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【スタンダード】青白コントロールデッキガイド

※1/12更新:環境名人戦&アリーナMCQの結果と、テーロス還魂記後のリスト。
※1/10更新:アリーナMCQで使用するリストとその簡易解説。
※12/22更新:The Finals 2019トップ8に入賞したので、そのことについて追記。他には主に対ジャンドサクリファイスのサイドボード、最新版リストなど。


 こんにちは、トレカフリマアプリ「Magi」所属、magi prosの細川 侑也です。
 本日は、この1か月ほどスタンダードで愛用している青白コントロールについて、解説をしていきます。
 今回も長くなりますが、どうか皆様、お付き合いください。

 なお、今回は返金機能を設けました。最後までお読みになり、ご満足いただけなかった場合は、遠慮なくご活用ください。

1.現在のスタンダード環境

 早速だが、まずは現スタンダード環境のおさらいから始めよう。
 現在、スタンダードには抜きん出たデッキが3つ存在する。
 一つ目は、ミシックチャンピオンシップVIIを制したジャンドサクリファイス。

■ミシックチャンピオンシップVII:優勝
◇プレイヤー:Piotr Głogowski

5:《森》
1:《山》
2:《沼》
4:《血の墓所》
2:《ロークスワイン城》
3:《寓話の小道》
4:《草むした墓》
4:《踏み鳴らされる地》
3:《豆の木の巨人》
4:《大釜の使い魔》
4:《金のガチョウ》
2:《フェイに呪われた王、コルヴォルド》
2:《虐殺少女》
4:《波乱の悪魔》
2:《残忍な騎士》
2:《打ち壊すブロントドン》
4:《戦争の犠牲》
4:《パンくずの道標》
4:《魔女のかまど》

サイドボード
2:《不死の騎士》
4:《強迫》
1:《フェイに呪われた王、コルヴォルド》
3:《恋煩いの野獣》
1:《虐殺少女》
1:《残忍な騎士》
1:《打ち壊すブロントドン》
2:《意地悪な狼》

 《大釜の使い魔》、《魔女のかまど》、《パンくずの道標》の食物パッケージと、生贄で能力がトリガーする《波乱の悪魔》、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を組み合わせたデッキだ。

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 《波乱の悪魔》に触れづらいデッキ(主にシミックフラッシュ)に対して強く、また《パンくずの道標》によってコンボパーツを安定して供給できるため、デッキの安定感も高い。
 初速こそ遅いものの、その豊富なアドバンテージ源と除去の多さで、ビートダウンからコントロールまで様々なデッキに優位に立ち回れる、現環境最強のミッドレンジだ。

 そんなジャンドサクリファイスに相性が良いのは、ジェスカイファイアーズ。

■ミシックチャンピオンシップVII:トップ8
◇プレイヤー:Paulo Vitor Damo da Rosa

2:《島》
2:《山》
1:《平地》
3:《ヴァントレス城》
3:《寓話の小道》
4:《神聖なる泉》
2:《聖なる鋳造所》
4:《蒸気孔》
3:《天啓の神殿》
3:《凱旋の神殿》
2:《砕骨の巨人》
4:《炎の騎兵》
3:《風の騎兵》
2:《帰還した王、ケンリス》
4:《予見のスフィンクス》
2:《霊気の疾風》
4:《轟音のクラリオン》
4:《創案の火》
1:《裁きの一撃》
3:《可能性の揺らぎ》
4:《時を解す者、テフェリー》

サイドボード
1:《霊気の疾風》
2:《砕骨の巨人》
2:《敬虔な命令》
2:《解呪》
1:《抽象からの抽出》
2:《裁きの一撃》
1:《帰還した王、ケンリス》
4:《神秘の論争》

 直近2つのスタンダードのグランプリを制したこのデッキは、コンボ要素の強いコントロールデッキ。《創案の火》を設置して《炎の騎兵》と《風の騎兵》、《帰還した王、ケンリス》などを0マナで唱えて相手を押し潰すデッキだ。

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 《創案の火》を引かなくとも、ビートダウンには《轟音のクラリオン》などの各種除去から2種の騎兵たちに繋げるというコントロールプランも取れる。
 ジャンドサクリファイスは《創案の火》に干渉する術が少なく、4ターン目に設置するだけで勝つこともしばしば。
 また、相手の攻撃を受け止める手段が《大釜の使い魔》の無限チャンプブロック以外にさほどないため、《帰還した王、ケンリス》のトランプルや、《風の騎兵》・《予見のスフィンクス》の飛行クロックが非常に有効となる。

