ヤモリ

暑かったように思う。5歳くらいの頃、二階の自分の部屋で工作をしていた。ふと顔をあげると、窓にヤモリがいた。窓にへばりついたヤモリを見て、自分のものにしたいと思った。特徴的なフォルムに、つぶらな瞳。爬虫類が大好きな私は、直ぐに捕まえた。ヤモリは私の手から逃げることは無く、大人しく捕まってくれた。すぐに虫かごに入れようと思ったが、庭の倉庫に片付けられていたことを思い出し、一時的にと手元にあった工作用に取っておいたいちごジャムの瓶に入れ、蓋を閉めた。

嬉々として駆け足で倉庫まで走った。虫かごは、またすぐに使えるようにと手前に置かれていた。首から吊るす用の紐を握りしめ、すぐに二階へと戻った。
瓶の中にいるヤモリは動かなくなっていた。直感的に、死んだんだと思った。今は窒息死だったと分かるが、その時は分からなかった。動かなくなったヤモリを虫かごに移して、再び工作を始めた。じんわりと汗ばんだ額が、気持ち悪かった。

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