メキシコペソ 5月4週目 インフレ再燃で金利は意見割れ

来週メキシコ大統領選挙の投票日です。実際どれだけ危ないことが起きているのはわかりませんが、経済誌しか読んでない私の中では静かです。個人的には選挙の混乱でペソ暴落がないことだけを祈っています。

今週は、ゆるやかなドル高円安で157円で一旦ポジション解消しました。要人発言や地政学的な事件がない限りは6月12日の米国CPIまで大きなイベントはないと思っていますが、為替介入の可能性は少ないにしても、いきなり円高に下降しそうな気がして手を出しづらいです。ただアメリカがメキシコにつられてインフレ再燃することがあれば年内金利据置の可能性が上がり、円安継続がはっきりしてくると思います。

インフレ率は上昇中

INEGI(統計地理院)によると4月後半の年間インフレ率は4.78%と前回4.67%から加速しました。原因は熱波による野菜果実の不作で19.99%と激上げ、農業全体では8.75%の上昇です。年間コアインフレ率は4.31%と若干落ち着いてきていますが、年間ノンコアインフレ率は6.27%と庶民にとっては厳しい状況になっています。

商品インフレ率は3.55%と低水準ですが、サービスは5.23%と高止まりしています。唯一の救いは原油価格の低下と電力が20%以上の値下げになったことです。天候が落ち着けばインフレ上昇は収まるぐらいにしか思っていなかったのですが、正直どっちの方向に向いていくのかよく分かりません。

政策金利会合は複雑

先週、セハ総裁が次回利下げを議論するとの発言を受けて、シティ調査でアナリスト36人中30人が6月の利下げを予想しました。それとメヒア副総裁は特に発言してませんがもともと利下げ最右翼なので、利下げは2票。

これに対して、ボルハ副総裁は最低賃金の引き上げがサービス価格上昇を高止まりを招きインフレ沈静を阻害、サービス価格はしばらく明確な下方変曲点を示していないと利下げには否定的な発言し、現在の気候変動が不確実性を高めているとも述べています。もともと利下げ慎重派のエスピノーサ副総裁も政策金利引き下げには共感できないと発言しており、明確な利下げ反対は2票。

ヒース副総裁も特に発言はしていないのですが、年末政策金利を10.5%を容認しており、これは残り政策金利会合5回中2回利下げを意味するので、敢えて今利下げに賛成するのか疑問に思っています。

上のことを踏まえると現在、利下げ賛成:2票、利下げ反対:2票、不明1票です。

経済的な論点から考えれば、コアインフレが4.31%で政策金利が11%は高いですが、個人的にはノンコアインフレが6.27%で庶民生活が苦しい状況で利下げというメッセージを発することが可能かは疑問です。

風力発電

メキシコの郊外鉄道(サバーバン・トレイン)の 98% は風力エネルギーで運行との記事がありました。シェインバウム候補者は極端な環境派で自然エネルギー推進論者なので我が意を得たりとこの方向にシフトするのかもしれません。

ちなみに現在のメキシコの発電量は25810万MW、2026年には48000万MWの需要と予想され、現在全然足りていません。エレラエネルギー相はその23%を原子力と風力にと目標を掲げていますが、現在の原子力発電は1000万MW(26年には1600万MW予定)風力発電は2万MW(日本は0.3万MW)です。

発電のことは分かりませんが、風力って維持費が高そうで、蓄電の管理が難しそうなのですがメキシコの資金力で可能なのか疑問です。それ以上に送電線が全然足りていないと災害のたびに大騒ぎするのに、対策が全然進んでいるようには見えません。エネルギー問題は一歩間違えれば国家財政を逼迫すると懸念され、次期政権ではUSMCA問題も含め不安が多いです。

トピック

通貨:
先週16.61から週末は16.70
メキシコインフレ率上昇からペソが売られる

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・17.90 (18.20から下方修正)

メキシコ株:
週末株価は57.6から56.4

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は6月28日
5月10日の政策金利会合は全会一致で金利据置

セハ総裁:次回利下げについて話し合う可能性を示唆
エスピノーサ副総裁:政策金利引き下げには共感できず
ボルハ副総裁:サービス価格はしばらく明確な下方変曲点を示していないと利下げには否定的
ヒース副総裁:年末政策金利は10.00~10.50%の予想
シティ:アナリスト36人中26人が6月の利下げを予想
INEGI:2024年4月の経済成長率は0.3%増、年率で1.6%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.5%・・・OECD、BBVA
2.4%・・・IMF
2.3%・・・メキシコ中銀、ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
金利高で80%の企業は銀行融資を諦め、市場からの調達をもくろむ

消費者物価指数:
4月の年間インフレ率は4.65%、前月4.42%より0.23悪化
4月の年間コアインフレ率は4.37%、前月4.55%より0.18改善
5月中間の年間インフレ率は4.78%
5月中間の年間コアインフレ率は4.31%
野菜果物が19.99%上昇も電力が21.45%の大幅下落

メキシコ中銀:年末年間インフレ率を3.6%と予測
シティ:年末年間インフレ率を4.1%と予測

貿易収支・経常収支:
2024年度貿易収支は累計64.5億ドルの赤字
貿易収支 4月:-37.5億ドル、3月:21.0億ドル、2月:-5.8億ドル
輸入額 4月:550.7億ドル、3月:486.5億ドル、2月:513.1億ドル
輸出額 4月:513.1億ドル、3月:507.5億ドル、2月:507.2億ドル

3月送金額は52.1億ドル ドルベースでは46ヶ月連続増加
1~3月累計は141.5億ドル 前年同期139.3億ドルと比べ1%増加
ペソ換算で考えれば前年比15%減少

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
4月の消費者信頼感指数は47.3で楽観的

雇用・失業率:
INEGI:3月失業率は過去最低更新の2.3%、前月より失業者が9.7万人減少
非正規雇用が54.3%で前月より0.2%改善
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
4月の輸出台数は29.0万台で年間累積111.5万台で前年同期比12.1%増加
4月の生産台数は35.9万台で年間累積128.6万台で前年同期比5.7%増加
自動車産業は2023年の生産台数370万台から2024年400万(韓国、ドイツレベル)以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

4月の景況感は前年同月比54.2%で好況を維持

食品:
世界的にでサトウキビが不作
熱波で野菜果物が打撃
世界的に小麦とトウモロコシは不作

エネルギー:

メキシコバスケットは73.83から72.46

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカはメキシコへ中国包囲網参加に圧力


USMCA以外:

観光業:

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