メキシコペソ 2月4週目 納税は議員が判断by鈴木財務大臣

確定申告の時期に、財務大臣のこの発言はさすがに衝撃を受けました。宏池会所属議員の人たち全員が次回落選して欲しい気持ちです。庶民的な節税を考えると本当気持ち悪いです。

日経平均が過去最高を記録しましたが、今週の海外ニュースでは「日本経済失速」の記事の方が多いと思います。ちなみに23日の記事は「IMF、日本経済の低迷を警告」、その前は「日本は技術的景気後退に入り、主要国中4位に転落」などなど。普通にドル換算すれば日経総資産額は確実に減っているので当然、それとGDP4位失墜は由々しき事態だと思います。あと消費減速も怖いです。
個人的に株高はありがたいのですが、日本全体のことを考えると疑問です。

インフレ率が大幅改善

今週2月中間インフレ率の速報がありましたが、年間インフレ率4.45%、年間コアインフレ率4.63%とのことで、1月末が4.88%だったので0.43%の大幅改善、利下げ期待からペソ安方向に動きました。

年末セールなどによるサービス価格上昇と干魃・寒冷による野菜果物の不作がインフレ再燃の原因でしたが、落ち着いてきたようです。メキシコ中銀は年末インフレ率を3.5%を期待していますが、シティなどの金融機関は4.2%前後を予想しています。
今のところコアは順調に下がっているのでそろそろ利下げの気もしますが、3月7日発表のインフレ率がよほど改善しているか、5.5%ぐらいで高止まりしているサービス価格が5%を割らない限り3月利下げは難しいと思います。

穀物の値崩れ、エネルギー価格下落、干魃・寒波緩和は米国も同様のはずなので、3月12日発表のインフレ率が改善している可能性は高いように思えます。しかし、3月21日FOMCで利下げする可能性はかなり低いと思います。

2023年の経済成長率は3.2%

11月頃はAMLOや財務省が3.5%成長と自画自賛していたのですが、ハリケーン「オーティス」や米国景気失速の影響で結局3.2%で終了しました

部門別では
第1次産業(農業と畜産業)が年率1.9%
第2次産業(工業)が年率3.5%
第3次産業(サービスと商業)が3.1%
という結果で、建設業が年間15.6%増加で成長を牽引したようです。

ただし、建設は産業用施設に偏っていて住宅部門はマイナスです。住宅建設は過去最大が2011年の26万戸なのですが、2022年は5.6万戸まで減少。住宅開発促進商工会議所(Cámara Nacional de la Industria de Desarrollo y Promoción de la Vivienda)によると800万戸の住宅が不足して、住宅問題に取り組むとGDPが5~8%上昇すると主張しています。

今はニアショアリングで建設リソースが産業用に偏っていることと住宅金利が9%以上で買い控え状態らしいですが、住宅金利が6%ぐらいまで下がると住宅バブルが起こると言い換えられるような気がしてなりません。利下げ後の反応が本当に微妙です。

送金は好調

2023年も米国からの送金は好調で最高更新の633億ドルを記録しました。
直接ドルを獲得できる項目で比較すると
・農作物輸出・・・518億ドル
・海外からの直接投資・・・365億ドル
・石油輸出・・・322億ドル
・インバウンド・・・309億ドル
ちなみにメキシコで1番稼ぎ頭の自動車産業は1889億ドルですが、送金は外貨獲得に非常に寄与しているようです。

また昨年の送金総額は585億ドルですが、2023年初のドルペソ=19.20ぐらいなので1.12兆ペソ、今年は17.00なので1.07兆ペソとペソ建てでは若干目減りしています。今後不法移民の取り締まりが厳しくなればなるほど合法の出稼ぎ需要は増えると思いますが、メキシコも人手不足なので供給可能かどうかは疑問です。

