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《魂の仕切り》で生まれ変わったアゾリウスコントロール

 皆さんこんにちは。

 つい先日BIG Pioneer Festival 2022が終了し、僕の中で今年のパイオニアシーズンが終了しました。

 11月最終日に常滑で行われたプレイヤーズコンベンションオープン2022、そしてBIG Pioneer Festival 2022、その結果はいずれも準優勝でした。


 優勝にあと一歩届かずに終わってしまいましたが、それでも苦手意識の強かったパイオニアでそれなりに勝つことができ、嬉しい思いもあります。

 今回はそんな2つのトーナメントで準優勝だったアゾリウスコントロールについて、誕生の経緯から、時系列順にお話ししていこうと思います。

 いつものデッキガイドはまた別の記事をアップしますので、詳しい解説記事が読みたい方はそちらをお待ちください。

■始まりはパイオニア神

 実は僕、プレイヤーズコンベンションオープン2022で使用するデッキを、ほぼロータスコンボに決めていました。

好きなんです

 というのも、僕は『兄弟戦争』加入前のパイオニア環境がとても苦手でした。店舗予選を抜けることができず、プレミアム予選でも負け続けていて、結局チャンピオンズカップファイナルの権利を取れませんでしたからね。

 そのため、「もう好きなデッキを使おう」と決めており、深く考えずにロータスコンボに決めていました。だからパイオニア神でもロータスコンボを使用し、確か4勝4敗ぐらいで終えました。

 正直ロータスコンボが全然良いデッキだとは思っていなかったので、この成績にも納得し、かといって別に他のデッキを使う気にもなれず、「このまま来週(プレイヤーズコンベンションオープン2022)もこのデッキで良いかな」なんてぼんやりと考えていました。

 そんな時、僕の友人がアゾリウスコントロールを使用していたのが目に留まりました。彼がアゾリウスコントロールを使って負けているのを見て、僕はこう思いました。

(アゾリウスコントロール、なんて弱いデッキなんだ…)

 正直見てられなかったので、今すぐにアゾリウスコントロールの使用をやめるように告げました。しかし、彼は最近アゾリウスコントロールを組み、それ以外のデッキを持っていなかったのです。

 このままでは彼がプレイヤーズコンベンションオープン2022で負けるのは確実。しかしアゾリウスコントロール以外のデッキを持ち込むことはできない。

 見かねた僕は、友人のためにアゾリウスコントロールについて本気で考えてみることにしました。

■記憶を呼び起こす

 僕がパイオニアでアゾリウスコントロールを使用して勝ったのは、年明けのパイオニア神挑戦者決定戦でした。

 その時は木原くんに75枚リストをもらい、毎ラウンド「このデッキ大丈夫か??」と思いながらプレイしていて、なぜか優勝していました。正直、なぜあの日勝ったかは今でもわかりません。

 その時に不満だった点を思い出すことにしました。

・除去が弱すぎる

 《運命的不在》以外に採用できる除去は少なく、その《運命的不在》も当たらないマッチが多く4枚採用しづらい。

弱すぎる

 そのため、《アゾリウスの魔除け》を4枚採用していたが、このカードもとにかく弱かった。

・《覆いを割く者、ナーセット》が弱すぎる

君、いつ置くん?

 パイオニア環境は早く、3マナのプレインズウォーカーを出す余裕がない。

・そもそも緑単ニクソスに不利

 《老樹林のトロール》と《茨の騎兵》に対して打ち消し以外でまともな対処手段が《放浪皇》しかなく、簡単にケアされてしまう。結果、《ニクスの祭殿、ニクソス》で大量のマナから複数アクションを取られ、大体は《大いなる創造者、カーン》が通って敗北。

 などなど、様々な不満が噴出。

 友人が使用していたアゾリウスコントロールもこの不満点を全く解消できておらず、安西先生のあの顔が浮かんできました。

 とはいえ、友人のためになんとかネクストレベルアゾリウスを組まなければならない。

 何か新戦力はないものか?そう思いながらカードリストを眺めていると、1枚のカードが飛び込んできました。

■すべてを変えた《魂の仕切り》

 そう、《魂の仕切り》です。このカードがすべてを変えました。

土地以外全部に触れるソープロ

 《老樹林のトロール》と《茨の騎兵》に完璧に対処でき、序盤の猛攻を抑え、《ドミナリアの英雄、テフェリー》からも構えることができ、エンチャントやアーティファクトにも触れられるため、腐るマッチがほとんどない。それが《魂の仕切り》です。

