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ChatGPTを活用して「英語脳」を育てる~ 接頭辞と語幹の組み合わせで考える

単語の合成についてのおさらい

日本語の「非常事態」という言葉は「非・常・事態」という部品から成っているのはご存じの通りです。「常にある状態ではない」という意味ですが、言葉の部品がそれぞれに意味を持ち、合わさってひとつの言葉として意味を持っていることはいまさら説明するまでもないでしょう。
そして、英語も同様に「部品で成り立っている」言葉がたくさんあります。例えば下図を見てください。

ここでは例として、port という語幹(英語で root もしくは base と呼びます)の直前に im, ex, trans といった接頭辞(英語で prefix と呼びます)を置くことで語幹に異なる意味を加えて独立した単語を合成しています。
このようなタイプの合成語を affixation と呼ぶそうです(この affixation という言葉も合成語ですね・・)。この他にも compounding というタイプの合成語もありますが、ここでは affixation の中でも「接頭辞」と「語幹」で合成される言葉に限定して進めます。

「英語脳」は初めて見る単語でも prefix や root から意味を推測できる

英語圏で英語を使う場合、今までに習ったり覚えたりしたことがない単語が出現します。特に英語圏で生活を始めたばかりの頃はほとんどがそういう言葉ばかりです。それらをいちいち辞書で引いて調べるわけにはいきません。代わりに会話のコンテクスト、文章、単語の部品などから意味を推測する方法を使うようになります。例えば英語圏の現地校(アメリカの中学校など)から以下のようなメッセージが届いたとして、その中にある substitute という言葉を初めて見たとします。

Due to an unexpected illness, Mr. Smith will not be teaching math today. A substitute teacher, Ms. Jones, will take over his classes until he recovers.

この場合、コンテクストは学校、文章は先生について、と理解できるはずです。さらに substitute という単語は 接頭辞 sub- と語幹 stitute から合成される単語だと想像して、かりに接頭辞 sub- の意味が「下に」や「部分的に」という意味を持っていて、語幹 stitute も「立てる」や「置く」という意味のがあると知っていれば、substitute の意味は、「下に立てる」や「部分的に置く」という意味で、実際には「代わりの先生」という意味だとアタリを付けることが出来ます。辞書を引く必要はないのです。
これが意味することはつまり語幹と接頭辞のストックが多ければ多いほど、初めてみる英単語でもその意味が大体わかるようになるということです。これも「英語脳」の特徴と言ってもよいでしょう。

ChatGPTを活用して語幹と接頭辞のストックを増やす

ここからは具体的にChatGPTを使って語幹と接頭辞を増やす方法について解説します。「英語脳」を育てる訓練ですからプロンプトはもとよりChatGPTとの会話も英語で進めます。英語モードに切り替えて「英語で考える」ようにします。そして語幹と接頭辞、いや root と prefix についても、そのニュアンスをダイレクトに英語で感じるように心掛けます。

プロンプト

以下のプロンプトをそのままコピペしてください(ChatGPT 3-5 と ChatGPT-4 のどちらでも使えますが、GPT-4の方が会話がより自然です)

# General instructions (if not provided yet)
- Do not add any greetings (ex. "Certainly, here is the list", "I hope it helps")
- Any double forward slash "//" in the prompts are comments and must be ignored

# Instructions
1. Generate a list of root or base that have variations with prefix (example: "port" which can be combined with prefix like "trans-", "im-", "ex-")
2. Ask the user for a choice from the list, either by the number of the root itself
3. Wait until user provides a choice, then for a given choice, generate as shown below example (here, the example is "volve")
## volve
The root *volve* comes from the Latin word "volvere," which means "to roll" or "to turn."
- **revolve**
  - The prefix *re* typically means "back" or "again," suggesting a repeated action or motion.
  - Example: "The Earth *revolves* around the Sun."
4. Repeat 2.

# Constraints
- Do not include those with "postfix". Only variations with "prefix"
- Limit the number of the items to: 10
- The social settings words are used: Any
- Domain: General
- Word case settings: lowercase
- Do not include roots: port // adds those you already learned

# Output format
{number}. {root} ({prefix0}-{root},{prefix1}-{root},...{prefixN}-{root})

GPT-3.5の場合、以下のような応答があります。これを眺めるだけでも驚きがあるかもしれません(今まで単体の単語として暗記しようとしていたものが実は部品で合成されていて、部品ごとにみると意味が分かる単語、などあるかもしれません)

ここで興味のある root の番号(例えば 2.)を入力すると、以下のような応答を得られます。(ここで本来ならGPTが「Please select a root by number.」という風にユーザ入力を即すはずなのですがGPT-4では出ますが、GPT-3.5では出ないときもあります。また、GPT-3.5では応答に重複が多く含まれる傾向があります。)

ここではじっくりと応答を読みましょう。ここで理解した root や prefix は絶対必ず、将来役に立ちます!このようにして、プロンプトを丸ごとコピペして、興味のある root を選んで、それと合わせて使えるprefix と合成された単語を例文として読んで「意味」をダイレクトに感じましょう。そうすることで「英語脳」の回路がひとつ出来るか、成長していくでしょう。

プロンプトを改造する

プロンプトにはいくつかのパラメータを設定しています。
Constraints というセクションに以下のパラメータを設けていますので、好きな値に変えてみて、ChatGPTに送信してみてください。

Limit the number of the items to: 10
応答のリストの制限数をデフォルトで10にしてありますが、好きな数に設定できます。
The social settings words are used: Any
会話のセッティングです。Casual や Formal などに変更してみましょう。デフォルトはAny(指定なし)です。
Domain: General
ドメインは単語の分野です。例えばビジネスシーンで頻出する単語の root を学びたいのであれば Business などに変更してみてください。
Do not include roots: port // adds those you already learned
すでに学んだ root はここにカンマ付きで指定すればChatGPTは応答にこれらの root を含まないようになります。ここでは port という語幹を含まないように指定しています。これがどんどん増えていけばいくほど学習が進んでいるといえます。

まとめ

日本語や英語には合成語が存在します。英語圏で未知の単語に出会ったとき、その単語の部品(prefixやroot)から意味を推測することができます。英単語の部品を直接的により多く理解できるように訓練することで「英語脳」を育てることが出来ます。この記事では、ChatGPTを使用して、語幹と接頭辞の知識を増やす方法を解説しました。この訓練を繰り返すことで、英語の合成語の意味を直感的に理解する「英語脳」を育てることができるようになるでしょう。


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