もしトラ

エルフィナンシャリオ誌のJassiel Isaí Valdelamar Soto 氏の論説では「トランプ大統領が提案した保護主義的な政策と関税は、近年加速している世界のサプライチェーンのメキシコへの移転プロセスを妨げる可能性がある」とのこと。
具体的には
・10%の輸入税をUSMCAにも適応
・関税60%、中国の排除
・国境警備、不法移民、不法薬物密売のさらなる圧力
を要求するとのことです。

メキシコから10%の輸入税はちょっと驚きですが、2026年USMCA見直しまでは強行できないと思います。
残り2つはトランプ氏でなくとも要求されること。中国の鉄鋼アルミなどの迂回貿易は今でもUSMCA協議の争点。中国人がらみのフェンタニルの不法輸入や犯罪撲滅はメキシコ政府が真剣に取り組まないといけない問題。対中国関係は輸入超過なので、脱中国、アメリカと同調して関税60%、製造業回帰を加速させるのも政策として有りだと思います。ケネディ候補者みたいにメキシコを見下さないのであれば、個人的には誰がなっても同じだと思います。

トピック

通貨:
先週17.05から週末は17.12
17.00の壁、メキシコ利下げ期待から若干ペソ安
メキシコ中銀は2024年のドルペソを18.53前後と予想
シティは2024年のドルペソを19.00前後と予想

メキシコ株:
週末株価は57.3から56.7

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は3月21日
2月8日の政策金利会合は全員一致で据置
年末金利予測は9.5%で1.75%、0.25%の利下げ7回分を予測
(メキシコ中銀の政策金利会合は年8回なので3月から毎回連続)

2023年の経済成長率は年率3.2%
1月の経済成長率は年率0.1%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.7%・・・IMF
2.5%・・・OECD
2.4%・・・メキシコ中銀
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
サンタンデール、BBVAは2023年度は過去最高益を記録

消費者物価指数:
1月の年間インフレ率は4.88%、前月4.66%より0.22悪化
1月の年間コアインフレ率は4.76%、前月5.09%より0.33改善
2月中間の年間インフレ率は4.45%
2月中間の年間コアインフレ率は4.63%

貿易収支・経常収支:
貿易収支 12月:42.4億ドル、11月:6.3億ドル、10月:-2.5億ドル
輸入額 12月:450.1億ドル、11月:496.2億ドル、10月:519.7億ドル
輸出額 12月:492.5億ドル、11月:502.5億ドル、10月:522.3億ドル
2023年度貿易収支は54.6億ドルの赤字、2022年度の268.8億ドル赤字と比べ80%縮小
2023年度経常収支は57億ドルの赤字で前年176億ドルより縮小

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTAD:1月の売上1252億ペソ、前年同月比6.7%
INEGI:1月の個人消費指標は物価金利高で鈍化

雇用・失業率:
INEGI:12月失業率は2.6%、2023年全体で平均2.8%、18年間で最低
12月末の就業者数は5915万人
年末の不完全雇用(週35時間未満労働でそれ以上の労働を希望する雇用者)は450万人で全体の7.6%
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ
AMLOはインフレ率以上に最低賃金を上昇するよう憲法改定を提案

製造業・自動車:
1月までの輸出台数は25.4万台で前年同期比6.8%増加も前月より9.9%減少
1月までの生産台数は30.7万台で前年同期比9.5%増加
自動車産業は2024年の生産台数を400万以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

2023年海外直接投資は361億ドルで前年353億ドルから過去最高を更新
財務省:2024年の外国直接投資20%増加、400億ドルを期待
1月の製造受注指標は50.5

食品:
米国で穀物価格が値崩れ

エネルギー:
メキシコバスケットは73.03から74.27

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカーメキシコ間の鉄鋼アルミニウム貿易の透明性を協議
メキシコ経由の中国車輸出関税率にアメリカがクレーム
2023年対米貿易割合は、メキシコ15.7%、カナダ15.2%、中国11.3%

USMCA以外:

観光業:

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