「鹿島アントラーズとは」を嚙み砕く

Yuyaです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今回は、『flゼミ』の課題として「鹿島アントラーズ」について語っていきたいと思います。
僕がサッカーが好きになったきっかけのチームであり、1番試合を見るチームですので、「鹿島ってどういうチーム?」や「鹿島の試合見るけどより深いところが知りたい!」という方のために、少しでも力になれれば幸いです。
加えて僕がどういう視点で、サッカーを見て、考えているのかも言及させていただきます。それが今回鹿島について語る内容にもつながりますので。

私の個人的な見解と解釈ですので、ご理解ください。
まだまだ整理できていない部分があるのでそこもご了承ください。

1.精神的なもの
 鹿島アントラーズについてどういうイメージをお持ちですか?
個人的な印象ですが、鹿島について言及、分析されているメディアは、他のチームに比べて多くないのかなと思っています。
 それは「悪い」ことなのか。僕はすべてはそうは思いません。むしろそのことを誇りに思っています。
 なぜ言及されないかというと「言語化できない部分」で戦っているからだと思うからです。
 
 「言語化できない部分」とは。鹿島にはプレーする上での精神面での哲学があります。それが「献身・誠実・尊重」です。
鹿島の選手・OBが口を揃えて言う言葉です。今ではチームに在籍するジーコが植え付けたものですが、僕としてはこの言葉が「精神面でのプレーモデル、プレー原則」になるのだと思っています。
勝つために、仲間のために戦う、走る、体を張る、諦めない、自分のやりたいプレーでなく勝つためのプレーをする、など。明確な意味はわかりませんが、人が行うサッカーというチームスポーツ、競技をするうえで、当たり前のように言われ、根本にあるものだと思います。
 
 はっきりいってどのチームのどの選手も、思っていることです、すべてとは言いませんが。「そんなことわかってる」と思っていても、よく鹿島との試合で、球際の攻防で後手を踏むチームが見られます。個の質、強さなど当然ありますが、僕はこの「当たり前の本質を体現できてるから」だと思うのです。結局どんな戦術も局面で負けてしまっては意味をなしません。

 よく移籍した選手やOBたちが、鹿島は「空気感」が違うと言います。この「空気感」こそがまさに「言語化」できないもので、他のチームが真似できない、鹿島たる所以だと思っています。環境、歴史、エンブレムを背負う意味がこの「空気感」を作ってきたのだと思います。

2.私のサッカーをみる視点
 2-1.選手の思考を探る 
 僕は、時間や流れにそって戦術面(全体の絵)での攻防を言及するだけでなく「選手たちが何を考えプレーしているのか」に注目して試合を見ています。
 我々は当然サッカーを外から「見る側」です。選手が一人一人プレーし、それが全体を見たときにプレーモデルや戦術に繋がって「全体が○○になってる」ということができます。
 ただ「やる側」である選手の頭の中を見たときに、「見る側」の見えるものとは違い、以下ようにプレーにつなげていると解釈しています。

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 そこで最も重要視しているのは「プレー原則」(以下原則)です。
 「○○の場面ではこうする」といった、サッカーの4つの局面(攻撃、ネガトラ、守備、ポジトラ)で、まず最初にすること「相手に関わらず自分たちがすること」というものです。
 また「サッカーにおける原則」もあると思います。「成功する確率が100%に近いプレー」といった、まさに「王道といえるプレー」と解釈してます。
 そして「判断の基準」は、「○○の場面では~」といった場面場面に関わらず、その場その場の局面における判断のためのものさしと解釈してます。

 原則があり、相手の立ち位置や重心など、身の回りの情報を集める「認識」がきて、選手は原則に基づいてプレーの「選択肢」を作ります。

 そして「判断」(決定)をし、現象(目に見えるもの)があります。

 なにが言いたいかというと、選手は、我々の見る全体の絵を描きながらプレーしていないということです(体には染みついてて、分かってはいるでしょうが)。

2-2.試合に勝つためには
 プロであり、競技である以上、結果がすべて、サッカーの目的は「試合に勝つこと」です。
 特に応援しているチームがある方は、当然勝ってほしいですよね。僕もそうなので、「サッカーで勝つには何が必要か」をいつも考えています。

 今の僕の見解は、

1.サッカーのうまさ
2.精神的なもの

が重要だと思ってます(チーム全体での話です)。

 「サッカーのうまさ」には2つあって、1つは、「オーガナイズ」、もう1つは「試合の勝ち方」です。

 「オーガナイズ」は上記で述べた「プレーモデル」や、「原則」といった、「自分たちのスタイル」ともいえるものです。試合でも「なんとなく」のプレーでなく、原則に基ずいた「再現性、具体性」が今後もどんどん増していくでしょう。
 これらをまとめて「オーガナイズ」と呼んでいます。

