ユヅキノ*タワゴト vol.3

ひとは誰しも「自分の辞書」を持っている。

ひとは、環境で言葉を覚える生き物だ。置かれた環境の中で、気持ちを理解する術を身につける。言葉の定義は、同じ民族だからといって同じとは限らない。違う民族であっても、その定義が同じこともある。


恋愛するなら「価値観」の合う人がいい、と良く言うけれど、大切なのはまず、互いの「辞書」=「じぶん辞書」を理解する事だと思う。

「じぶん辞書」には「気持ちを表す言葉」の定義・意味が載っている。
その辞書は全世界統一型ではなく「全てが違う」。まず、それを認識しなくちゃならない。そして、相手が使う言葉の意味を知る為に、相手の「じぶん辞書」の中身を想像する。これで、早とちりして相手を傷つけたり、傷ついたりすることが、きっと減る。

例えば、恋人から「会いたい」と言われるのを喜ぶ人と嫌がる人がいる。
それは、持っている「辞書」が違うからだ。

<辞書A>
【会いたい】
---意味 
1. 交際相手に対し、恋しさや愛情を伝えるための言葉。
2. 焦がれている気持ちを伝え、必要だと伝えるための言葉。
3.必ずしも実現しなくてよい「会う」という行為への希望を伝えること

<辞書B>
【会いたい】
--意味
1. 寂しくさせている相手を責める時に言う言葉
2.必ず実現させなければならない「会う」行為への希望を伝えること

辞書Aをもつ人と辞書Bを持つ人。互いの持つ「じぶん辞書」が別物だと認識していない場合、電話口でこんなやりとりが起こるだろう。

「会いたいな」
「うーん…最近忙しいから…」
「会いたくないの?」
「スケジュールが厳しくて」
「そうじゃなくて…会いたいと思わない?」
「申し訳ないとは思ってる」
「申し訳ないって何?好きだと思ってないの?」
「思ってるよ。でも…」
「ひどい。愛が感じられない。」
「どうして!?」

これは、「互いの辞書は別物だ」と認識していないから起こる諍いだ。

もちろん、たまたま同じセンスで編集された辞書を持っている人と巡り会う事もある。そういう時は、お互いの辞書を見せ合う必要はなくなるだろう。けれど、全ての人がそうだとは限らない。だから些細なケンカが起きる。

もし、恋人と些細なケンカをしてしまうなら、お互いの辞書の存在について、話し合ってみるべきだ。端的に言えば、「私はこの言葉をこういう意味で使っている」という擦り合わせが、恋愛コミュニケーションに置いては、とても大切なんじゃないか、ということ。

相手の言葉に勝手に傷ついたり、勝手に判断してはいけない。
相手の辞書がどんなものなのか、探ろうとしなければいけない。
それと同時に「じぶん辞書」を使うことで、相手を傷つけたり、相手を不安にさせることがある、という事を、知っておかなくちゃならない。

恋愛に大切なのは、何よりも、思いやり。
相手を大切に思う気持ちだと思うから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?