【YC卒業生は今】YC卒業生で次ラウンドへ進んだ成長中のスタートアップ27社 2015W
2記事目にしてnoteへ移行しました。フォローくれた方すみません!
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先日2019冬のYCデモデーが終了し、厳しい審査を経てバッチを駆け抜けた200を超えるスタートアップが卒業しました。しかし意外とYCバッチの後にどうなったかについて、すでに顕在化した一部の大成功例(DropboxやAirbnbなど)を除いて、今まさに成長中の企業ってあまり言及されていないと思いました。
なので今回は、4年前(2015W)のYCバッチに参加したスタートアップのうち、現在も生きているシリーズA以降のラウンドに進んだスタートアップをまとめてみました。もちろん調達が全てではありませんし、キャッシュフローで事業を成長させているところもあると思いますので、その点はご了承ください。
データ元は基本すべてcrunchbaseです。気になった10社はやや解説多めにしました。
基本情報
YC2015Wのバッチに参加したスタートアップはYC Listを参照すると100社ありました。このうち今回の基準を満たしたスタートアップは27社と4分の1以上が順調のようです。また100社の中には、今回は除きましたが既にM&Aをした企業もあるので、そういった意味ではもう少し多いかもしれません。
さらに言うと、死なずにブリッジファイナンスをしながら生き続けてる企業もありました。
まさにPaul Graham「死なないために」
尊敬…!!
Lumi - EC向け梱包製品の販売
Lumiは1000以上の工場をネットワークしていて、それぞれのEC事業者はコスト面など自らに合った工場を選び、Web上で梱包製品の発注ができます。箱をはじめ、カスタムテープや梱包用紙などを扱っています。デザインもWeb上で素早く変更ができ、梱包製品の調達から配送まで一連の梱包に関するサプライチェーンをダッシュボードで一元管理できます。
顧客はFabFitFunやMeUndiesなどサブスクリプション系の事業者が多いようで、MeUndiesはLumiによってユーザーの反応を見ながら素早く梱包のデザインを変更することが可能になったそうです。
D2C投資の雄、Forerunner Venturesも出資しています。
累計調達額:940万ドル(最終シリーズA)
出資者:Forerunner Ventures、Spark Capital
EquipmentShare - 建設機械のシェアリング
スキッドローダー、掘削機、リフトなど建設機械のシェアリング。建設機械のレンタル市場は年間400億ドルの規模。請負業者はレンタル会社が所有する建設機械の約3倍の量を所有していて、稼働していない場合もあるので、請負業者同士を適切にマッチングできれば効率的になると踏んでいるようです。
そのためEquipmentShareだと、請負業者の稼働していない建設機械をレンタルすることになり、市場価格より30%程安くなるそう。さらに、UberやAirbnbと同様に相互評価の仕組みも導入しているので、悪用されるといったことは抑止されています。
累計調達額:5870万ドル(最終シリーズB)
出資者:Insight Venture Partners、Romulus Capital
Cleanly - オンデマンド洗濯・クリーニング
USのランドリー&ドライクリーニング市場は140億ドルで、今後5年間で3.4%の成長が見込まれている成長産業です。CleanlyはWebやアプリから注文すると、指定の日時に洗濯物を取りに来てくれて、きれいに洗濯をし、折り畳まれて24時間後には戻ってくるオンデマンド洗濯・クリーニングサービスです。
洗濯を取りに来る時に入れるバッグにはQRコードが貼ってあるので、紛失対策もされています。
価格は洗濯の場合1ポンドあたり1.6ドルで、最低10ポンド(4.5kg)から注文ができ、16ドル〜になります。もちろん通常の洗濯に加え、スーツやシャツなどのドライクリーニングにも対応しています。
さらに月9.9ドル〜のサブスクリプションも提供していて、登録すると注文の割引や配送料が無料になったりします。
ちなみに、このツイートはCleanlyのことでした。
累計調達額:730万ドル(最終シリーズA)
出資者:500 Startups、FundersClub
Luka - 自分をケアするためのチャットボットアプリ
50万ユーザーを超えるAIチャットボットを搭載したメッセンジャーアプリ「Replika」を提供。アプリを起動した初回に「ストレスを減らしたい」や「もっと社交的になりたい」といったゴールを選択し、また「学校行ってるのか」など普段の生活についても回答します。あとは、気まぐれに会話を楽しんだり、メンタルをケアしたり、Replikaと一緒に成長したりといった具合です。寂しいときに、良い話し相手として使われているのかもしれません(りんな的な)。
