運転が上手いと保険料が半額に? 3年でユニコーンになったRoot Insuranceと日本の自動車保険市場
今回はUSの自動車保険のユニコーンであるRoot Insuranceと日本市場について取り上げてみます。
Root Insuranceはユーザーの使用に応じて保険料を決定する、データとAIを活用した先進的なInsurTech企業です。
2018年8月に$1Bの評価額で資金調達してユニコーンになりました。
どうやって保険料を決めるのか
Root Insuranceがこれまでの自動車保険企業と異なるのは、その保険料決定の方法と簡単さです。
テストドライブで測定する
Root Insuranceが保険料を決定するにはユーザーデータを集める必要があり、そのためにまずアプリをダウンロードします。
ダウンロードしたら、GPSをオンにして2〜3週間運転し、その間にRoot Insuranceがユーザーの運転データを収集することで、運転習慣や技術を測定します。
主に見ている観点は以下の4つ
・ブレーキの使い方
・運転する時間帯
・曲がり方
・急停止や急発進
また重要なファクターとして「走行距離(=安全)」があるようで、Redditにはアルゴリズムの80%が走行距離に重みを置いているとありました。
これらのデータをスマートフォンに搭載されているGPSとモーションセンサーによって集め、最終的には以下のようにスコアリングされます。
そして、トップ10%に入るくらい良い評価を獲得すると、最大52%自動車保険料が節約でき、平均的なユーザーは20%ほど、年平均1187ドル安くなります。
さらに、保険加入後に良い運転を心がけてアプリ上で成果が認められると、保険料を節約できたりも。
また、ダウンロードしたユーザーの30%はリスクが高すぎるという理由で、Root Insurance側が見積もりを出すことを拒否しているそう。
市場環境やユーザー数
自動車保険の市場環境
USの自動車保険市場は2500億ドル規模あり、トップのState Farmは市場シェア18%で2018年の年次報告によると、
保険料収入 434億ドル
純利益 63億ドル
あります。
また、Root Insuranceのような使用に応じて保険料を適用するUBI(Usage-based Insurance)市場はめちゃくちゃ伸びています。
この調査によると、2016-2024まで年平均38.1%成長し、2024年には世界で2520億ドル規模にまでなるようです。
Root Insuranceのユーザー数と売上
LemonadeとRoot Insuranceの保険料収入の比較
2018年Q1でRoot InsuranceがあのLemonadeを保険料収入において抜き、Root Insuranceの規模感は
加入者数 3000万人超(2018年11月時点)
保険料収入 2300万ドル(2018年上半期までで)
にまでなっています。
そして何より、2018年上半期で保険料収入がYoY 4500%成長するなど伸びが爆発的です。
日本市場
日本の自動車保険市場がどうなっているかを見てみます。
日本の自動車保険市場の規模は4.1兆円(2016年)、その中でも通販型と言われるダイレクト保険は3000億円規模と、9割が代理店で販売されており、ダイレクト保険が浸透していない業界構造です。
ダイレクト型の企業だと、ソニー損保が強く年900億円ほど保険料を獲得しています。
一方で、3メガ損保グループのうちの1つ東京海上グループの自動車保険は年8000億円の保険料を得ており、相当差があります。
資金調達変遷
2016.10:シリーズAでDrive Capitalから500万ドル調達
2017.6:シリーズBでRibbit Capitalがリードで2150万ドル調達
2018.3:シリーズCでRedpointがリードで5100万ドル調達
2018.8:シリーズDでTiger Global Managementがリードをとり、Post10億ドルで1億ドル調達
最後に
Root Insuranceは保険料決定のプロセスがフェアなのと簡単そうな感じが個人的には好きで、伸びがえげつないのも納得でした。
一方、日本の自動車保険業界は、ダイレクト保険がヨーロッパだと半数近く、USでも2-30%浸透しているのに比べると、代理店型が強い業界構造で、そこが市場として違う点かなと思いました。
・・・
Twitterやっているので、見るだけでも、メッセージでも歓迎です!
Twitter: @yu8muraka3
お茶しましょう〜 DM→@yu8muraka3