Season 1 Finalsがやってくる

皆さんこんにちは。ERクリエイターの10pです。
普段はEternal Return esports JP Wikiの編集をしていたり、Twitchの配信で上位圏プレイヤーのランク戦や大会のリプレイの視聴を行ったりしています。

今日はこの週末、10/28(土)~10/29(日)に開催されるEternal Return Masters 2023 Season 1 Finalsについてのお話をしに来ました。
韓国でERMの公式放送の解説も務めていたPILLUS氏をコメント欄に現れたところを捕獲しお招きして完成したチームの傾向分析の図解をもとに、Finalsの面白さについて迫っていきます。


2023 Season 1 Finalsの概要

Eternal Return Masters 2023 Season 1 Phase 1から始まりPhase 3までの計3大会、そしてFinalsへの文字通り最後のチャンスをかけたLast Chance Qualifierを経て決定した計12チームが、今シーズンの王者を決める為に戦う
名実ともに今シーズンを締めくくる最後の大会がこの2023 Season 1 Finalsです
正式サービス開始以降初めてのシーズンファイナルということもあり、非常に意味のあるこの大会。
今回はDay1とDay2に分けてられており、8チームがDay2進出を懸けて争う全6ラウンドのDay1、サーキットポイントにより既にDay2への直接の出場権を持った4チームと合流してのDay2、決勝戦という流れを取っています。
今回出場するのは以下の12チーム。
まず、Day1に出場する8チームから

  • Asher ( Noguri / Haemyu / Narvic / mangnani )

  • Tricksters ( Raiden / 100soo / Dogamja / Beobeo )

  • Fairy ( Liguri / AlTo / shinonome / Geomki )

  • ER Fighting ( ChamYeon / SkySmell / GangChan / RMaru )

  • HappyGaming (MOMMA / WiD / ECID / CubeC )

  • ClusteR ( Bible / Pied / Cadmus / Reol )

  • MZ Club ( YoMi / Zerojin / Gamjatang / MyeongJo )

  • Wild Hunter ( fana / ing9 / Unibell / Wakcul )

そして、上記8チームの中から勝ち上がった4チームを待ち受けるDay2に出場する4チーム。

  • MIRAEN SEJONG(旧Naerreum) ( danana / gwork / OneCircle / Fang )

  • OwO ( JCP / Revolu / JUMO / DINA )

  • Favor ( SeoEunSeol / Seomak / DaSoo / netizan )

  • Newclear ( Glove / Seogunam / Romatic / Sugaru )

馴染み深い名前から久しぶりにみた名前、あるいは1.0から急に頭角を現してきたチームまで、様々な強豪チームが勢ぞろいです。
そんな12チームを今回は韓国で解説を務めていたPILLUS氏の分析を中心に、一つの図を制作して傾向をわかりやすくしてみました。

Finals 出場チーム分析

では、勿体ぶらずにチームの方向性の分析を見ていきましょう。

配信上でつくりました。

分布としてはこんな感じ。この図を作った当時のアーカイブはこちらに残っています。大体は配信で話した内容とかぶってしまうと思うので、逆にポッドキャスト番組的なノリで"聞きたい"という方はアーカイブを見てみるのもいいでしょう。
全体的な印象としては、まずDay2進出を既に確定している4チームはOwOを除いて安定志向寄りです
盤石に有利を積み上げてここまで来た、という雰囲気がしっかりと伝わってきます。OwO以外は。こいつは何なんだ。
一方でDay1からの参戦となるチームは全体的に安定性(ローリスクローリターンの積み重ね)よりも強い攻勢(ハイリスクハイリターンの立ち回り)を重視しているような形に。実際のところ、Finalsに至らなかったチームの傾向を振り返ってみるとそのどちらのタイプもいることから「安定志向のほうが優れている」と断言できるわけではありませんが、いずれにせよDay1は激しく火花が散る様子が見られそうです
この図だけでなんとなく「このチーム面白そうだな……」というのが掴めてくる人もいるかと思います。
ハイリスクハイリターンの立ち回りは派手なプレイメイキングがあることからキャッチーな華やかさがありますが、一方で安定志向のチームが勝ち上がる姿というのは精緻な状況の形成などから「おぉ……」と声が出るような、じわりと感嘆するプレイングを見せてくれるので、両者それぞれに違った面白さがあります
とはいえ、分布だけで終わってしまうのも話として勿体ないので、各チームが何故その立ち位置に収まったのかという短評もお話していきたいと思います。

