マガジンのカバー画像

ショートストーリー

18
3~5分程度で読める、オチがあるようでない感じのお話です。
運営しているクリエイター

2020年11月の記事一覧

ゾンビのツメを切る

なんやかんやあって、人類の半数以上がゾンビとなってしまった。 その原因とかを細かく説明してると日が暮れるので、そこはもうなんやかんやで流して頂きたい。たぶん、ウィキペディアには書いてあるし私だって決して説明できないわけではないのだ。 ともかく、日常は様変わりしてゾンビが日常的に徘徊する、意外と既視感のある世界が私らの生活環境となったんだ。 そして、人というのは慣れることに掛けては素晴らしい素質を持っていて、今回の件でも相当の柔軟さを持って対処できてしまった。 まずゾンビ

わたしたちはにている

法事で料理の手伝い。 大きな鍋に一口大の具材。じゃがいも、里芋、人参に筍、大根、蓮根、牛蒡、椎茸、蒟蒻、豆腐、昆布、鶏肉、そしてピーナッツ。 節操のない取合せだけど、地元で集まりがあると必ず出される「にごみ」。 長崎は大村の郷土料理。いわゆる煮物で、具材がコロコロ小さくてピーナッツが入ってる。とにかく量を作らないといけないから準備はなかなか大変だけど、煮込みに入ったらあとはぐつぐつ。 「私、らっかしょ苦手」 妹はピーナッツのことをらっかしょと呼ぶ。祖母の影響だ。 「"