 「試合の勝ち方」は、その試合に勝つために(相手の力量、試合状況)をみて、理想のスタイルを一旦捨て、現実的に戦うことです。
 それこそ世界のトップofトップでないと、なかなか「理想のスタイル」だけで試合に勝てるわけでないと思います。対戦相手を分析し、戦略を立て、原則にも微調整を加えることもあるでしょう。
 それは試合中にも言え、理想のスタイルで試合に入っても、相手もそれをさせてこないのは当たり前ですから、上手くいかないことがあるでしょう。また点差、時間、流れ、疲労、気候などによって、理想のスタイルを捨てる時間帯も必要でしょう。
 

 結局「理想のスタイル」も、「勝つための手段」に過ぎないと思ってます。「理想のスタイルの追求」が目的になってしまっては、「勝つ」という目的からズレてしまいます。
 鹿島にとっては「理想のスタイル」も勝つための手段にすぎないという考えで、その試合に勝つための最善を考え、行うチームです。「理想のスタイル」も含めた「勝つためのサッカーをする」こそが「自分たちのスタイル」といえるでしょう。

 もう1つは「精神的なもの」です。
 サッカーはチームスポーツで、1人のミスは他でカバーできます。「助け合うこと」「信じること」が必要です。
どんなスタイルでも「走る」「戦う」ことが求められます。
 人間がやるので心理があります。これらを実行するためにも、選手の温度を上げなければいけないのがサッカーであり、監督の役目だと思っています。

 これらはサッカーをするうえで、当たり前のことです。ただ当たり前のことって軽視されがちだと思いませんか。サッカーに限らず、仕事や社会でもです。
 特にここ数年で、ヨーロッパからの流れや、国内でもメディアの影響で、日本サッカーも「サッカーを嚙み砕く」ことがとても注目されています。上記で述べた「1.サッカーのうまさ」の「オーガナイズ」の部分です。それは素晴らしいことでその通りだと思ってます。
 ただ「オーガナイズ」のことに頭でっかちになり、頭でサッカーするようになり、当たり前のことが抜けていてはいけないと僕は思っています。
 要は「バランス」が大事なのだと思います。どちらにも偏ることのなく。別に5:5が適切だとも思ってないです。そのチームによって適切なバランスがあり、その時々のチームの状態によって微調整されているのでしょう。

3.鹿島のサッカーとは、必要なこと
3-1.鹿島にとっての自分たちのスタイル
 ここから具体的に鹿島のサッカーに入っていきます。
まず全体像として「良い守備から攻撃へ」が感じ取れます。まず守備からゲームに入り、序盤はノーリスクで敵陣にボールを捨てるように見えるプレーもあります。
 「守備→攻撃の局面」では、「失うことを恐れず、まず前(裏)」という原則と判断の基準が見て取れます。ざっくり言うと「堅守速攻」がまずは第一です。
 「攻撃」と「守備」の局面については、原則にフォーカスし後に述べます。

 次にチームの「判断の基準」(2-1)話です。守→攻では上記した「まず前」という判断の基準があります。
 特に攻撃の局面やリード時では「バランスを保つ」「リスクは負わない」ことが「判断の基準」として見て取れます。
 鹿島は基本4-4-2で守備するので、攻撃で陣形が崩れれば崩れるほど守りにくくなると考えているのではと思います。
また守備でもリードしている場合は、自陣に下がることもあります。これは鹿島の守備上の問題もありますが、攻→守の局面で「戻る守備」をするのを恐れているのかと思います。サッカーにおける精神的にも肉体的にも一番疲労がたまるのは、攻→守(ネガトラ)の局面です。攻撃になり後ろから出ていったり、ラインを上げたのち、ゴール前まで戻らされると精神的にもつらいし、早く帰陣することが求められます。その局面を作られ、バランスを崩れるのを嫌っているのかと思います。
 リスク回避の部分は、これはリードしている場面に限らずですが、「ミス(ボールロストやパスミス)をしない」ことが求められていると思います。サッカーは崩されての失点よりも、ミスからやカウンターでの失点が多いです。
攻撃時(遅攻、相手がブロックを作っているときの攻撃)では、どんどん仕掛けたり、縦を狙うことより「つなぐ(ボールを失わない)」ことが判断の基準として見えます。これもリスク回避から来てるものと思っています。鹿島の攻撃のポジションの選手は、フィジカルに優れる選手よりも、技術がありミスが少ないプレーのできる選手を好むのかなと思います。