 対ジャンドサクリファイスの最右翼となっているジェスカイファイアーズだが、そこに立ちはだかるのがシミックフラッシュだ。

■ミシックチャンピオンシップVII:準優勝
◇プレイヤー:Brad Nelson

7:《森》
7:《島》
4:《繁殖池》
2:《ヴァントレス城》
2:《寓話の小道》
4:《神秘の神殿》
2:《厚かましい借り手》
4:《エリマキ神秘家》
2:《ハイドロイド混成体》
4:《夜群れの伏兵》
3:《楽園のドルイド》
2:《霊気の疾風》
4:《成長のらせん》
2:《神秘の論争》
1:《否認》
4:《世界を揺るがす者、ニッサ》
3:《火消し》
3:《悪意ある妨害》

サイドボード
1:《霊気の疾風》
2:《薬術師の眼識》
1:《押し潰す梢》
1:《ハイドロイド混成体》
1:《ケンリスの変身》
4:《恋煩いの野獣》
2:《神秘の論争》
1:《否認》
2:《魔術遠眼鏡》

 Brad Nelson・Javier Dominguez・Seth ManfieldのMPLの構築巧者3人が使用してミシックチャンピオンシップVIIのトップ8に残り、その後大流行しているこのデッキ。
 従来のシミックフラッシュは《塩水生まれの殺し屋》や《幽体の船乗り》といった軽い瞬速クリーチャーを採用したクロックパーミッションだったのに対し、こちらはミッドレンジに近づいている。
 《夜群れの伏兵》・《エリマキ神秘家》の強力な瞬速クリーチャーを採用しながら、《世界を揺るがす者、ニッサ》・《ハイドロイド混成体》のパッケージを搭載することで、長期戦を戦えるデッキとなっているのだ。

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 フラッシュというデッキの特性上、特に一つ一つのアクションが重いジェスカイファイアーズに対して、大量の打ち消し呪文を擁していることから相性が良い。
 動かなければ《エリマキ神秘家》と《夜群れの伏兵》、動いたら《世界を揺るがる者、ニッサ》とあらゆるタイミングで最高の回答を用意できるシミックフラッシュは、ジェスカイファイアーズ以外にも様々なデッキを駆逐した。
 《波乱の悪魔》に触る術がほとんどないため、ジャンドサクリファイスは苦手としている。

 このように、環境の3トップたちによる3すくみというのが、今のスタンダード環境だ。

2.青白コントロール雑感


 さて、軽くおさらいが終わったところで、そろそろ青白コントロールに話を移そう。
 
 青白コントロールと言えば、《王冠泥棒、オーコ》が猛威を振るっていたミシックチャンピオンシップVIIの予選を突破したことで、一躍脚光を浴びたデッキだ。その直後のグランプリ名古屋でも準優勝し、アンチフードデッキとして台頭しかけた。
コントロールが《夏の帳》を苦手としているなら、いっそ《夏の帳》が効かないカードを使えば良い」とばかりにメインから大量に採用された《牢獄領域》。そして大量の打ち消し呪文は、フードデッキがミラーを見据えて6マナのプレインズウォーカーを採用し始めたことで、驚くほど機能した。

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 しかし、シミックフードの隆盛で青白コントロールは姿を消した。《牢獄領域》は《厚かましい借り手》でバウンスされ、《総動員地区》への回答もない。重いカードが入っていないため、打ち消しも有効活用できない。あらゆる要素が青白コントロールに不利に働いたのだ。

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 《王冠泥棒、オーコ》の禁止後の青白コントロールは、《牢獄領域》を採用しない形が主流となった。これは単純に同じマナ域で潰したいプレインズウォーカーだった《王冠泥棒、オーコ》が消えたからなのだが、もう一つ理由がある。
 それは、《次元の浄化》と相性が悪い点だ。

次元の浄化


 《次元の浄化》は、《パンくずの道標》や《創案の火》などとエンチャントを主軸に据えたデッキが多い現環境において、強力なリセット呪文だ。このカードを採用しなければ、どれだけ盤面を更地にしたところでジャンドサクリファイスには勝てない。《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》を止められず、《パンくずの道標》が無限に手札を供給し続ける。

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 今の青白コントロールには《次元の浄化》は必須と言っても良い。そしてこのカードと相性の悪い《牢獄領域》はデッキから抜けていった。


 歴史の話はここまでにして、今の青白コントロールの話をしよう。
 青白コントロールの魅力は、多くのデッキに対するメイン戦での勝率の高さにある。
 クリーチャーデッキには《次元の浄化》と《時の一掃》の全体除去、コンボには打ち消し呪文と、それぞれのデッキに対して回答を用意している。そのため、様々なデッキに対してメイン戦を安定して戦うことができる