 このマスターピースを発見したことで、アゾリウスコントロールに希望の光が差し込みました。

 パイオニア神の翌日、吉祥寺の晴れる屋でチャンピオンズカップ店舗予選がパイオニアで行われるので、新デッキを脳内で組み、そのまま持ち込みました。

 その時使用していたリスト。今とほぼ変わらないですね。特にマナベースはこの時点で完成していました。

 一般的なリストと大きく異なるのは、4枚採用されている《氷河の城砦》や、それに伴った《アーデンベイル城》などの土地の不採用ですね。

 これは「絶対に2ターン目にアンタップインして除去か打ち消しを構えたい」という意志の表れです。

絶対に2ターン目に2マナを出す

 《氷河の城砦》は「2ターン目に2マナを出したい」という願いを叶えてくれる2色ランドです。
 他の2色ランドと比べてみればそれは明白です。《さびれた浜》は2ターン目には確定タップイン、《大草原の川》も同じ。《アダーカー荒原》は条件のないアンタップインですが、ダメージが痛すぎて選択肢に挙がらず。青青と白白を要求されるため、《連門の小道》は多く採用することはできません。そうなると、《氷河の城砦》をフル採用するのが最もベターという結論に至りました。
 
 《氷河の城砦》と一緒に引いた時でもアンタップできる特殊地形、《ストーム・ジャイアントの聖堂》は文句なく2枚です。1枚を《天上都市、大田原》にすることも検討しましたが、セットランドしながら最終的に恩恵のある土地の方が優先と判断。

 他に《平地》か《島》がないと《氷河の城砦》はアンタップインしないため、なるべく多く採用すべく、《アーデンベイル城》を抜きました。《皇国の地、永岩城》だけはミシュラランドを除去できるので採用しています。

 このように《島》か《平地》がなくて《氷河の城砦》のみある手札の時でも2ターン目になるべく2マナを出せるようにした結果がこの土地配分なのです。

 もう1つ、通常のアゾリウスコントロールと異なる点は、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の4枚採用でしょうか。

 これはもう《神聖なる泉》4枚と同じぐらい不動となりました。このデッキが勝つ時は常に《ドミナリアの英雄、テフェリー》が定着している瞬間です。《至高の評決》を打ちながら打ち消しを構えたり、追加の除去を供給し続けるなど、行動回数を増やしつつリソースを稼げるこのカードは、コントロールが必要な要素をすべて満たしています。

 《魂の仕切り》のおかげで盤面の鎮静化が容易になりましたし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》でアンタップした2マナで《魂の仕切り》を打つのも強力。この2人はズッ友になりました。

 これからアゾリウスコントロールを使いたい人は、とりあえず《ドミナリアの英雄、テフェリー》は絶対に4枚にしましょう。

■チャンピオンズカップ予選

・予選ラウンド

緑単ニクソス ×◯◯
アブザンパルへリオン ×◯◯
ジャンドサクリファイス ◯◯
赤単 ◯×◯
ID
ID

・決勝ラウンド

赤単 ×◯◯
バントスピリット ◯◯

 既にエリア予選の権利を持っていたので相手に譲ろうと思ったのですが、相手は権利をそもそも欲していなかったようで、結局最後も試合をして勝利。負けなしで優勝でした。

 一人回しすらせずに大会に持ち込んだのですが、大方すべてのカードが予想通りに機能する中、予想外だったカードが1枚だけありました。

 それが《魂の仕切り》です。このカードのあまりの強さに感動しました。

最強オブ最強

 《老樹林のトロール》に打てば《ニクスの祭殿、ニクソス》の力を半減でき、プレッシャーなく後続の《茨の騎兵》のターンを迎えられるため、《ドミナリアの英雄、テフェリー》+打ち消しのターンを作りやすく、重くなったカードが《検閲》に当たることもしばしば。

 1-2マナクリーチャーに打つとすぐにもう1回唱え直されますが、序盤のダメージを抑えつつ、《至高の評決》で他のカードと一緒に流せるので問題ナシ。

 最終的に《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《記憶の氾濫》で手札が増えていくので、これらを唱える機会を与えてくれる《魂の仕切り》は、ほぼデメリットのない除去なのです。

 《パルヘリオンⅡ》を飛ばしたり、触りづらかった《フェイに呪われた王、コルヴォルド》にもインスタントで簡単に対処できるなど、アゾリウスコントロールが欲しかったすべての要素を持っていました。

 どのマッチでも弱かった《告別》を抜いて、どの相手にも最低限の活躍をする《サメ台風》に変更、パルへリオン対策だったサイドボードの《敬虔な新米、デニック》も、そもそもパルへリオンに有利だったのでオーバーキルと判断して解雇。

 直前まで《検閲》は4枚でしたが、友人が「土地が止まります!!」とあまりに言うので《ジュワー島の撹乱》と散らすことに。実際結構土地として置くことが多くて良かったです。

 結局1マッチもプレイしないまま、名古屋へ赴きました。

■プレイヤーズコンベンションオープン2022

 実際に使用したのは以下のリスト。

 《シュタルンハイムの解放》が新たに加わった1枚。ラクドスミッドレンジに対してサイドインするカードが欲しく、手札破壊を食らいづらいこのカードに決まりました。
 
 プレイヤーズコンベンションオープン2022がリスト公開制だった場合は《太陽の勇者、エルズペス》にする予定でした。これは《シュタルンハイムの解放》は、バレている状態で効力が半減するからです。《致命的な一押し》を少し残されますからね。

