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ショートストーリー

18
3~5分程度で読める、オチがあるようでない感じのお話です。
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#ふたり

からんころん

からんころんと下駄の音 響く町角 夜店のあかり こころ弾ませ 人波分けて あのひと目指し まっしぐら 愛し恋しの 思いは秘めて されどこころは ヨーヨーに似て 息弾ませて こころも弾む 早く逢いたい あなたの元へ ソースの香り 祭りの囃子 ほんの小さな 鳥居の傍で 背中見つけて きゅんとする 抱きしめようか どうしよか くるくる迷って ちょんと突く 振り向くあなた こころは上々(しゃんしゃん) そして並んで 歩き出す からんころんの下駄の音

水詠

あのね。 最近、水泳、始めました。 スイミングクラブに、行ってるんです。  そう、彼女は俯き加減でとつとつと話し出す。 ほぅ。 そうですか。 泳ぐのは、得意なんですか?  私は、彼女の隣に腰掛けて、俯き加減で問う。 ううん。 全然です。さっぱり泳げません。 …でも、浮かぶのは好きです。  彼女はふるふると首を振って、そう応えた。 それじゃぁ。 スイミングクラブでは、いつも浮かんでるんですか? ぷかぷか、っと。  冗談のつもりで、私はそう聞き返す。 ふふふ。 そ