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 ジャンドサクリファイスは、ジェスカイファイアーズやティムール再生のやりたいことをほとんど妨害できない。
 一方ジェスカイファイアーズは、シミックフラッシュに対して重いカードをただプレイしていくしかない。
 青白コントロールは言えば、ジャンドサクリファイスに対しては全体除去を、ジェスカイファイアーズには打ち消し呪文と、それぞれの回答を持っている。これはTier2以降のデッキに対しても同じことが言える。打ち消しと全体除去は、有象無象の相手に対して効果的だ。

 また、打ち消し呪文の価値が以前よりも増したことも青白コントロールのストロングポイント。
 ジャンドサクリファイスはミッドレンジで、ジェスカイファイアーズはコンボ・コントロール。いずれのデッキにも打ち消し呪文は効く。
 今のスタンダード環境で、「打ち漏らすことで即座に負けになる3マナ以下のカード」はない。また、環境の減速により《吸収》を使えずに敗北するような相手がほとんどいなくなった。
 強いて言えば致命的な軽いカードは《パンくずの道標》ぐらいで、それも即座に敗北するわけではない。《王冠泥棒、オーコ》がスタンダードから消えたのは大きい。

王冠泥棒、オーコ


 環境の低速化と、現状のスタンダードのカードプール。これらの要素から、現スタンダード環境で打ち消し呪文の価値は高いと考えている。


3.青白コントロールと3トップ

 ここで上記の3トップのデッキ対青白コントロールの雑感を。

■対ジャンドサクリファイス
 初速が遅いデッキのため、メイン戦では青白コントロール側が有利だ。
 《パンくずの道標》がガンとなるマッチではあるが、相手のシステムが完成してしまっても、《次元の浄化》を引けば一気に遅れを取り戻せる。

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 打ち消し呪文も有効で、先手なら《パンくずの道標》や《真夜中の死神》をしっかりと消せれば、優位にゲームを進められる。

 サイド後は《次元の浄化》の前に《強迫》を打たれたり、《不死の騎士》で無限に殴られるため、不利になる。

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■対ジェスカイファイアーズ
 打ち消しが有効な相手で、青白コントロール側が有利だ。
 《創案の火》が通ったからといって即座に負けるわけでもなく、その後に出てくるクリーチャーたちを対処すればガス欠に陥らせることもできる。ドロー手段は《風の騎兵》しかなく、手札を大量に増やす術はジェスカイファイアーズには存在しない。

創案の火


 サイド後もゲームの様相は大きく変わることはない。


■対シミックフラッシュ
 明確に青白コントロール側が不利だ。
 《夜群れの伏兵》に対する回答が全体除去6枚と打ち消し呪文しかなく、それらのカードを使うと大きな隙が生まれる。その間に《世界を揺るがす者、ニッサ》が着地してしまうだけで一瞬で敗北してしまう。

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 個々のアクションが重い青白コントロールには、《エリマキ神秘家》もよく刺さる。運よく《時を解す者、テフェリー》を着地させなければ勝機は薄い。
 サイド後は相手が《神秘の論争》など打ち消しを追加してくるため、更に相性は悪くなる

神秘の論争


■まとめ
・対ジャンドサクリファイス
メイン○
サイド×

・対ジェスカイファイアーズ
メイン○
サイド○

・対シミックフラッシュ
メイン×
サイド×


 このような相性となっている。
 ここまで見ていると、青白コントロールはあまり良いデッキには思えないかもしれない。
 が、安心してほしい。今回紹介するリストは、ジャンドサクリファイス・シミックフラッシュとのサイド後のゲームを改善した。特にシミックフラッシュに対しては、相性差を劇的に覆すようになった。


4.デッキリストとカード解説

7:《島》
5:《平地》
4:《神聖なる泉》
2:《寓話の小道》
4:《平穏な入り江》
3:《ヴァントレス城》
2:《アーデンベイル城》
4:《厚かましい借り手》
4:《老いたる者、ガドウィック》
4:《選択》
3:《ドビンの拒否権》
2:《霊気の疾風》
1:《ドビンの鋭感》
4:《吸収》
1:《神秘の論争》
3:《時の一掃》
3:《次元の浄化》
4:《時を解す者、テフェリー》