Asher ( Noguri / Haemyu / Narvic / mangnani )

この図を作り始めて初っ端から超アグレッシブということで一気に上方向に引き上げられたこのチーム。PILLUS氏によると、残念ながらフェリックスなどで優れたプレイングを見せていたHaemyuは兵役で出場ができないという情報がありましたが、残るメンバーも錚々たるメンバーです。
肝になるのはやはりかつてFireとして名を馳せていたアグレッシブの化身のようなチームからやってきたmangnani
彼の使うビアンカは他の追随を許さない凄まじい強気の姿勢でチームを牽引していきますが、それについていくNoguriやNarvicもそのスピード感に遅れることなく、ClusteRと並んで最も攻撃的なチームとしてハイレベルな連携でまとまっています。
後述のClusteRが個人技寄りのスタイルなのに対し、こちらはチーム一丸となっての強い攻勢が見れるという点で違いがあるのがポイントです。

Tricksters ( Raiden / 100soo / Dogamja / Beobeo )

そして2チーム目にして早速我々を困らしたのがこのチーム。
というのも、彼らは非常にアグレッシブ……と思いきや途中から安定志向に切り替わるという、いわばハイブリッド的な趣のチームがあります。
以前は消防署でかなり早いグループアップを行い他の選手を刈り取る姿から消防署の悪魔とも呼ばれていたとか。そんな彼らですが、急速再生効果がある2日目夜までは非常に強い攻勢を見せ、ダイリンRとエマERなどの連携で積極的にキャッチからのキルを狙う姿が見られていますが、一方で急速再生効果が終了して死亡の重みが大きくなると一転して有利を落とさないようなプレイングに切り替えていくという特徴が語られていました。
そういう意味では、Trickstersという名前の通り変幻自在という言葉が似合うチームでもあるでしょう。
戦闘としては100sooがダイリン、Beobeoがエマのエキスパートでありこの二人のピックがブレることは全くありません。DogamjaやRaidenはある程度ピックに幅がありますが、そこを加味しても全体的にちょっと個人技に寄っているような印象で、大会を通して「荒らす」といった姿をよく見せてくれるため観客からの人気も非常に高めです。

Fairy ( Liguri / AlTo / shinonome / Geomki )

X軸が左に突き抜けそうなくらいの個人技の主張が強いチーム、それがこのFairyです。
それもそのはず、一人のキャラクターに絞ってプレイをし続ける「OTP」「職人」などと呼ばれるプレイヤーが集まってしまい、お互いが個性を譲らなかったという凄まじい成り立ちがあるこのチームは、個人個人が各々の使うキャラクターの非常に卓越した技術を持っており、shinonomeの使うジェニー、AlToの使うカーラが移動スキルを適切に使うことでチームとしてのフットワークも軽く常にいい形を維持できているというのもポイントです。
もちろんそのプレイングは非常に攻撃的で、高いレベルの攻勢がどんなものかを教えてくれるようなチームです。

ER Fighting ( ChamYeon / SkySmell / GangChan / RMaru )

Trickstersに続いて我々を困らせたチームがこのER Fighting。というのも、彼らが出場した二大会で少々印象の異なる様子を見せていたことから、Finalsではどういった形にまとまるのか?という部分の分析にやや苦労しました。
このチームに中心にあるのはPhase 3でも強い存在感を放っていたGangChanのレノックスと、そこに並ぶSkySmellのライン。
もはや我々が知っているレノックスとは別のキャラクターではないか?と疑うほどの強い攻勢を見せたGangChangのレノックスは非常に印象深かったですが、チームとしては前のめり過ぎず、勝ち方としてはチームで勝つという姿を見せてくれたことからFavorなどと並んでかなり連携寄りのチームに仕上がっています。

HappyGaming (MOMMA / WiD / ECID / CubeC )

ここまで来てようやく現れた安定寄りのチーム、それがこのHappyGamingです。WiDがアデラを繰り出すまでは莉央、マイ、アレックスといった形で構成としても安定重視という姿が見られており、プレイングとしてもリスクを取りすぎないような盤石な戦略を見せていました。
途中でWiDが自身のメインキャラクターでもあったアデラに切り替えてからも、アデラによる一人を消し飛ばすムーブを取り入れつつもチームの方向性は崩れず、という形で試合を展開しており、ある意味では安心して観れるチームという側面もあります。

ClusteR ( Bible / Pied / Cadmus / Reol )

