新劇感想に向けて

新劇みた

シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 見ました。本当に終わったなーと思った。簡単にいうと、庵野監督は安野モヨコと結婚したことで新劇に至ったのかなあとか、なんの文献も読んでない私が思った。真実は庵野監督の中にあるので、まあわからないけれども庵野監督が人生の中でエヴァンゲリオンに投影して出した答えをこれは追っていかなきゃいけない、書ききれん頭爆発…となって爆発したら困るので、とりあえず旧劇ラストから落とし込んでいくことにする。

はじめに:旧劇ラスト

使徒を迎撃していき最後の使徒である渚カヲルを倒すことにより、人類補完計画(知恵の実のみを食べた人間が、生命の実も与えられることで、人類全てが完全単一生命体として進化すること。完全単一生命体になることで、全ての魂が一つになるから争いも諍いもなく、死んだ人ともその人を知っていれば一つになれるし会える。人々の心の欠けた部分を埋めて補完する計画。)が発動する。しかしゼーレの思惑とは外れ、主人公の碇シンジが精神世界で対話をすることにより、「もう一度会いたい」という気持ちから、他者と自分の境目がなく一つになる世界よりも他人のいる世界を選ぶ。そして、アスカとシンジ二人きりの世界になるのが旧劇の終わり。

シンジとアスカの類似点

〈過去〉
・シンジは初号機とのシンクロテストでコアに母親が取り込まれる。
 
・アスカは母親が弐号機のなかに精神の大半を取り込まれ抜け殻になり、人形をアスカだと思い込んでアスカを見てくれなくなり最終的に自殺。父親はアスカを置いて再婚。

〈内面〉
・シンジは目の前で母親が実験失敗。父親に捨てられたのがトラウマになっており、自分はいらない子だと思っている。

・アスカは精神を病んだ母親に人形ではなく自分を見てもらおうと頑張るも、パイロットに選ばれたその日に母親が自殺しトラウマになる。母親が死んだのは自分が期待に応えられなかったからだと思っている。

・トラウマからシンジは周囲の評価に過敏になっており、エヴァに乗ることで自分がネルフにいて良い理由や他者からの条件付きストロークを得ることで自分は無価値ではないと思いたい。

・トラウマからアスカは「もう泣かない」「誰にも負けられない」と決意。周りから認められる、必要とされる価値ある自分でいなければならない。エヴァにのることて条件付きストロークが一定で得られる。

・2人とも無条件のストロークが欲しい。

アスカはシンジが好き

レイとシンジの関係を気にしていたり、精神攻撃を受ける中でシンジの顔を思い浮かべたり、アスカはシンジのことが好き。けど、じゃあシンジは?と言ったら、普段の態度でも冷めてるし、キスしても靡かないし、TV版でもアスカの首を絞めちゃえるくらいにはシンジはアスカの命はどうでもいい…

シンジのことが好き。でも、シンジはアスカじゃなくてもいいし支えてくれるなら誰でも良い。
シンジがアスカに助けを求めても、アスカはシンジがアスカだからこそ選んだのではなく、消去法でアスカを頼ってきてるのがわかるからシンジに冷たくあたってしまう。

「あんた誰でもいいんでしょ。」「本当に他人を好きになったことないのよ。」「その自分も好きだって感じたことないのよ。」

アスカは他者と一つになりたいのではなく、シンジだけと一つになってシンジを独占したい。もしくは、シンジと共に居たい。だからこそ、そうならないならば何もいらないので後まで旧劇ではアスカだけは融合を拒否。

「でも、あなたとだけは、死んでも嫌。」「あんたが全部私のものにならないなら私何もいらない。」


シンジの選択

シンジは自分が自分であるために誰でもいいから支えて欲しい。けど、自分が他人から受けいられたり認められる自信がないので、また否定され捨てられるならば他者という存在ごと(そして自分も)消えてしまってもいい。だからこそ、完全単一生命体として人類補完計画が進んでいく。しかし、精神世界で対話をしていく中で、他人をのいる世界を望むようになる。