サイドボード
4:《徴税人》
3:《巨人落とし》
3:《拘留代理人》
3:《永遠神オケチラ》
2:《裏切りの工作員》

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↓【MTGアリーナインポートデータ】↓

■《厚かましい借り手》

厚かましい借り手


 ただのバウンス能力と3/1飛行というサイズは、一見するとコントロールデッキに合っていないと考えがちだが、それは間違いだ。
 青白コントロールは全体除去でそれまでの遅れを取り戻すデッキであり、大事なのは5~6ターン目までの時間稼ぎ。バウンスはその役目を十分に果たせる。
 また、3/1飛行は速やかにゲームを終わらせる手段となる。後述する《老いたる者、ガドウィック》と合わせてあっという間に相手のライフを削り切る。
 クリーチャーである点も嬉しい。《時の一掃》で拾ってまた出来事から使用すれば二度美味しい。
 打ち消し漏らしたプレインズウォーカーの対処や、《エンバレスの宝剣》による一撃死を回避するなど、その用途は様々。
 文句なく4枚。


■《老いたる者、ガドウィック》

老いたる者、ガドウィック


 このカードは令和の《スフィンクスの啓示》だ。
 《スフィンクスの啓示》の強さは、1ターンをドローに費やす隙を、ライフ回復によって補填できる点にあった。5点ダメージを食らっても、その時に《スフィンクスの啓示》をX=5で撃てば、実質そのターンは隙なくカードを5枚引けたことになる。

スフィンクスの啓示


 そして《老いたる者、ガドウィック》も1ターンをドローに費やしながら、隙を作らずに済むカードだ。
 《老いたる者、ガドウィック》を出して少しのマナを構えれば、《選択》や《厚かましい借り手》などで相手のクリーチャーをタップできる。一度生き残ってしまえば相手は大量のクリーチャーを並べざるを得ないし、そうすれば全体除去の餌食だ。
 一度盤面をリセットした後の《老いたる者、ガドウィック》は強力だ。相手がろくにクリーチャーを並べて来なければ、そのまま《厚かましい借り手》と一緒に、相手の攻撃を封じながら速やかにライフを詰めにいける。
 《時の一掃》で戻す対象としても素晴らしい。一度でもこのコンボが決まれば、ビートダウンはその時点で投了レベル。
 場合によっては3ターン目に出すことすらある。タップ能力で延命して5ターン目の《時の一掃》を間に合わせるためだ。
 何ターン目に引いても強く、いつでも手札に欲しいこのカードは、4枚以外ありえない。


■《選択》

選択


 ドロースペル枠としてよく採用されている《薬術師の眼識》は、現在のスタンダード環境で中々打つ暇がない。《老いたる者、ガドウィック》と違い、このドロー呪文は1ターンを完全に無駄にする。そしてその割には、2枚のカードしか引けない。
 序盤は打ち消しや全体除去、落ち着いたら《老いたる者、ガドウィック》と動きたいため、《薬術師の眼識》を打つターンがない。

薬術師の眼識


 一方、《選択》はいつでも打つことができる。序盤のアクションを探しにいけるし、土地にもアクセスがしやすい。土地が4枚で止まって《時の一掃》が打てないのは致命的だ。
 《老いたる者、ガドウィック》との相性も良好。手札に欲しいカードが別段ない時は、《老いたる者、ガドウィック》でタップするために、あえてプレイせずに手札に温存しておきたい。


■《時の一掃》/次元の浄化》

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 全体除去枠は6枚。
 《次元の浄化》は既に説明しているが、エンチャントを並べるデッキが多い現環境で非常に強力な呪文だ。自分の《時を解す者、テフェリー》が流れてしまう場合もあるが、さほど気にならない。
 一方、《時の一掃》はエンチャントを流せない代わりに、《厚かましい借り手》と《老いたる者、ガドウィック》を使い回すことができる。
 どちらも一長一短で、甲乙つけがたい。《次元の浄化》はその重さから4枚にしようと考えたことはなかった。適正枚数は、3枚・3枚。


■《時を解す者、テフェリー》

時を解す者、テフェリー


 説明不要の、最強のプレインズウォーカーの一角。
 《厚かましい借り手》の時にも述べたが、ただのバウンスは青白コントロールには貴重だ。そこにドローが付いているなら更に素晴らしいし、生き残ってしまえば相手の行動を大幅に制限できるというのなら、これを最強と呼ぶ他ない。
 相手は《時を解す者、テフェリー》を対処せざるを得ないし、そうすれば大幅に時間を稼ぐことができる。場に残し続けることに固執する必要はないため、返しのターンで落とされそうな状況でも、どんどんクリーチャーを戻していくべきだ。
 仮に生き残れば、ゲームは一気に簡単になる。インスタントタイミングで《時の一掃》と打ち消しを構えられれば、そのゲームはもう勝利したも同然だ。
 《厚かましい借り手》や《老いたる者、ガドウィック》を戻せることをお忘れなく。