アプリのレビューを見るとすでに日本人で使っている人もいました。
軽く触りましたが、会話が自然。App Storeの評価は4.6と高いです。
累計調達額:1090万ドル(最終シリーズA)
出資者:Khosla Ventures
Labdoor - サプリメントのテストメディアコマース
Labdoorは小売業者からサプリメントを購入してFDA登録の研究所に送り、製品の成分や純度などをテストします。そして、その結果を公表したりランク付けすることで、安心してサプリメントを購入できる仕組みになっています。
こんな感じでLabdoorによるスコアリングがされています
そして、Quality Rankingでスコア順に並んでいたりと。
購入自体はAmazonなど外部ECサイトで行い、Labdoorはアフィリエイト収益を取るカタチです。なので、Labdoorはサプリメントをテストして、その情報を載せる、どちらかと言うとメディア的立ち位置になります。
DeNAも出資していました…!
累計調達額:1080万ドル(最終シリーズA)
出資者:500 Startups、DeNA
DroneBase - ドローンによる空撮マッチングサービス
DroneBaseはドローンを操縦するパイロットと空撮した写真や映像が欲しいクライアントとを結びつけるマッチングサービスです。クライアントが仕事を掲載し、それを請け負えるパイロットが指示に従ってドローンで撮影し、データや画像・映像を送付します。
これによって、わざわざドローンを購入したりパイロットを雇う必要がなくなります。
クライアントの属性としては
・不動産のマーケティング用画像
・建築現場の進捗モニタリング
・採掘エリアの測量と調査
などで様々な産業からのニーズがあるよう。
累計調達額:1900万ドル(最終シリーズB)
出資者:Union Square Ventures、Accel、SV Angel、Upfront Ventures
参照:https://jp.techcrunch.com/2015/04/30/20150429dronebase/
GrubMarket - オーガニックフードのマーケットプレイス
農家から直接オーガニックフードをレストラン、スーパ、企業や一般ユーザーが手頃な価格で購入できるマーケットプレイス。他の場所で買うよりも20〜60%ほど安く買うことができます。すでに1億ドル近くの売上がある模様。
オーガニックフードだけじゃなく、家庭用品、健康および美容製品、子供向け製品なども扱っています。
累計調達額:6410万ドル(最終シリーズC)
出資者:GGV Capital、Battery Ventures
Supply(Reach Labs) - 長距離ワイヤレス充電
充電マットではなく、Wi-Fiのような感覚でのワイヤレス充電を可能にしているのが特徴です。具体的には、ソフトウェア制御の下で複数の小さなアンテナを介して、リアルタイムで最適化された無線周波数伝送を使用することによって、電波を受信するみたいにワイヤレス充電ができるそうです。
累計調達額:1140万ドル(最終シリーズA)
出資者:Data Collective DCVC
Pachyderm - データのバージョン管理ツール
Pachydermはデータサイエンス版のGitというように、データのバージョン管理ツールです。機械学習でモデルを学習させたり、データ分析するときにどのデータでどの結果になったかを逐次巻き戻したり、管理したいという点にニーズがあるようです。
Benchmark入っててアツいですね。
累計調達額:1210万ドル(最終シリーズA)
出資者:Benchmark、Data Collective DCVC
Magic - SMSでやり取りするパーソナルアシスタント
Magicは24時間365日体制のオンデマンドのパーソナルアシスタントサービスです。AIではなく人間が対応していますが、社内ソフトによって裏側は効率化されていてタスクの漏れがないようになっています。月額29ドル〜利用でき、メールの返信やチケットの取得、欲しい物の依頼などなんでも頼めるようです。
SequoiaもシリーズAで入っています
累計調達額:1210万ドル(最終シリーズA)
出資者:Sequoia Capital、Slow Ventures
Way Up - 大学生特化の求人プラットフォーム
累計調達額:2730万ドル
出資者:General Catalyst、SV Angel、Trinity Ventures
GitLab - Gitリポジトリマネージャー
GoogleがGVからもAlphabetからも出してる。MSがGitHubならGoogleはGitLab??