 まとめると、まずは守備から入り、速い攻撃で点を狙う。基本的には「バランス」「リスク回避」が判断の基準としてあります。
 鹿島としても、理想は「主導権を握る」「高い位置で奪う」ことがあるかもしれません。ただ「目の前の勝利を前提に勝つためのサッカー」をしていり、対戦相手に応じたサッカーをしてきます。
 前途しましたが「勝つための最善」をするチームで、抽象的ですが「勝つためならなんでもやる」ことこそが、「自分たちのスタイル」です。

3-2.守備について
 鹿島の守備について掘り下げ、個人的に考える問題点も言及します。鹿島のレビューで守備から取り上げることが多いのは、「まず守備から」ゲームに入るチームだからで、相手の攻撃と鹿島の守備の局面から基本的には言及します。鹿島が最初からボールを持つ時間が長かったら話は変わりますが。
 まずミドルゾーンでブロックをつくり、中央と内側を閉め、ボールを外回りにさせるポジションを取ります。前線からボールを奪いに行くことはせず、中(ボランチ)へのコースを切る形で構えて守ります。ゴールは必ず真ん中にあるので、まず中を切るのは「王道」といえる原則でしょう。
  この状態で相手はビルドアップしていきますが、構えたところから、「人(相手)」に行くのが原則の守備をします。マンツーマンではないですが、マンマーク寄りといえます。近くの相手、自分が担当する相手(相手のシステムにもよる)を捕まえ、ついていきます。
なので、相手のポジションチェンジにより、鹿島側も動かされるので、「手をつないでるように」一つの生き物として守る守備とは言えません。中盤の間を通されるパスもありますが、「出てきたところに対して球際に強く行く」といえる守備になります。

 この守備の仕方の長所は、球際に強くいけることです。鹿島は、ボール奪取に優れる選手を好みますし、「戦う」という精神的な原則(1)は、確かに体現しやすいかと思います。またACLのチームで多い「直線的(ダイレクト)攻撃」に対して、わかりやすい(はっきりしやすい)ことです。

 短所は、まず1対1で勝てることが前提の守備になるので、そこで不利になると、ドミノ倒しのようにどんどん崩れてしまいます。
 次に「球際(1対1)を作らせてもらえず押し込まれる」ことです。特にjリーグの相手に多い、数的優位を作り、出して動いてを繰り返されるチームに対してです。4-4-2で中盤が2枚なので、球際に強くいこうも行けず、「狭い空間を作り、連動する」守備でないので、テンポが速いと捕まえきれず、後手後手になり、人につくのでその分スペースを空けることにもなります。
 なので、「ミドルゾーンで奪ってカウンター」という場面を作れず、ゴール前まで運ばれることが多く、当然奪う位置が低いので攻撃に不利となります。

 そして、「5レーンで来る相手への守り方」が突き詰められていないことです。
 Jリーグでも5レーンで攻めるチームが増えてきました。鹿島は4バックなので数的不利、かつ5レーンで横幅を使われたときに、4バックの間が広がり、その間に立たれてしまいます。間(斜め)に立たれるので後手を踏む(のちに説明)ので、空いた選手を使われます。
 鹿島はそれに対し、ボランチの1枚が、CB-SBの間に入る選手についていく形に今のところ落ち着いています。しかし鹿島は人につくので(間を埋めるのでなく)、そこで遅れることもありますし、そもそも上記したように、その前の局面でも後手になるので、まさにドミノ倒しのように、後手後手になるシーンもありました。
 また、残ったボランチの両脇が空き、バイタルを使われることが良くあります。なんなら人を見るため、バイタル(CBの前)に誰もいないこともあるのが、鹿島の問題だと思っています。
 4バックなら、サイドハーフが戻れるときは戻り、サイドバックが内側を閉めたり、ボランチが1枚降りて対応するのがベターです。ようするに「5レーンで横幅を使われたら、4枚では足りない」と個人的には思ってます。

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ということは、どこかで5枚を作り、5レーンへの対応をチームとして持っておかないといけないと思ってます。
 「人につく」という原則を考えたとき、4枚の中盤(中が2枚)で、2枚のままスライド(1枚降りたり)すると、スライドが利かず、バイタルが空いてしまいますので、中盤を5枚(3センター)にしたり、もしくは5バックにするのが、「人につく」原則のチームのベターな守り方です。
 もしくは4-4-2なら、まずスペースを意識し、「全体がコンパクトに」「手をつなぐように」狭い距離感の中で密集を作り、1つの生き物のように、全体がスライドする、逆サイドは捨てるという「4-4-2の鉄板」の守り方をするのが必要だと思います。ワールドカップでも4-4-2が多かったように、そういった守り方をすれば、大体は守れてしまうのが4-4-2を使うことの良さだと思います。
 つまりは、5レーンに対して理にかなってない守備だと思います。