■《吸収》/《ドビンの拒否権》

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 3マナの打ち消し呪文は、今のスタンダードでは強力だ。強いカードが4マナ以上に集中しているためだ。《創案の火》、《世界を揺るがす者、ニッサ》、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》...etc。挙げればキリがない。以前までは《王冠泥棒、オーコ》を後手でカウンターできなかったが、時代は変わった。
 3点ゲインも青白コントロールにとっては非常に貴重。引けば引くだけ命が伸びるこのカードは、当然4枚。
 クリーチャーには《時の一掃》と《次元の浄化》があるため、追加の打ち消しは《ドビンの拒否権》となっている。相性補完の意味合いが強い。先手なら《パンくずの道標》を打ち消せる。
 

■《霊気の疾風》/《神秘の論争》

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 更なる追加の打ち消し呪文はこの2種。どちらも腐る相手が少ない色対策カード。
 《霊気の疾風》はジャンドサクリファイス、ジェスカイファイアーズ、シミックフラッシュと三強のすべてのデッキに対して打つことができるため、枚数が多い。
 《神秘の論争》はジャンドサクリファイスには効きづらいが、最悪1マナ重い《マナ漏出》として打てるため、そこまで悪いカードではない。
 後手でビートダウン相手に2マナでアクションしたいため、《霊気の疾風》を多めに採用している。赤も緑も含まないビートダウンは環境にほぼいない。


■《ドビンの鋭感》

ドビンの鋭感


 《選択》、《霊気の疾風》、《厚かましい借り手》で使い回せるため、1枚だけ投入。5枚目のドローとしては《啓示の終焉》が定番だったが、こちらに変更した。
 ジャンドサクリファイスとのゲームでは、《次元の浄化》を打つまでに10以下までライフが減り、《大釜の使い魔》に削り切られる展開がしばしばあった。ライフゲイン手段は《吸収》と土地以外に何かしらほしく、ドローも兼ねる《ドビンの鋭感》に白羽の矢が立った。
 《次元の浄化》で流してしまわないよう、事前にしっかりと退避しよう。
 《時を解す者、テフェリー》で戻せることも覚えておいて損はない。


■土地関連
 特筆すべき点は特になし。
 《選択》を4枚採用しているとはいえ、毎ターン土地を並べ続けたいため、土地は27枚。その内5枚は《ヴァントレス城》と《アーデンベイル城》なため、マナフラッドに陥ることはさほどない。

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 《次元の浄化》を打つための白マナは実はギリギリ。《寓話の小道》ではなるべく《平地》を持ってきたい。

5.採用を見送ったカード

■《薬術師の眼識》

薬術師の眼識


 《選択》のところで説明した理由がほぼすべてだ。
 4マナを費やしてドローをするタイミングは、今のスタンダードにはほとんどない。土地を探す目的なら《選択》で事足りるし、ドローにターンを費やすならば、2枚では物足りない
 軽い除去が入っているデッキならば、《薬術師の眼識》を打って除去という展開もできるが、このデッキの妨害手段は全体除去か打ち消しだ。カウンターは《吸収》と重く、《薬術師の眼識》と一緒に構えるためには7マナが必要だ。
 つまり《薬術師の眼識》を打ちながらの2アクションはこのデッキでは困難。それならば、もう少し重くてたっぷりドローできるカードが良い。


■《本質の把捉》

《本質の把捉》


 2マナの打ち消しではあるものの、後手では島を青マナを2つも最序盤から並べなければならない。《寓話の小道》を使用して青青を揃えると、中盤以降で白白が出なくなることもあった
 後半はクリーチャーに対処する術は多く、《本質の把捉》が必要な展開にはならなかった。

■《啓示の終焉》

啓示の終焉


 最近流行の《啓示の終焉》。The Last Sun 2019までは使用していたが、X=10以上でプレイしたことは一度もなく、常に《老いたる者、ガドウィック》を優先していて、このカードはただ重いだけだと感じていた。
 ライブラリー修復能力を使用したことは70マッチ近くで一度もなく、必要性を感じなかったため、《ドビンの鋭感》と入れ替えた。


6.サイドボード解説


 今回は特殊なサイドボードなため、各カード解説ではなく、サイドそのものの解説からまずは入りたい。

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