メキシコペソ 5月1週目 160円で日銀砲

日銀総裁の円安容認発言からドル円160円タッチ。そのあと2回の介入と米国指標からの円高ダメ押しとドル円では10円ぐらい動く殺人的展開。日銀総裁の不用意な発言が原因なのでいい気持ちがしません。逃げ遅れた人には言葉もありません。

ドル円が150円以上で推移することには違和感しかないのですが、長期的観点で圧倒的な金利差、貿易赤字継続中なのに円高目線で為替を見るのはどうかと思います。トレンド転換の判断は時期尚早だと思います。

利下げはいつ?

5月のFRB利下げはなく、インフレ抑制の利上げの可能性は少ないと想定内の発言。来週メキシコ中銀の政策金利会合で5人中3人が利下げなしを明言しているのですが、ハト派のメヒア副総裁が利下げに同意するのかどうかが唯一気になっています。全会一致なら次回の6月見送り、残り8,9,11,12月のうち2回利下げで年末政策金利が10.50%という可能性が強くなる気がします。

あと10年債金利ですが、アメリカとメキシコはほぼリンクして上昇しています。

中東紛争と米国債権金利上昇で、経済指標的には同じ条件なのに一方的にドル高ペソ安になっていました。ヒース中銀副総裁の16前半までペソ高が進むよりは17付近で安定するのが(現時点では)理想といっていましたが、地政学的衝突が起こらない限り16.8辺りまでは調整されると予想しています。

ただし日本円は何があるのか分からないので、ペソ円の動きは想像もつきません

ペソは危ない

モルガン・スタンレーによると次期政権の政策次第でドルペソは最悪19.20まで下落する可能性があると述べました。
具体的には
1)財政健全化
2)石油電力公営化
3)ニアショアリングの停滞
を上げています。

1)は年金、社会保障費の増加とコロナ関係で増えた国家負債の問題で財政規律をどうするのかが論点ですが具体的なことは分かりません。
2)3)についてはトランプ氏が大統領になれば確実にこじれると思います。普通は民営化で価格競争、自由価格なのですが、危機の時に価格統制できないので一長一短です。AMLOは国有化が持論で、中東問題でWTI原油が乱高下したにもかかわらずメキシコバスケットはあまり変化しなかったという利点もあります。
3)アメリカに製造業を回帰させるのは労働者不足で厳しいです。そもそも中国アジアから輸入される廉価な製品に高関税をかけて、高い国産品購入をといっても話は通らないと思います。(Kearney社:米国企業の60%近くがアジアから移転

今のところ比較的賃金の安いメキシコを残すのが現実的だと思っています。
この年末ドルペソ19.20が実現する可能性は本当に低いと思いますが、政権交代で歯車がどう狂うのか分からないので最悪の可能性も視野に入れておくべきかと思っています。

トピック

通貨:
先週17.16から週末は17.02
ドルペソは巻き戻しもボラティリティ高め

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.20

メキシコ株:
週末株価は57.3から56.8

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は5月9日
3月21日の政策金利会合は4対1で0.25利下げ
メキシコ中銀:5月利下げは検討外、5人中3人が否定的発言
ヒース副総裁:年末政策金利は10.00~10.50%の予想
INEGI:3月の経済成長率は年率2.1%、月次で0.2%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.5%・・・OECD
2.4%・・・メキシコ中銀、IMF
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
1~2月の銀行利益は483.7億ペソで前年同期比12.8%増加

消費者物価指数:
3月の年間インフレ率は4.42%、前月4.40%より0.02悪化
3月の年間コアインフレ率は4.55%、前月4.64%より0.09改善
4月中間の年間インフレ率は4.63%
4月中間の年間コアインフレ率は4.39%
ノンコアインフレ率が5.38%で2週間前の4.23%から記録的上昇
サービスは5.21%で高止まり

貿易収支・経常収支:
貿易収支 3月:21.0億ドル、2月:-5.8億ドル、1月:-43.2億ドル
輸入額 3月:486.5億ドル、2月:513.1億ドル、1月:462.7億ドル
輸出額 3月:507.5億ドル、2月:507.2億ドル、1月:419.6億ドル
中間財と投資財の輸入減少で結果として貿易黒字
ブルームバーグは内需停滞を警告

3月送金額は52.1億ドル ドルベースでは46ヶ月連続増加
1~3月累計は141.5億ドル 前年同期139.3億ドルと比べ1%増加
ペソ換算で考えれば前年比15%減少

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
3月の消費者信頼感指数は47.3で楽観的
INEGI:2023年通年のメキシコ個人消費は4.39%増加
ALSEA:売上は2.7%増加、FEMSA:売上が11%増加、外食飲料水は堅調
ウォルマート:最低賃金引き上げで可処分所得増加、消費は拡大

雇用・失業率:
INEGI:3月失業率は過去最低更新の2.3%、前月より失業者が9.7万人減少
非正規雇用が54.3%で前月より0.2%改善
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
3月の輸出台数は28.6万台で年間累積82.5万台で前年同期比11.3%増加
3月の生産台数は30.2万台で年間累積92.8万台で前年同期比0.1%増加
自動車産業は2024年の生産台数を400万以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

4月の景況感は前年同月比54.2%で好況を維持

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは77.73から74.80
米国企業活動の冷え込みで原油価格は低下

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
メキシコ政府は中国迂回貿易をアメリカ政府と協議中

USMCA以外:

観光業:

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