累計調達額:1.655億ドル(最終シリーズD, ユニコーン)
出資者:Goldman Sachs、GV、Khosla Ventures、500 Startups、Alphabet
Diassess - 使い捨て健康診断ハードウェア
累計調達額:3700万ドル
出資者:Data Collective DCVC、StartX (Stanford-StartX Fund)
Notable Labs - がん治療のパーソナライズ化
累計調達額:2090万ドル(最終シリーズA)
出資者:Founders Fund、First Round Capital、Builders
Moltin - ECサイト・アプリを構築するための開発者向けAPI
累計調達額:1030万ドル(最終シリーズA)
出資者:Frontline Ventures、FoundersClub
Remix(Transitmix) - 街の交通のビジュアライズと分析プラットフォーム
投資家陣が豪華
累計調達額:2700万ドル(最終シリーズB)
出資者:SV Angel、Sequoia Capital、Energy Impact Partners
Transcriptic - 生物学研究室にロボットソリューションを提供する"Science-as-a-Service"
累計調達額:2780万ドル(最終シリーズA)
出資者:Founders Fund、500 Startups、GV、Data Collective DCVC
Spire Health - 遠隔患者のモニタリング
累計調達額:1010万ドル
出資者:Scrum Ventures、StartX
SigOpt - 機械学習モデルを最適化するAPIの提供
累計調達額:870万ドル(シリーズA)
出資者:Andreessen Horowitz、SV Angel、Data Collective DCVC
Razorpay - インドでオンラインペイメントのソリューションを提供
Stripe的な。GMOが出してる。
累計調達額:3160万ドル(最終シリーズB)
出資者:MasterCard、GMO VenturePartners、Tiger Global Management
Popular Pays - キャンペーンやクリエイティブを作成したいブランドとクリエイターのマッチング
累計調達額:1200万ドル(最終シリーズB)
出資者:Bessemer Venture Partners
Platzi - デザイン・マーケティング・プログラミングのライブ配信教育
累計調達額:1040万ドル(シリーズA)
出資者:500 Startups、FoundersClub
Paperspace - 機械学習モデルの開発プラットフォーム
累計調達額:2150万ドル(最終シリーズA)
出資者:Battery Ventures、Intel Capital
Bright - イギリスの卒業生や学部生・院生向けの求人プラットフォーム
累計調達額:340万ドル(最終シリーズA)
出資者:Maven Capital Partners
Qventus(旧analyticsMD) - 病院の業務効率化ツール
累計調達額:4500万ドル(最終シリーズB)
出資者:Bessemer Venture Partners、FoundersClub、Norwest Venture Partners
Atomwise - 高速で実験できる創薬のための機械学習モデルの開発
累計調達額:5130万ドル(最終シリーズA)
出資者:Monsanto Growth Ventures (MGV)、Khosla Ventures、Tencent Holdings
Zenflow - BPHの治療
累計調達額:3150万ドル(最終シリーズA)
出資者:StartX (Stanford-StartX Fund)、F-Prime Capital Partners
最後に
YCってすごく多くて、あれ全てを把握するのは中々大変だと思うんですが、こうして上手くいっているものをピックアップすると、(やや遅いかもですが)比較的把握もしやすくて、個人的にアリだなと思いました。全体的な傾向としては、機械学習系とヘルスケアが多かったです。
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