メキシコペソ 11月3週目 米国利上げ終了ムードも大手銀行は警戒継続

今週の米国CPIも小売り売上もある程度予想通りだったのですが、金曜日からの円高は何だったんだろうと?米国債金利低下がトリガーにしては下げすぎる気がします。来週は特にイベントはないと思いますが、中東で許容範囲外の出来事が起こらなければ、ドル円はドル高目線、ドルペソはペソが17.00回帰の方向で動くと予想しています。

GDP、7〜9月年率2.1%減 3四半期ぶりマイナス成長」のニュースには少し驚きました。だから日銀が金融緩和政策維持なのでしょうが、企業が投資意欲がなかったり、個人が消費意欲がなければ金利が安いことなど意味ないと思います。こういう明るい未来を打ち出す政策は政治が責任を追うべきで、日銀がいくら頑張っても仕方ない気がします。

12月は利下げなし

今週、米国CPI発表後に、メキシコ中銀セハ総裁はエルフィナンシャリオのインタビューで来月の利下げはないことを明言しましたが、物価上昇サイクルが12月に終了する可能性があること、次回会合以降政策金利を下方修正する議論が可能になったと述べました。彼女の発言からは、利下げ時期についての慎重な姿勢は変わらないようです。
同じくジョナサンヒース副総裁は「2024年の金利を微調整中、但し引き下げ幅は最小で間隔を開けなければならない」と述べました。

ほぼすべての金融関係者が、12月のインフレ率は上昇するとの見通しでしたが、イスラエル騒動で高騰した原油価格が70ドル台で落ち着きはじめ、トウモロコシや大豆も豊作のようで、全体的な食糧価格も大幅に上昇する恐れがなくなったことから、北米は利下げサイクルの入り口に立ったのかもしれません

今週の米国CPIで物価上昇率が予想より収束したことに、利上げの終焉かもしれないとドル全面安と全面株高で市場が反応しました。しかしながら、先日7%の金利を覚悟すべきと言ったJPモルガンCEOがメキシコシティの公演で「短期的なインフレ数値に過剰反応するのはやめるべき」とインフレはすぐには解消しないと警告しました。
同様にゴールドマンサックスも米連邦準備制度理事会(FRB)は2024年第4四半期まで金利を引き下げないと予測しています。

早期利下げがあった方が儲かるはずの銀行CEOが、敢えて警告することに重みを感じます。個人的には今年原油価格が下がれば何故か世界的な事件が起きて再騰するサイクルが繰り返えされていますが、気のせいでしょうか?

小売り消費は後退ぎみ

ANTAD(全国小売業協会)が発表する10月小売り売上は、2020年来最悪の10月となったようで前年同月比で2.8%、これはインフレを加味すれば1.4%減少とのことです。1月から10月までの累計売上は1兆2110億ペソで記録的なもので、今まで 小売り売上の伸び率 > インフレ率で推移してきましたが、ここ3ヶ月は個人消費が急速に冷えてきているみたいです。これからクリスマス商戦で小売り売上は回復するとの楽観的な意見もあります。

反対にINEGI(国立統計地理研究所)の調査では、メキシコの企業、家族、個人の支出が9月に前回予想の3.4%ではなく、年間3.7%の伸びを示したと評価しました。一方、個人消費のタイムリー指標は10月も引き続き増加し、2022年の同月と比較して3.8%と推定。貯蓄傾向は低下しており、労働所得と雇用のダイナミズムを考慮すると、個人消費は今後数カ月間も回復力を示すだろうと締めていました。

この差は小売店舗やデパートでの消費は減少で、それ以外の例えば自動車とか観光とかの消費が伸びていると想像しています。個人消費が国の経済成長における重要な要因なので、どう推移するのか様子を見たいと思っています。

トピック

通貨:
先週17.65から週末は17.23
米国利上げ終了モードからドルが全面安
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.60と予測

メキシコ株:
週末株価は51.2から52.7
米国利下げ終了ムードから全面的株高

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は12月14日
年末目標金利は11.25%
11月9日の政策金利会合は利上げなし
セハ総裁、ヒース副総裁ともに12月の政策金利据置、利下げを議論する可能性を表明
利下げ開始は希望的観測では2024年2月、8月ぐらいが順当

メキシコ年末経済成長率予想
3.6%・・・JPモルガン
3.5%・・・ムーディーズ、パリバ
3.4%・・・XP、シティ、ゴールドマンサックス
3.3%・・・OECD
3.2%・・・バークレイズ、BoA、BBVA、メキシコ中銀、IMF
3.1%・・・フィッチ
3.0%・・・メキシコ財務省

金融:
9月までの銀行利益が2050億ペソ、前年同期17.3%増加で過去最高を更新中銀行は高金利で記録的な利益を継続

消費者物価指数:
10月の年間インフレ率は4.26%、前月4.45%より0.19改善
10月の年間コアインフレ率は5.50%、前月5.74%より0.24改善
アナリストは冬季燃料高とペソ安が物価を圧迫する可能性有りと指摘
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 9月:-14.8億ドル、8月:-13.8億ドル、7月:-8億ドル
輸入額 9月:511億ドル、8月:537億ドル、7月:484億ドル 
輸出額 9月:497億ドル、8月:524億ドル、7月:476億ドル
資本財の輸入は20%、消費財の輸入も10%増加も中間財が9%減少

9月送金額は56.1億ドル 送金額累計は470.7億ドルで前年同時期より11.4%増加

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの10月までの累計売上は1兆2110億ペソ、10月単月の売上高は既存店で1.4%減少
INEGI:9月の小売り売上は年率3.7%増加
9月の消費者信頼感指数は46.8、前月と横ばい

雇用・失業率:
INEGI:9月失業率は2.7%、前月より0.1%改善
9月の経済活動人口は前月より14.4万人減少で6084万人
非正規労働が61万人減少も正規雇用が52万人増加で非正規率が54.3%まで低下
9月の失業者数は前月より5.1万人減少

製造業・自動車:
10月自動車生産台数は37.8万台、前月より4.0万台増加、前年同月比は36%増加
10月国内自動車販売数は11.4万台、今年累計は109.0万台で前年同期78.1万台と比べ25.0%増加

10月の景況感は前年同月比53.0%で好況を維持
8月総固定投資は年次31.5%、前月比3.1%増加
住宅建設は3.9%減少も非建築投資は47.4%と強烈に増加中
財務省は特定10製造業で輸出50%企業に税制優遇、誘致強化

食品:
アメリカ、大豆トウモロコシ豊作のため食糧価格低下の見込み

エネルギー:
メキシコバスケットは71.52から69.23
需要減少、景気後退懸念から原油価格下落

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカの対メキシコ貿易比率は年累計で15.8%で首位
メキシコ産アルミニウムにタンピングの懸念

USMCA以外:
アメリカは中国メーカーのメキシコ生産自動車をUSMCA対象外関税を要求
在メキシコ中国企業の原材料仕入の半分は中国本土から、メキシコ現地調達率は15%でUSMCA域内生産地問題に発展
韓国がメキシコとのFTAを熱望中

観光業:

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