博麗神社に迷い込んだ秘封倶楽部

今日も今日とて、結界破りをする私。
そんな私に付き添ってくれる蓮子。
そんな私達が今日迷い込んだ場所は……。

「ねぇ、メリー。なんだか普通の場所に出たみたいよね」
「そうね、蓮子。なんだか拍子抜けする感じよね」

周囲は木々がたくさん見え、遠くから蝉の声がうっすらと聞こえてくる。
階段が後ろ側に見えて、ちょっとした丘の上っぽい。
静寂で厳かな、でも開けた場所に、普通の神社が目の前にあった。

「階段を上がって出てきたのが、見慣れた感じの神社なのは不思議ね」
「うーん、何か変わった様子はないかしら。えっと、『博麗神社』?」
「聞いたことない神社ね。一体、どこの神社かしら」
「とりあえず、境内に入ってみない?」

一歩ずつ歩いて見るけど、特に変わった様子はない。
京都のちょっと寂れた神社に、観光しにきた錯覚に陥っていた。

「うーん、誰もいないみたいね。人が住んでいる気配はするから、
 家の中にお邪魔してみようかしら。すみませーん!!」

返事はない。誰もいないのか、たまたま誰もいないのか。

このままでは、何となくすっきりしない。蓮子と目くばせして靴を脱ぐと、神社内の居住空間らしき場所へと入っていく。

「なんというか、昔の一軒家というのかしらね?」
「一体いつの昔よ、メリー。少なくとも私が小さい時にはこんな家は観光地ぐらいにしか存在していなかったわ」

しばらく歩くと、開けた庭が見え日差しが入り込んでくる。
「中を歩いていると外が見えるって新鮮ね」
「縁側って、いったかしらね。日向ぼっこするのによさそうな場所よね。ちょっとここで休みましょうか」

ポツンと大きめな樹木が立派な葉っぱをつけていた。なんという樹だろうか。ぼーと樹木を眺めていると、いつのまにか蓮子がいなくなっていた。

「あれ?蓮子、どこにいったの?」
「こっちよメリー」

振り返ると、巫女服に身を包んだ蓮子が立っていた。
「どう、この服。可愛いでしょ?」
そういって、スカートをたくし上げる蓮子。

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「どうって、確かに可愛いと思うんだけど、一体どうしたのよ、その服」
「メリーが樹木に見とれている間に、後ろの部屋を振り返ったら、ちらっとこの服が見えたのよ。どう素敵じゃない?」

 確かに素敵なのは認めるけど、どうしていきなり可愛いという理由で、誰のかわからない服、それも巫女服を着てしまうのか。
 というか、たくし上げる必要性is何?暑いから?

「そうそう、メリーにぴったりな衣装も見つけたのよ。着替えてみて?」
 うーん、まぁ、普段と違う服というのは気になるし、ちょっと着てみてみようからしら。巫女服着たくない、というのも嘘になるし。

 10分後、蓮子の口車に乗った私が馬鹿なのでは?と思った私でした。
「いいわよ、メリー。可愛いわ!そうそう、ちょっとスカートたくし上げるともっと可愛いと思うわよー」
 もう、どうにでもなれーという感じでたくし上げる私。

画像2


「もう、ちょっとは照れた顔してもいいじゃない?」
「できるか。内心恥ずかしいわ、ってか、そもそもなんで魔女みたいな服装なのよ。どういう神社なのよ、ここ」
「さぁ?ここの神主の趣味とか?」
「どういう趣味よ、ちょっと頭痛くなってきたわ。さっさと着替えて出るわよ」
「えぇー、似合っていると思うのにー」

パタパタ。
「…暑い××、××。やっぱ水浴×するに限××」
「あれ、××××人の気×、誰×来た××しら?」

「あっ、やばい。人が戻ってきた!逃げなきゃ!」
「えっ?なんで逃げるのよ、メリー!ちょっと待ってよ!」
突然の声に2人して慌てる二人。
咄嗟に玄関に向かって靴を履いたところで、2人の姿は見えなくなった。

「あ×、××服どっ×いって×な、代×りに××だ?見慣れ×××ある×?」
「私の×××××。服が××から、イタ×××きの妖×の××かと思っ×××××、代り×××××、何×の×××?」

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「で、どうするのよ。そもそも、なんで走ったのよ。マエリベリー・ハーンさん?」
「そのフルネーム呼びはやめてください。反省しています」
「もう、メリーにしては珍しい慌て方してたわね?面白いもの見れたからよかったけど。そんなにその服が恥ずかしかった?」
「うーん、恥ずかしいのもあったんだけど、なんかこの服着てたせいか、逃げなきゃ!って気分になったというか。上手く説明できないんだけど」
 ほんと、逃げなきゃって気分になったのはなんなんだろう?

「そういう服なのかしらね?で、どうしようっか?」
「早くおうちに帰って着替えたいわね……」

こうして、巫女服と魔女服を着た場違いの二人は、ほろ苦い思いをしたまま、暑い昼間の通りをそそくさと帰るのであった。

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イラストは八雲櫻さん(@yakumoOugama)のイラストをお借りしております。可愛い(語彙力)

実際のところ、巫女服と魔女服の二人が公道で歩いていたら、二度見されても仕方ないかな?と思います。

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