こちらはかなり肯定的な意味合いでの問題児的なチームで、メンバーの全員が近距離系かつ攻撃的な実験体を使うプレイヤーという、成り立ちから実際のプレイングまですべてが攻撃的という強烈なチームです。
特筆すべきはCadmus。彼は今シーズンから初参戦で……ということはなく、その正体はSKSという名でかのFireの一員として活動していたあの人です。
要するにAsherと並んでFireの遺志を継ぐチームということになります。
そうとなれば納得のアグレッシブさ、持ち前のピックプールで強引に戦況を切り開いていく姿は大いに観客を盛り上げてくれるでしょう。

MZ Club ( YoMi / Zerojin / Gamjatang / MyeongJo )

今回の図の文字通りど真ん中に陣取っているこのチーム。
しかし、昔からERMを観ていたプレイヤーからするとこのメンバーの並びを見たときに「確かに」と納得して頷くような面々ではあります。
しばらくコーチなどの活動をしておりシーンに直接は顔を出していなかったザヒルのエキスパートZerojinや、昔からシルヴィア職人としてパワースパイクの管理などの緻密なプレイングで知られているGamjatangなど、個人のレベルの高さが伺えるこのチームですが、チームの連携面も非常に優れています。
そして、MyeongJoのマーカスを中心にした仕掛けで一人にフォーカスを絞って落とし切る戦略などから攻勢も……と思いきや、彼らのLCQなどの試合での平均順位を見てみると、他のチームと比べてかなり優れた記録を残しており……といった感じで、結果的にど真ん中も納得のチームという出来栄え。
もちろん今の説明を読んでわかる通り、ど真ん中=無個性なんてことは全然ありません。様々な面で高いレベルにまとまったこのチーム、LCQからの参戦ではありますがなかなか面白い展開を見せてくれそうです。

Wild Hunter ( fana / ing9 / Unibell / Wakcul )

「なんだかこのメンバー、見覚えがあるような……」という方がかなり多くいそうなこのチーム。そう、シーズン中はずっとFamily Manというチーム名で活動していた彼らが名前を変更してLCQから勝ち上がってきたのがこのWild Hunterです
となれば説明不要……というわけにもいかないので紐解いていくと、現環境で苦しいとされている遠距離AA系実験体の中でもWによるキャッチ能力といった総合的なスペックの高さから十分な強さを持っているクロエを扱うfanaを中心に、フォーカスを合わせることで相手を固めて動けなくすることで有利な状況を作りやすいニッキーを運用するing9、そしてその間に入って持続的なダメージと睡眠で徹底的に場を荒らしていくヴァーニャを高度に使いこなすUnibellと、攻撃的ながらチームワークをしっかりと形成してまとめ上げられているのがこのチームです。Wakculもここに並んだら非常に面白い展開ではあったんですが……Wakculが出てこないことについては様々な事情に詳しいPILLUS氏にとっても謎なようです。
ing9は元々幅広いキャラクターピックを持っていることで知られていましたが、最近もスクリムなどの場で色々と模索しているとの噂。
となると、好成績のクロエ/ヴァーニャ/ニッキー以外にもまた新たな秘密兵器を引っ提げてくる可能性もあり、非常にワクワクします。

と、ここまでがDay1の出場チームです。
ここからは打って変わってOwO以外は安定志向気味となるDay2のチームたち。そんな彼らの強さの秘訣、あとOwOの謎に迫っていきたいと思います。

MIRAEN SEJONG(旧Naerreum) ( danana / gwork / OneCircle / Fang )

先日エタリタ初のプロチーム契約が行われたという衝撃のニュースの渦中にいるdanana、OneCircleを抱えるこのチームはここまでの大会で圧倒的としか言いようがない凄まじい好成績を残してきました。PILLUS氏曰く、大会を通しての試合勝率が55%とかそれくらいあるらしい
ついでに余計な話をしておくと、少し前にPILLUS氏がdanana氏と通話をした時にdananaがゲーミングハウスめいた場所で応答したとかなんとか。すごい所まで来たな。
Phase1~3のすべての大会でグループステージ平均1位通過というとんでもない成績を残している彼らですが、戦略としてはオブジェクトを中心に強烈な攻勢を見せてくる一方で、それ以外の時間は徹底した視界管理や罠の準備など、強烈な攻勢を見せるシーンのための周到な準備に時間を使うという抜け目のないチームです。
以前なら文句なしの最強……と言いたいところでしたが、今シーズンの今までの大会では数々のチームがこのチームに牙を剥き打ち破ってきたという流れもあり元祖最強プレイヤーgwork率いる強者集団とはいえどうなるかわからないという展開になりつつある感じ。
しかし、いかなる時も余裕を崩さないような強かなプレイングは非常に良い評判で、もしかするとこのFinalsで最も期待されているチームかも知れません。