「あそこでは、嫌なことしかなかった気がする。だからきっと、逃げ出しても良かったんだ。でも、逃げたところにもいいことはなかった。だって、僕がいないもの。誰もいないのと、同じだもの。」

「だけどそれは見せかけなんだ。自分勝手な思い込みなんだ。祈りみたいなものなんだ。ずっと続くはずないんだ。いつかは裏切られるんだ。ぼくを見捨てるんだ」

「―でもぼくはもう一度会いたいと思った。その時の気持ちは本当だと、思うから。」

シンジの望む他人は自分が自分で居られるための他人。自分を支えてもらうためには他人がいなきゃいけないじゃん、でも他人は自分じゃないから裏切られたり見捨てられたりする。でも、「会いたい」と思ったこの感情は本物なんだ。そして元の世界であることをシンジが選択したことで、人類補完計画を拒絶しリリスが自壊する。


アスカの首を絞めるシンジと、

アスカの「気持ち悪い」

最終的に傷つくことがあっても他人が自分を支えてくれる元の世界を望んだシンジ、しかし目覚めてみるとそこには横たわるアスカと自分だけしかいない。自分を支えてもらうために他人が必要で、みんなにもう一度会いたいと思ったシンジ。シンジはアスカの好意に気付いていないので、シンジにとってアスカはいつもキツい態度で、自分を否定してくる、傷つけてくる女の子。

「いつかは裏切られるんだ。ぼくを見捨てるんだ」

いつかはなんて思っていたのが、目覚めて居たのがアスカだったのでシンジはまた裏切られる、見捨てられるんだ。と思い、自分が傷つくその前に、目覚めていないアスカの首を絞めて殺そうとする。

「あそこでは、嫌なことしかなかった気がする。だからきっと、逃げ出しても良かったんだ。でも、逃げたところにもいいことはなかった。だって、僕がいないもの。誰もいないのと、同じだもの。」

首を絞めたものの、嫌なことから逃げてもいいことは無かったし、ここで目の前のアスカを殺してしまったら本当に世界で自分1人だけになるので殺すに殺せないと葛藤する。

当初は「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ」がセリフだったものの。
庵野がアスカの声優宮村さんに「寝ていて、起きたときに横で男が自分を見てオナニーしていたら、何て言う?」と聞いて、宮村さんが「気持ち悪いですかね。」と答えたのに対して。「そうか。それで行こう」と決定。

シンジはずっと自分が捨てられるのに怯えて、結局元の世界を望んだのも自分が他人に支えて欲しいからだし、今アスカの首を絞めてるのも自分が拒絶されるのが怖いから。アスカからしたら、最後のここまできても自分の気持ちはガン無視でずっと独りよがりな自分との対話とオナニーをしてるシンジ。

そもそもアスカはシンジを無視して口出ししなきゃいいし、シンジを好きになってもあんな男なので、どうあがいてもアスカを幸せにできないわけなんだけど。アスカは結局いつもシンジが気になって、口を出すし、反抗するし、首を絞められても抵抗せず頬を撫でてあげるくらいシンジ好きで見捨てられないアスカ。
認められたくて自分の価値が欲しくて自分を追い詰めて生きるアスカが好きになったのは、自分を認めてくれない求めてくれない見てくれないシンジ。なんでシンジなんかを好きなんだ、とか好きなのにあまりにシンジが振り向いてくれないことが、よりストロークを求めてマイナスのストロークですら欲しくなる。それがいつの間にか、愛なのか憎しみなのか自分でもわからなくなるのかなって。
あの「気持ち悪い」は、シンジのことも気持ち悪い(愛情はあっての言葉)だけど、きっと自分に似た部分のあるシンジを捨てられない好きでいてしまう自分も気持ち悪いのではないかな…

とここまで旧劇の自分なりのまとめ。
つぎは、自分が見てきた他作品もだしつつ。進撃の感想もしつつ。

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