メキシコペソ 9月1週目 メキシコ雇用統計で疑問?

今週のメキシコペソが16.80から17.20への急落に何があったか探っているところに、米国雇用統計で一時的に144.5円ぐらいまで円高。次回FOMCを考えても円安傾向は変わらないのでロングしようと思い悩んだのですが、メキシコの失業率が謎すぎて、あれよあれよで円安復活で機を逸しました。それにしても、金曜日の晩、米国雇用統計で一旦ドルペソが17.00まで下がった後に17.09まで上がったのは、その理由が気になります。

来週はMORENAの次期大統領候補決定ですが、これで相場が荒れることはないと思います。しかし、碧桂園問題では嫌なことが起こらないことを祈るばかりです。

メキシコ雇用統計

メキシコ失業率で波風立つことはないと思っていたので雇用統計はノーチェックでした。しかし9月1日何故かドルペソが17.20になっていたので調べてみると
7月失業率が、前月2.65%、予想2.8%が3.13%まで悪化

失業率3%以内が雇用好調の判断となるので、あっさり割ったことはビックリでした。
しかしながらINEGI(国立統計地理研究所)のサイトを見てみると2.88%とのことで発表に手違いがあったのかもしれません。

INEGIよれば、7月のメキシコ就業人口は6021万人で過去最高で前年同期と比べ110万人増加、ただし、非正規雇用は3310万人、非正規雇用率55.7%で順調に伸びています。また、正規雇用は昨年と比べ男性は30万人増加したものの女性は10万人減少したとのことです。

個人的な意見ですが、一時的な失業率悪化は人件費上昇とサービス価格上昇を抑える効果があるので一概に悪いとは思えません。今の状況では雇用が制御不能になることはないと思いますが、気になります。

貿易収支は微妙に赤字

メキシコの貿易収支は発表されましたが、輸出476億ドル、輸入484億ドルで8.8億ドルの貿易赤字との結果でした。
INEGI:貿易収支より

傾向として、価格減少と国産化で石油の輸入額も輸出額も大幅に減っていることと自動車輸出の伸びで製造品が増加しています。
特徴的なこととして資本財が20%以上増加、恐らく自動車産業と思いますが、将来的にはポジティブなことと捉えています。

経常収支は四半期毎にメキシコ中銀から公表があります。(メキシコ中銀:国際収支 )メキシコの特徴としてIngreso secundario(二次所得、送金のこと)が多いことでしょうか。今回は3四半期ぶりに62億ドルの黒字になっていました。

野党統一大統領候補者

今週、ソチル・ガルベス(Xóchitl Gálvez)氏が、PRI(制度的革命党)とPAN(国民行動党)の統一候補として擁立されました。

プロフィールは、原住民とメスチソの混血。UNAMでコンピュータ工学を修了。建造物の電気通信設計会社を立ち上げて成功。児童、女性、先住民族への慈善活動もしており、1999年ダボス世界経済フォーラムにて「世界の未来を担うグローバルリーダー 100 人」の 1 人として認められる本当に貧困層からたたき上げたエリートという感じの人です。

彼女が提唱する10の政策は以下の通りです。
1.法の支配
2.犯罪対策
3.治安維持
4.綺麗な水とクリーンエネルギー
5.パイプライン、送電線のインフラ強化
6.人的資本強化
7.責任ある経済管理
8.不平等の追放
9.持続可能な南部州の地域開発
10.国民皆保険制度とセーフティネット拡充

それからUSMCAによるアメリカからのニアショアリングは神の恩恵で積極的に活用すべきとの立場で、次の10年で世界経済10位に加わることを目指すとのことです。野党としてはなりふり構わずAMLOと勝負できる候補者を擁立した感じです。詳しことは選挙戦で明らかになっていくと思います。

与党MORENAの候補者決定は来週6日。レームダックに入ってもAMLOの支持率は60%以上で、彼が後継者選びに失敗しない限り、選挙戦は非常に難しいよう思えます。

トピック

通貨:
先週16.75から週末は17.09
米国雇用統計で9月の利上げなしの見込みが高まったこととメキシコ為替協会(la Comisión de Cambios de México)が為替ヘッジ引下げ発言からペソが下落
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.85と予測
フィッチは年末ドルペソを16.40に達すると予測
パリバは2024年末のドルペソレートを16.50と予測

メキシコ株:
週末株価は53.1から53.3
2023年末の株価楽観値は61、目標は60へ上方修正

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は9月28日
年末目標金利は11.25%
8月10日の政策金利会合は利上げなし
メキシコ中銀副総裁は11月に利下げの可能性を示唆も怪しい雲行き
INEGI:第2四半期のGDPは年率3.6%成長と発表
メキシコ年末経済成長率予想
 3.5%・・・パリバ
 3.4%・・・XP、JPモルガン
 3.2%・・・バークレイズ、BoA
 3.0%・・・メキシコ財務省、メキシコ中銀
 2.9%・・・シティ

金融:
6月までの銀行利益が1386億ペソ、前年同期25%増加

消費者物価指数:
7月の年間インフレ率は4.79%、前月5.06%より0.27改善
7月の年間コアインフレ率は6.64%、前月6.89%より0.25改善
8月中間の年間インフレ率は4.67%
8月中間の年間コアインフレ率は6.21%
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想
JPモルガンは年末年間インフレ率を4.3%、これ以上鈍化しないと予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 7月:-8億ドル、6月:-14.2億ドル、5月:-0.7億ドル
輸入額 7月:484億ドル、6月:511億ドル、5月:529億ドル 
輸出額 7月:476億ドル、6月:497億ドル、5月:529億ドル
7月の輸出も自動車製造業が牽引も石油関係が大幅減少
経常収支が3四半期ぶりに黒字、送金による2次所得が堅調

7月送金額は56.5億ドル 前年同月比6.6%増加
今年の送金額累計は359億ドルで前年同時期より9.4%増加
送金による購買力はドル安ペソ高で16%減少

小売り売上:
ANTADの7月までの累計売上は8460億ペソ、前年同期比9%増加
INEGI:6月の個人消費は前年同月比5.2%増加、前月比は2.3%増加

雇用・失業率:
7月失業率は2.9%、前月より0.2%悪化
第2四半期の労働人口は6020万人、前年同期より110万人増加
非正規率は上昇中、女性の性器雇用者数は減少中
製造業の労働者数は334万人で前年より3.3%増加

製造業・自動車:
7月自動車生産台数は29.4万台、前月より3.7万台、11%減少、
 前年同月比は31%増加
6月の製造業受注は53.8で35ヶ月連続50越え
5月の経済活動は前年同月比4.3%も前月比は0%
6月の景況感は前年同月比53.6%で好況を維持
2023年上半期の海外直接投資は290億ドル、前年同期比41%増加
 製造業:57%、金融業:27%、残りサービス業その他
メキシコ金型製造協会:金型市場2.6億ドルは5年で2倍に成長すると予測

鉱業:
前年と比べ
 金、鉛、亜鉛、銀、石炭の生産量が減少
 蛍石、硫黄、銅の生産量は増加

食品:
ベーシックバスケットは年初より3.4%増加
ビンボはパン価格を最大4ペソ引き上げ

エネルギー:
メキシコバスケットは76.53から79.96
CFE(連邦電力委員会)はインフレで据置いた電気料金引上げを検討
メキシコバスケットは中国経済停滞もアラブ原産の影響で80ドルと高値

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴

USMCA以外:
メキシコはBRICS参加を拒否
メキシコ政府は中国製品の関税強化を検討
アメリカからの指摘で中国製品の迂回貿易も監視強化

観光業:

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