OwO ( JCP / Revolu / JUMO / DINA )

さて、Day2のチームはすべて安定志向寄り……と見せかけて、1チームだけものすごいポジションにいたこのチーム。
メンバーの雰囲気もFairyのような個性派集団といった趣がありますが、こちらは打って変わってチームメンバー同士の強固な連携でアグレッシブさを発揮するチームです。
強く印象に残る場面といえば、Revoluのハートがかなり前のめりなポジショニングからRを放ち、そこにJCPがLv3にした無効化で合わせて荒らし回るコンボ。その間DINAによるアディナがしっかりフリーで動けるようRevoluがかなり深めのポジションにRを刺していくところもポイントで、そういったチームワークによる強烈な爆発力を武器にした攻勢で勝ち上がってきたのがこのチームです。
最近はハートのナーフの影響が色濃く出てしまい違う構成を運用していますが、相変わらずチーム一丸となって強さを押し付けていく様子はブレない模様。
何かと華やかさがあるプレイングに愛嬌のあるチーム名で非常に人気の高いチームです。
/\___/\
( .OwO. )

Favor ( SeoEunSeol / Seomak / DaSoo / netizan )

今回の図の中で、最も安定志向で最も連携重視という、尖っていたFairyと真逆のチームカラーを持っており、その強かさで最強と思われていたNaerreumにも正面から打ち勝ったこともあるというこのチーム。
簡単に言ってしまうと「無理をしない」というのがこのチームではありますが、逆にそういった逸脱しない範囲での戦闘は緻密な連携でしっかりと取りきっていくという、安定した強さとはなにかということを身を以て教えてくれるようなチームです。
SeoEunSeolのピックが少々変化することがありますが、基本的に戦略の方向性などは一貫しており、それらが露骨に失敗をしてしまう光景も全く見られておらず、安心と信頼という言葉が似合うような印象です。

Newclear ( Glove / Seogunam / Romatic / Sugaru )

このチームは安定志向ながら個人技にちょっと寄っているというやや異色の雰囲気ですが、その雰囲気を形成している中心にいるのはメインでダメージディーラーを務めるRomatic。彼の個人技の高さは目を瞠るものがあり、解説のPILLUS氏からも非常に高い評価を受けています。
そんな彼の強いフィジカルを残りのメンバーが強固に支える連携、ということで、いわば間を取るような感じでチームとしてはこの位置取りになったという流れで、あくまでもチームの中心はRomatic。
しかし、そのフィジカルの強さに依存しすぎずチームとしては安定した好成績を残していることからY軸はNaerreum以上Favor未満といった絶妙な位置での安定重視という評価がついています。
とはいえ、Romatic以外のメンバーもSeogunamを中心に非常に技量の高い面々で、全体的な仕上がりとしてもかなり高度なレベルでのまとまりがあるチームです

おわりに

そんなこんなであっという間に全12チームの紹介が終わってしまいました。
個人的な話をすると、Day1はMZ ClubとAsherにはどうしてもDay2進出してほしいなと言う気持ちがあり、Day2の面々で言えばFavorが個人的な推しチームであるほか、なんやかんや15ヶ月サブスクしているDINAのファンなのでOwOも頑張って欲しい……!となりなかなか千切れそうな身での観戦になりそうです。
これを読んでくれた皆さんも今回の分布などを見て「ここ応援してみようかな」みたいな方向性が決まったりしたらなかなか楽しく観戦出来るんじゃないかなあと思います。

普段の配信では毎週火曜日にカスタムを開催しているほか、大会や上位圏のリプレイを観たり、もしリクエストがあれば特定のキャラクター、特定のプレイヤーなどのリプレイ視聴なんかも出来たら良いなと思っているような感じです。
今回の記事を執筆するにあたって、チーム傾向の分布の制作に急遽お呼びしたにも関わらず協力してくれたPILLUS氏にこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!
正式サービス開始以降初めてのFinals、日本語放送ももちろんあるはずなのでぜひみんなで盛り上げられたら嬉しいなと思います。
では、また機会があればお会いしましょう!

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