メキシコペソ 12月4週目 ドルペソ8月以来の17突破

年末最後一週で、8月以来のドルペソ17突破。クリスマス、年末で世間的には旅行と出稼ぎ送金でドルからペソへの換金需要が多く見込まれ、最悪でも17.20で年末を終わるような雰囲気です。去年末はドル安円高への転換な雰囲気で、ペソ円6.50で全ポジション利確する心づもりでしたが、今年は8円超えでフィニッシュを迎えそうでありがたいです。またドルペソも金融機関は20.6とか20.00は越えないぐらいの予想が、17割れは驚きです。

来年は、円高ドル安が予想されるのですが、その程度はコロナ前の110円まで戻るのか140円ぐらいをうろつくのか、予想されるレンジは広すぎます。利下げは確実でスワップが悪くなるので、今年みたいな楽はできないと覚悟はしています。ただ想定外の負けをしないよう資金管理はしっかり、ショボトレでいこうと思っています。

日銀腰砕け

今月7日に国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と気勢を上げていた日銀植田総裁ですが、先行き賃金と物価の好循環が強まっていくか、なお見極めていく必要があるとトーンダウンしました。植田総裁と岸田首相って立場的には銀行側の人なので金利正常化、利上げ再開を望んでいると思うのですが、今の政治混乱では4月まで何もできない気がします。
個人的には、賃上げよりも物価上昇に伴う小売り売上、個人支出がどうなるのかが気になります。また1月から現時点までの経常収支が2兆5800億円の黒字でも、貿易・サービス収支がマイナス1290億円。来年円高傾向になるとは思いますが、ドルから円への換金需要が多い貿易・サービス収支がプラスになりきらないと米国利下げだけでは135円割れはないかもと漠然と思っています。

インフレ回復は微妙

12月中間の消費者物価指数が発表されましたが、年間インフレ率は4.35%、年間コアインフレ率は5.24%とインフレは若干の増加、コアは若干の減少との結果でした。物価上昇に影響を与えているものは、タマネギ35%、航空輸送費38%、旅行12%で、鶏卵、食品エネルギーが1%未満で生活必需品は落ち着いてきたようです。市場的には、今回のインフレ上昇でメキシコ中銀が利下げについてより慎重になるとの予測でペソ高に動き、1ドル17ペソ突破を狙う雰囲気になりました。

年末インフレ率はもう少し上がると予想されていたので、生活必需品の価格安定は幸運だと思います。ウクライナとパレスチナから何が波及してもおかしくない状態なので、物価安定はまだまだ厳しいように思います。また、アメリカ経済もメキシコ同様、インフレは根強い気がします。

アメリカ大統領選挙

世間ではトランプ再選となれば経済が荒れると騒がれていますが、基本的に誰がなっても安い商品を提供するアジア中国を排除して北米での経済完結を目指す方向は変わらないと思います。
トランプ再選でメキシコの壁復活しても防ぐのは不法移民であり、合法的に出稼ぎに行くメキシコ人を排除するわけではないので、アメリカーメキシコの直接的な問題になることはないと思います。

あり得ないと思いますが、ケネディ候補が大統領になったときは別です。
Mexicans would be "eating cat food" and "living in tents" without America
議会でこの発言はあまりにも下品だし、このあとのAMLOとの罵り合いも、トランプ元大統領を凌駕しています。彼が大統領になった場合はUSMCAの土台から失われそうで、メキシコ関係のポジションはすべて解消する心づもりをしています。

現時点での問題点は
・エネルギー国有化
・遺伝子組換えトウモロコシ
で、これは共和党民主党、どちらでもかわりません。それとアメリカの立場からすれば、軍事的、外交的なことをメキシコに期待することはないので、メキシコ新大統領が積極外交を行わない限り問題すら起きないと思います。

個人的には、サウジとの関係を拗らしたバイデン大統領が継続するなら、今まで通りBRICs諸国からいろいろ嫌がらせが続き、世界的な混乱が終わらないと思います。トランプ候補の方が、まだ中国以外の国と和解できる可能性があると思っています。

トピック

通貨:
先週17.20から週末は16.98
メキシコCPI上昇、利下げ据置懸念と全面ドル安で8月以来の17.00突破
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.60と予測

メキシコ株:
週末株価は55.1から57.6
引き続きアメリカの株高につられてメキシコ市場も上昇

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は2月8日
12月14日の政策金利会合は全員一致で据置
インフレ再発の懸念あり、シティは利下げは早くても3月21日と予測
外貨準備高が2056億ドルで1995年来の最高水準
メキシコ財務省、中銀は来年の成長率を2.1%から3%へ上方修正

INEGI:第3四半期は年率3.3%、10月も年率3.3%
INEGI:11月の経済成長は月次で0.4%、最終的には3.4~3.5%を予想

メキシコ年末経済成長率予想
3.6%・・・JPモルガン
3.5%・・・ムーディーズ、パリバ、メキシコ財務省
3.4%・・・XP、シティ、ゴールドマンサックス、BBVA
3.3%・・・OECD、メキシコ中銀
3.2%・・・バークレイズ、BoA、IMF
3.1%・・・フィッチ

非公式の経済活動がGDPの24.4%で2003年以来の最高値
メキシコ、GDP1.8兆ドルで世界12位、10位以内を目指すとブラジル2.1兆ドル、カナダ2.1兆ドル、ロシア1.8兆ドルを抜く必要あり

金融:
10月までの銀行利益が2280億ペソ、前年同期17.4%増加で過去最高を更新中
銀行は高金利で記録的な利益を継続

消費者物価指数:
11月の年間インフレ率は4.32%、前月4.26%より0.06悪化
11月の年間コアインフレ率は5.30%、前月5.50%より0.20改善
12月中間の年間インフレ率は4.35%
12月中間の年間コアインフレ率は5.24%

JPモルガンは年末年間インフレ率を4.3%、これ以上鈍化しないと予想
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 11月:6.3億ドル、10月:-2.5億ドル、9月:-14.8億ドル
輸入額 11月:496.2億ドル、10月:519.7億ドル、9月:511億ドル 
輸出額 11月:502.5億ドル、10月:522.3億ドル、9月:497億ドル

10月送金額は52.9億ドル 送金額累計は528.9億ドルで前年同時期より9.4%増加

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの10月までの累計売上は1兆2110億ペソ、10月単月の売上高は既存店で1.4%減少
INEGI:10月の小売り売上は年率3.4%増加
11月の消費者信頼感指数は47.3、前月1.1%増加

雇用・失業率:
INEGI:10月失業率は2.7%、前月と同じで依然として雇用は好調
10月の経済活動人口は前月より15万人増加で6099万人
前月と比べ非正規率が54.3%から55.1%へ上昇
2024年の最低賃金は現在の207ペソから20%増の249ペソで決定

製造業・自動車:
11月自動車生産台数は32.9万台、前月より4.9万台減少
11月までの累計生産台数は356.3万台で前年同期比16%増加
2023年の建設業は過去10年で最高売上を記録。鉄道と非住宅建設が牽引。

11月の景況感は前年同月比56.0%で好況を維持
9月総固定投資は年次23.5%、前月比1.5%減少、減少は2022年7月以来
財務省:2023年1~11月の申請ベースの海外直接投資額は1064億ドルを予想

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは66.96から70.00
フーシ派、紅海船舶攻撃で原油価格が一時上昇も反落

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
移民問題でエルパソ国境を一時封鎖

USMCA以外:
アルゼンチン大統領の政策に全南米が関心

観光業:
1~10月までの空路旅行客は1700万人で前年同時期比6.2%増加
観光業従事者は476万人、総雇用の9%


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