 ただし、すべてが悪いとは思ってません。まず鹿島はこれまで4-4-2で一環として、そこに合う選手を取ってきましたし、鹿島の首脳陣も、他のシステムへのノウハウを持っていないと思ってます。現状やってもおそらく上手くいかないでしょう。
 また上記のシステムでは、前に人がいなくなりますが、今のやり方であればカウンター時に前に人を残せます。押し込まれても最後にやらなければならないというやり方だと思うので、そこで点を与えず勝ってきた試合もあります。
 ただ「5レーンの守り方が突き詰めてない」というのが個人的意見です。

3-3.攻撃について
 鹿島の攻撃についてです。相手がブロックを組み、ビルドアップ、前進そしてフィニッシュの局面を掘り下げ、問題点を言及します。

 まず上記した(3-1)、「バランス」、「リスク回避(ミスをしない)」の「判断の基準」を感じます。
 攻撃のコンセプトとして、「サイドから攻める」ことが見て取れます。CBも縦につけるよりも、なんとなくのSBにつけるパスが多く、SBを起点に前進していきます。
 そして、ボックスの外側を狙ってきます。2トップの1枚が流れ、高い位置を取ったSB、SHが絡み、ボランチも時には上がってくる。おそらくここで収めて、

・サイドの深い位置を取ってクロス
・ボックスの角で前を向き、様々な選択肢を持つ 

ことが狙いなのかなと思ってます。相手の体の向きを変え、死角を作り、そこに逆サイドのSH、SBがゴール前まで入っていく。これがまず最初の狙いなのかなと思います。

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これは全体像であり、この「形」を作れたら狙いは見えてくるのですが、形まで持っていくまでや、この形が上手くいかなかったときの攻撃に関しては、「なんとなく」のプレーや、出し手と受け手の関係で終わってしまいます。この「形」自体も再現性、具体性が低いですし、相手からしても対応しやすいと思います。

 鹿島には、攻撃の「原則」がないのだと思います。ここでの原則は、「○○の場面ではこうする」というものです。jリーグでも具体性、再現性があるチームは、「原則」をしっかり持っていると言えます。

 僕はこれらを解決するヒントこそが「ポジショニング」だと思ってます。

 ではどこにポジションをとるのか。それは「相手の斜めに(角度をつけて)立つ」ことです。
 細かいところまでは書ききれませんが、どのポジションでも当てはまります。

 例えばDFラインからのビルドアップの場面。
 よく「3バック化」「ひし形をつくる」という形を取るチームがあります。これも「相手の斜めに立つ」という原則の「結果」だと思ってます。
 3バック化にするときは、基本は相手が2トップの時です。2トップはまず中央を閉めてくるので、3枚にし、開いて幅をとることで縦の選択肢を持つのが理由なのですが、これがもし、2CBのままビルドアップするならどうするでしょうか。
 ビルドアップすべての場面で、3バック化できるわけではないのがサッカーです。この時に2トップの真正面でCBが受けてしまったら、縦への選択肢が消え、横もしくは下げることになります。そうなると相手の2トップはプレスのスイッチを掛けることができます。2トップの後ろをケアしなくてよく、次に出てくるところが見えてくるからです。
 なので「相手の斜めに立つ」ことを原則として持つことが必要です。もし2トップに対し2CBのままでも、「斜めに立つ」ことを持っていれば、縦への選択肢を持てます。開くだけでなく、寄るでもいいです。そこはその局面局面で判断するものです。

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ただ相手のFWも嫌がって、真正面に立とうとしてきたら。CBがどこまでも開いてしまったら奪われたら危ないです。
なのでボランチなどが1枚関わることで、CB間の距離を抑えるのです。

 このように「原則」を持ったうえでの「形」にすることが大事だと思います。なぜ「3バック化」という「形」にするのか。答えは「原則」にあります。 

 もう一つ例をあげると、SBがボールを持った場面でのSHとの関係です。SBが幅を取っているときです。
 よく「同じレーンにかぶるな」と言われることがあります。ではなぜ被ってはいけないのか。それはいくつか理由があります。
 1つはSBの上がっていくスペースを空けるためです。同じレーンではスペースを潰してしまい、上がろうとしても渋滞してしまいます。
 もう1つは、SBから縦パスをもらうとき、同じレーンだと単純な縦のパスとなり、受け手の体はゴールに対し背を向けてしまい前がむきづらく相手のプレスを受けやすいです。
これが内側に入った場合、出し手と受け手に角度ができます。よってボールの方向に体を向けると、半身になり、前が向きやすくなります。

