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これからのアイスショーに思うこと

時期的に少しタイミングを逸した話題ですが、先日Faoiが全て無事終わりました。私自身はTV観戦ですが、SNSの反応からAツァーは大成功だったことが伝わってきました。羽生さんの2プロは嬉しいサプライズでしたね。

昨年のFaoiの評判があまり良くなかったのは記憶に新しいところ。チケットを買って遠征までしてくれるのは羽生さんファンが多いというのに、あの羽生さんを生かし切れない演出は何だったのか。ルンバの使い方に対しても非難囂々でした。
今年は打って変わって、羽生さんを前面に押し出す演出で観客達は大盛り上がり。アーティストの皆さんも素晴らしかったし、他のスケーターたちの評判も上々。

羽生さんの出るショーでは、羽生さん以外のスケーターたちも相乗効果でよい演技が出来るのはよくある現象です。(確か昨年のSOIがそうだった。海外スケーターたちの演技のクオリティが日に日に上がっていった。)こう言う熱狂の渦を生み出してしまうのが、羽生さんの羽生さんたる所以なんですね。

今回のツァーでは羽生さんがBツァーに出なかったことからファンの間では「ミラノで仕事があるのでは?」というような憶測が飛び交っていました。実際は違っていたわけですけれど、考えられることとして、Bツァーの期間中に他の仕事があった。或いはFaoiは昨年で卒業するつもりだったけれど、主催者のM壁氏に懇願されてAツァーだけ出ることを承知した。だから今年は羽生さんを繋ぎ止めるために、羽生さんを前面に出す仕様に変えた?

いずれにせよ、羽生さんにとってFaoiは何が何でも出なくてはならないショーといった立ち位置ではなくなったことが分かります。Faoiの日程は大体予想が付くのだから、その期間のスケジュールを空けておけばいいだけの話。
Faoiの最初の発表を見ると、絶対羽生さんが全公演出てくれるであろうと思っての日程なのは明らかでした。主催者側にしてみれば、Faoiは海外スケーターが手紙でわざわざ自分を売り込んでくるほどの人気のショー、まさか出演依頼を断られるなんて思ってもいなかったのでは?
こう言う出演者との擦り合わせがちゃんと行われていない段階で発表してしまうあたり、以前の羽生さんの出演を最後まで発表しないでチケットだけ先行して発売している時も感じたのですが、結局主催者側は羽生さんに対しても観客に対しても自分達の方が優位であるという勘違いから抜け出せないんでしょうね。

先日、M壁氏のインタビューが東洋経済オンラインから出ていましたが、それによると「Faoiと羽生さん単独ショーとではお客さんを奪い合うというよりは、お互いに高め合いたい」と言っていました。そして「Faoiは多くのスケーターやアーティストが一緒につくり上げるエンターテインメント。その魅力をうまく打ち出していきたい」とも。
今や羽生さんの人気・実力が突出している状況でこのFaoiの目指す方向はどうなるのでしょうか。ここ数年観客をFaoiに引っ張ってきたのは間違いなく羽生さんであり、そしてその観客とは紛れもなく羽生さんを見たいと思ってやって来る人達です。

Faoiは確かに他のショーに比べて照明や演出、出演者が豪華です。Faoiの目指していることは、フィギュアスケート自体が見かけ通り一般人に大人気なら成り立つかもしれません。
多すぎるアイスショー、ましてチケット代や遠征費が高いなら、より満足する方に客が流れるのは必然。逆に羽生さんのショーの抽選に外れた人が他所のショーに流れるかというと、そういうこともありません。なぜなら実際はフィギュアスケート人気ではなくて、羽生さん人気と言われていますから。結果的に羽生さんのショーに客足が集中することになります。「奪い合うよりは~」どころか羽生さんの出ないFaoiは既に羽生さんのショーにお客さんを奪われているんですよ。

Bツァーを見に行ったお客さんの反応は「良かった」という意見もあれば「熱量がいつもと違う」とか意見はさまざま。(ここでは、席を移動させられたとかそう言う話は脇に置いておきます。)さすがにアーティストさんたちは熱演だったみたい。
ネットの反応などを見ると、Bツァーや他のショーに行った人は元からのスケオタさんが多かったようですね。このAツァーとBツァーの差をFaoi側がどう見るのか。今のところ羽生さん無しでは、あのトランス状態にも似た盛り上がりを起こすことは難しいでしょう。

羽生さんの出ないアイスショーがエンタメとして生き残れるのか、またM壁さんの望むように羽生さんのショーとFaoiとでお互いに高め合っていけるのか、鍵は他のスケーターたちの意識改革と成長にかかっているような気がします。これはもちろん主催者側も充分に分かっているはず。それが昨年のFaoi内で羽生さんの世代交代を彷彿させるような演出だったのではないでしょうか。ただその時の観客の反応を見ると、この対応は時期尚早だったようです。若手の成長がショーの存続に間に合うのか。そして何よりそれまで羽生さんがFaoiに出続けてくれるのか、主催者側にとっては正念場でしょう。

来年以降羽生さんがFaoiに対してどうするか気になるところですが、私自身は羽生さんにはスケ連と関わって欲しいと思わないので、羽生さんが自ら出ないと判断したのならそれで構わないと思います。単なる客寄せパンダとして羽生さんの貴重な時間も労力も消費されるのは嫌ですから。

「ちょっと気になったのは、Bツァーをはじめ、他のA田さんのショーとかT先輩のショーとかの感想に『がんばっていた』と言う感想が散見されたこと。何だろう、この保護者目線の感想。」

「少なくとも安くはないチケット代を提示しているのだから、『頑張っている姿』もいいけれど『頑張った成果』を見たいと個人的には思う。」

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