・初日

ジェスカイの隆盛コンボ ×◯◯
ボロスヒロイック ◯◯
ラクドスミッドレンジ ◯◯
アブザンパルヘリオン ◯××
緑単ニクソス ◯◯
イゼット独創力 ◯◯
ケル―ガファイアーズ ×◯◯

・2日目

ラクドスミッドレンジ ◯◯
ケルーガファイアーズ ◯×◯
バントスピリット ×◯◯
白単アグロ ××
ラクドスミッドレンジ ◯×◯
エニグマファイアーズ ◯◯

・決勝ラウンド

グルール ×◯◯
グルール ◯◯
ラクドスミッドレンジ ×◯×

 11勝2敗で決勝ラウンドに進出。
 
 当たり運にも恵まれつつ、最後はラクドスミッドレンジ相手に《ジュワー島の攪乱》を手札破壊で抜かれて土地が1枚で止まって負け。

 イゼット独創力、ケル―ガファイアーズ、エニグマファイアーズ、グルールといった、ラクドスミッドレンジに勝とうとするデッキが軒並みアゾリウスコントロールに弱く、メタに合っていた印象でした。《魂の仕切り》がそれらのデッキにとにかく強く、無事に取りこぼすことなく全勝できました。

■BIG Pioneer Festival 2022

 名古屋の反省からリストを少し変更することに。

 《魂の仕切り》や打ち消しで早いターンから干渉していけるため、4ターン目に《記憶の氾濫》を打ちやすかったので、《サメ台風》の4枚目と入れ替えることに。白単に対しても《記憶の氾濫》は3枚あった方が良いと思ったので、これは良い変更でした。

 《検閲》→《かき消し》はお試しです。後手2ターン目に構える際に《検閲》と《ジュワー島の撹乱》は絶対安心できるカードではないので、1枚を《かき消し》に。

 2枚目の《シュタルンハイムの解放》を入れたかったのですが、サイドスロットが見つからなかったのでこのままに。

・予選ラウンド

グルール ◯×◯
アゾリウスコントロール ◯◯
ラクドスミッドレンジ ◯◯
アゾリウスコントロール ×◯◯
白単人間 ×◯×
緑単ニクソス ×◯◯
オルゾフコントロール ◯◯
白単天使 ◯◯

・決勝ラウンド

白単人間 ◯×◯
イゼットコントロール ◯◯
ロータスコンボ ×◯×


 またもや当たり運に恵まれて7勝1敗で決勝ラウンドに。

 苦手意識のあった白単に先手でなんとか勝ちつつ、決勝ではロータスにボコられ。まあサイド少なかったのでやむなし。

 ロータスコンボに対して勝ちたいならサイドを後2枚ぐらい取る必要があるかなと思いました。《減衰球》は《耐え抜くもの、母聖樹》で割られて意味がないので、《エメリアのアルコン》が良さそう。

 例によってスロットはないですが、《船砕きの怪物》が実はそんなに強くなかったので、ここは抜けるかも。でもミラーマッチで相手が《船砕きの怪物》を出してくることを考えると結局ほしかったりします。

《魂の仕切り》で意外となんとかなる

 それよりも、ロータスコンボは割り切って、白単人間への対策を増やした方が良いかもしれません。現状は微不利な印象。《赦免のアルコン》か《集団失踪》が良さそうです。《一時的封鎖》は《スレイベンの守護者、サリア》で重くなると使いづらく、1ターンズレて唱えると《輝かしい聖戦士、エーデリン》が除去れないため、微妙。《集団失踪》は白単には完全に《神の怒り》なので良さそうです。

 そんなわけで今年のパイオニアは、2週連続準優勝という結果に終わりました。

■おわりに

 3回のトーナメントを終えて、トータルは28勝5敗2分(ID)。勝率84.8%と、まるでMTGアリーナのラダーみたいな成績でした。まあこの3週間はツいていましたね。

 ラクドスミッドレンジに五分に戦えつつ、ラクドスに勝とうとするデッキたちにかなり強く、緑単にも少し有利なため、アゾリウスコントロールは今良い位置にいるかなとは思います。

 《魂の仕切り》が入ったことで間違いなくアゾリウスコントロールは次のステージに進んでいて、そのことを周りのデッキは認識していない印象でした。「え!?そのデッキそんな強くなってたの??」みたいな。

 サイドからの対策も《反逆の先導者、チャンドラ》をはじめとした、重くてアドバンテージが取れるプレインズウォーカーで、これも少し時代遅れ感が否めませんでした。昔は奥義をちらつかせながらリソースを稼ぐこのプレインズウォーカーが大の苦手で、《ドミナリアの英雄、テフェリー》のマイナス能力を使ったり、《サメ台風》で無理やり殴るしかなかったのですが、今は適当に奥義の直前まで放置していてもどこかで《魂の仕切り》を引き込むだけで良くなりました。

何も怖くない

 というわけで、今回は時系列順にちょっとずつリストが変わっていく様を書いていきました。

 詳しいアゾリウスコントロールの解説はまた別の機会に書きますので、その時に書いてほしい内容などがあれば、マシュマロやツイッターでリクエストをいただけたらと思います。

マシュマロはこちら

 それではまた。

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