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ここでもSBも、斜めに立つことが重要です。タッチライン際に張るだけでなく、相手の斜めならば内側で受けてもよいです。その場合SHが幅を取れれば。ボールを受ける前の局面で判断します。
まさにこの内側にSBが入る(斜めに立つ)ことをチーム戦術にしたのが「偽SB」です。

 またサイドハーフのポジショニングとしてもう一つ大事なのは、「相手の背中(死角)に立つ」ことです。すべての場面できるでわけでないでしょうが。
 SBが幅をとり、SHが内に絞ります。この時に相手のSBがボール方向を向くことでできた、背中(死角)に入ることで、ボールとマーカーを同一視野できなくなります。
 この時点で相手はマーカーも気になるので、後手になります。そして相手を見て、どちらの意識が強いかを見るのです。
 背中に入られたので、背後への意識が強くなったら、手前に降りて前を向けます。逆に前(ボール方向)へ意識が強かったら、そのまま背後もしくは裏を取れるのです。

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つまりは、相手の逆を取れるのです。
 「斜めに立つ」「角度を作り、背後に立つ」。これらを「原則」として持つべきだと思います。そして、斜め、背後に立つにも、意識をみるにも相手をみる必要があります。
 上記したように、攻撃における「形」を、「形だけの形」なのか「原則があったうえでの形」なのかで訳が違います。
 「形」自体をいつも作れるわけでないですし、「形だけの形」なら相手も対応しやすいです。「原則があったうえでの形」なら、形を持ちつつも、その局面で逆を取れるので、応用が利き、わかっていても止められないことになります。後出しじゃんけんのように。
 原則があれば「形+α」をもたらせられるのです。目的はゴールを奪うことで、形は手段にすぎません。

 「サッカーに正解はない」と言われます。しかし、立つべき場所に立つこと、そして相手を見ることは、「サッカーにおける王道」だと思ってます。   

 「王道」があり、ここからの判断基準(2-1)で、「ボールを大事にする」のか「失ってでも前」なのか。「まず中央」なのか「サイドから」なのか。「リスクをとる」のか「リスク回避」なのかはチームそれぞれです。
 正解がないのは「判断」(決定)(2-1)であって、こればかりは最善だと思ったプレーをやってみるしかありません。

 細かいことをいうともっとありますがこの辺にしておきます(笑)。

・おわりに
 とても長くなってしまいました。書きすぎました(笑)
 今の時代は、サッカーを言語でかみ砕き、再現性、具体性が高まり、今後もよりそうなるでしょう。上記した「オーガナイズ」(2-2)が足らないのが今の鹿島です。

 しかし、なぜ勝ってこれたのか。鹿島は「試合の勝ち方」「精神的な部分」は持っていると思います(2-2)。特に「精神的な部分」は、サッカーの根本であり、哲学のもと、それをもっとも体現してきたからです。
 今の時代「オーガナイズ」に目がいきがちですが、「試合の勝ち方」「精神的な部分」を忘れかけ、サッカーを理想だけ、論理だけでしようとしてしまうのではないでしょうか。
 「オーガナイズ」に頭でっかちな、サッカーをサッカーだけで考えるチームでは鹿島に勝てないでしょう。20冠というのは「紛れもない事実」です。

 しかし、これらすべてを持ち合わせたらどうなるでしょう。それが以前の広島であり、今の川崎だと思います。

 鹿島は鹿島のやり方と伝統を守り、20冠をとりました。
 しかし時代は変わりました。「なんとなく」のプレーでは勝てなくなってしまうでしょう。「オーガナイズ」の部分を付け足していく。そのヒントこそが「原則」だと思います。
 要するに、上記した「オーガナイズ」「試合の勝ち方」「精神的な部分」のバランスが大事なのだと思います。
 これらの「正解のバランス」はわかりません。見つけるのは極めて難しいと思います。ただ鹿島がこれまで積み上げたものは、他のチームにはありません。素晴らしいものです。鹿島は鹿島なりのバランスを見つけてほしいと思ってます。 

 これからも勝ち続ける鹿島であってほしい。そう思い力をこめて書きました。読んでくださりありがとうございました。

 

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