メキシコペソ 5月2週目 メキシコは熱波でインフレ再燃

先週の米国雇用統計は為替介入の追い打ちをかけたようなドル円相場となりました。外国人失業率が4.2%まで跳ね上がり、メキシコ人1人当たりの送金額も382ドルと最近11ヶ月で最低となったようです。
個人的には中国からの輸入を減らし製造回帰。アメリカ人のやりたがらない低賃金肉体労働にメキシコ人が担っているので、すぐに仕事からあぶれることはないと勝手に思っているのですが、この人数が減り始めた辺りがアメリカリセッションの初まりだと思っています。

先週の為替介入は想定内でしたが、米国雇用統計で円急騰は想定外で少しビビりました。でもその後は予想通りで少しだけホクホクさせてもらいました。日銀も「春闘による賃上げ期待」とか寝言をほざきながらも現実は24ヶ月連続実質賃金マイナス。言うことがボケ過ぎていると思うのは私だけでしょうか?

熱波で送電線障害

5月7~8日にかけて、45度を超えるメキシコ史上最高の猛暑で電力需要が急増し、メキシコシティ周辺部から東部のカンクーン、南部のチアパスにかけて酷い停電に陥り、社会インフラの停止や飲料水、ソフトドリンクの高騰を引き起こしたようです。

これは政治論争にもなり、シェインバウム候補者は持論の再生可能エネルギー、ガルベス候補者は現実的に送電線網の強化と左派的環境論者と現実主義的科学者の差を見せつけました。

インフレ率上昇

4月の年間インフレ率は4.65%と前月4.42%より悪化しました
悪化の原因は、熱波で野菜の収穫に影響が出たとのこと。タマネギが82%、キュウリ58%、グリーントマト57%、果物と野菜のインフレ率は前月比で4%、年率では18.5%と非常に高いようです。

反対にセマナサンタの行楽シーズンが終わり、航空代金が21%、観光サービスが4.4%と大幅減少。電力は13%、エネルギーは2.4%減少。商品は年率3.88%から3.67%へ減少と今回のインフレは食料品の牽引で、天候が落ち着けば収集する類いのようです。普通に考えれば来月の年間インフレ率は減少気味になると予想されます。

政策金利は据置

今週政策金利会合がありましたが、予想通りの金利据置11.0%で、全会一致とのことでした。ペソ高、サービス価格の高止まり、コスト圧力の増大、気候問題、地政学的リスク等々のリスク継続が利下げ見送りの理由だそうです。シティの調査によると36人中30人が6月の利下げを予想しているようですが、個人的にはさすがにそれはないと思います。

今まで見逃していただけかもしれないですがメキシコ中銀ホームページの見開きに次の言葉がありました。
El objetivo prioritario de Banco de México es mantener una inflación baja y estable.
(メキシコ中銀の優先目標は、低く安定したインフレを維持することである)
年末金利を10.0%まで下げようとすれば、8,9,11,12月の4回必要になるので、10.5%で終わると考える方が自然な気がします。

トピック

通貨:
先週17.02から週末は16.78
金利水準の長期化とドルペソの金利差からペソが買い戻される

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.20

メキシコ株:
週末株価は56.8から57.7
2週下落からの反発

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は6月28日
5月10日の政策金利会合は全会一致で金利据置
ヒース副総裁:年末政策金利は10.00~10.50%の予想
シティ:アナリスト36人中30人が6月の利下げを予想
INEGI:3月の経済成長率は年率2.1%、月次で0.2%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.5%・・・OECD、BBVA
2.4%・・・IMF
2.3%・・・メキシコ中銀、ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
1~2月の銀行利益は483.7億ペソで前年同期比12.8%増加

消費者物価指数:
4月の年間インフレ率は4.65%、前月4.42%より0.23悪化
4月の年間コアインフレ率は4.37%、前月4.55%より0.18改善
サービスは5.21%、前月5.37%より0.16改善
インフレ率上昇も野菜果物の高騰が原因でそれ以外は鈍化傾向

貿易収支・経常収支:
貿易収支 3月:21.0億ドル、2月:-5.8億ドル、1月:-43.2億ドル
輸入額 3月:486.5億ドル、2月:513.1億ドル、1月:462.7億ドル
輸出額 3月:507.5億ドル、2月:507.2億ドル、1月:419.6億ドル
中間財と投資財の輸入減少で結果として貿易黒字
アメリカへの輸出が前年同期比で1.2%減少
ブルームバーグは内需停滞を警告

3月送金額は52.1億ドル ドルベースでは46ヶ月連続増加
1~3月累計は141.5億ドル 前年同期139.3億ドルと比べ1%増加
ペソ換算で考えれば前年比15%減少

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
3月の消費者信頼感指数は47.3で楽観的
INEGI:2023年通年のメキシコ個人消費は4.39%増加

雇用・失業率:
INEGI:3月失業率は過去最低更新の2.3%、前月より失業者が9.7万人減少
非正規雇用が54.3%で前月より0.2%改善
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
4月の輸出台数は29.0万台で年間累積111.5万台で前年同期比12.1%増加
4月の生産台数は35.9万台で年間累積128.6万台で前年同期比5.7%増加
自動車産業は2023年の生産台数370万台から2024年400万(韓国、ドイツレベル)以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

4月の景況感は前年同月比54.2%で好況を維持

食品:
中米諸国でサトウキビが不作
熱波で野菜果物が打撃

エネルギー:

メキシコバスケットは74.80から74.98
AMLOはPEMEXの石油輸出を削減し国内需要に対応すると声明
メキシコ財務省:PEMEX債務債権に苦心

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
データ収集可能な中国製車両の制限を検討

USMCA以外:

観光業:


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