は47.3、前月1.1%増加

雇用・失業率:
INEGI:10月失業率は2.7%、前月と同じで依然として雇用は好調
10月の経済活動人口は前月より15万人増加で6099万人
前月と比べ非正規率が54.3%から55.1%へ上昇
2024年の最低賃金は現在の207ペソから20%増の249ペソで決定

製造業・自動車:
11月自動車生産台数は32.9万台、前月より4.9万台減少
11月までの累計生産台数は356.3万台で前年同期比16%増加
2023年の建設業は過去10年で最高売上を記録。鉄道と非住宅建設が牽引。

11月の景況感は前年同月比56.0%で好況を維持
9月総固定投資は年次23.5%、前月比1.5%減少、減少は2022年7月以来
財務省:2023年1~11月の申請ベースの海外直接投資額は1064億ドルを予想

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは64.86から66.96
金利低下の可能性により原油価格が上昇

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカの対メキシコ貿易比率は年累計で15.8%で首位

USMCA以外:
アルゼンチン大統領の政策に全南米が関心

観光業:
1~10月までの空路旅行客は1700万人で前年同時期比6.2%増加
観光業従事者は476万人、総雇用の9%


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