2019/3/17 J1第4節 札幌vs鹿島 レビュー

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 Jリーグではお馴染み「ミシャ」率いる札幌は、攻撃時は4-1-5、荒野(27)がフリーマンとなり、4バック化する。相手の前の人数によっては、ビルドアップの形を変えるかもしれないが、この日も3バックの両脇のCB(福森、進藤)が幅をとり、斜めの楔を狙ってくる。
また選手の「逆サイドへの意識」が高いように見える。主に4バックの相手に対して、相手がコンパクトにし、あるゾーンを捨てきたとき(横のスライドした際の逆サイド)、WB、または両脇のCBが使ってくる。そうして相手を揺さぶりマークをずらしたり、コンパクトさがなくなってきたら、中を狙ったりと「相手がこうだと、どこにスペースができるのか」が選手に浸透しているように見える。
選手も「相手に対しての斜めの位置」に立っており、4バックの間に立つことで相手の矢印を利用してくる。前線が5枚なので数的優位となるので、このように4バックへのチームの攻め方を持っている。
 守備はミドルゾーンでブロックを作り、5-2-3になる。シャドーが場合によっては降りて5-4-1にもなるが、奪いに行くときは荒野が前線まで出ていって5-1-4にもなる。

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・序盤の展開
 鹿島は、これまでと同様、ミドルゾーンで構え、FWはボランチへのパスコースを切りつつ外側のスペースをケアする形。
 札幌は、相手FWはDFラインにはプレッシャーに来ないので、荒野がDFラインにおり、両脇のCB(福森、進藤)が開く形に。1ボランチの深井(8)の脇にチャナティップ(18)が降りて、相手の視線を角度をつけ変え、中央でボールをキープを目指そうとした。
 鹿島の守備上、ボールを回されるのは致し方無いが、出たところに対してSB、CBが対応できていた。しかし、鹿島の攻→守の局面や、相手のバックパスに前プレを掛けた場面で間延びしたライン間を使われピンチを使われた。

5:03~のシーンでは、レオシルバが出てあいたライン間をロペス(18)に収められ、荒野から逆の大外(鹿島の右)を使われた。(→菅(4)がシュート)
ちょうど大分戦で見られた形だった。
札幌の選手は「まず遠く(逆サイド)」を見て、出せないなら近くに出すことを選手ができている。最初に近くを見てしまうと、遠くが見えなくなり、遠くを見ていれば、出せない時でも逆算でより前にボールをつけれる。

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鹿島の方も札幌の特徴を掴んだ攻撃をしていた。
この日は左サイドからの前進が多かったと思う。札幌のロペスの裏のスペースを鹿島はついてきた。
まず札幌は、守備ではミドルゾーンでブロックを作り、5-2-3気味のプレッシャーと、荒野が高い位置に上がり5-1-4気味のプレッシャーをかけてきた。
これはシステム的にできるミスマッチだが、5-2-3で守るチームに4バックのチームは速い展開なら、相手のWBのところで、SBとSHにより2対1の状況を作ることができる。相手の2ボランチだとスライドが効きにくいからだ。ロペスは、町田にプレスをかけるが中を閉めながらくるので、安西へのパスコースはでき前進ができていた。

・先制点後
 鹿島の先制後も、基本は札幌のペースだった。
13:08には、相手のDFラインのビルドアップで、2トップが振り回され、間があき、ボランチもシャドーに引っ張られて宮澤(10)→鈴木(9)へ間を十荒れたりしたが、出たところに対ししっかり対応した。
しかし鹿島も、ロペスの裏のスペースを起点に、前進をしていた。
20:49~のシーンでは、札幌は鹿島の2CB、2ボランチにはめるように、荒野があがっていた。
安西がロペスの裏のスペースをとり、斜めの楔を入れる。このとき安部がサイドに張り、ルーカスをピン止めする形になり、2対1を作られ遅れてアプローチする。荒野は、安西側をむくとレオシルバがちょうど死角になる。札幌はこのプレッシングだとちょうど深井の周りにスペースができるため、相手のプレッシングを回避できたシーンだった。おそらくだが札幌に対しての対策であったのだろう。

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・2点目
 鹿島の2点目も似たような形だった。
22:34~のシーンでは、犬飼のサイドチェンジから安西へ(2ボランチの外側)、このとき伊藤がDFラインと駆け引きをし(伊藤は常にDFラインと駆け引きしている)、DFラインを下げさせ、ライン間にスペース作る。そこに安西がカットインすることで得点になった。
安部もサイドにいることで進藤も出づらく、安西のプレーを活かせる立ち位置だった。 

・2点目以降
 鹿島は、ブロックを自陣に下げ、相手に攻めさせた。ただ札幌のDFラインから数的優位を作り、揺さぶられ、中盤の間を通されたりするが、最後のところにしっかり寄せられたのも、選手間の距離を縮められていたからだろう。
しかしミスマッチとこの守備を利用されたシーンがあった。
44:44~のシーンでは、左サイドから斜めの楔を入れられ、菅→鈴木と繋がれた場面。鹿島は「人」を第一にDFをするなかで、あのように角度を作られると、「相手」と「ボール」を同一視できにくくなる。上記の図でもあげたように。永木が背中をとられていたが、この場面だとバイタルを使われてしまっている。
システムのミスマッチもあるが、この場面で内田がでていくとCB-SBを使われるし、レオシルバが出ていく(ボランチの位置から弾かれる)ことで、どうしても永木の周りが空いてしまう。いわゆる「5レーン」に対しての守り方がまだ「なんとなく」感があった1シーンだった。

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・後半
 後半の鹿島は、同様自陣でブロックを作るが、レアンドロが福森(5)に対しけん制を掛けてるようにみえた。福森からボールがでてくるのを警戒したのか。しかし出ていくことで2ボランチの外側を使われた場面が多かった。
また後半から、レオシルバは人に対してどんどん出ていくが、永木に関しては、人に行くというチームの原則は守りつつも、スペースを管理する意識が高まったように見えた(個人的な推測です)。
CBの前にポジションをとったとき、一番ボランチがケアするべきスペースを抑えてはいるが、その周りのスペースを使われるシーンもあった。ただそうなっても、CBの前を使われそのままゴールまでという攻撃を防ぎ、ボールをなるべく外だったり、ゴールから遠ざけることに繋がっていた。特に自分の後方への意識が強くなり、永木らしい前にアグレッシブにいくのは減ったが、「点差」や、相手の攻勢という「流れ」を考えた永木の「原則があったうえでの判断」が見てた。
内田篤人もこれまでCBの背中をカバーリングするシーンがあったと思う。これもそれぞれの場面によって、「原則」はありつつも「判断」をかえて、ゴールを守るためにより確率が高いプレーを選択している、できているからだと思っている。

・おわりに
 読んでくださった方、ありがとうございました。
内田がコメントしてましたが、サッカーにおいて精神的にも肉体的にも一番疲労が来る局面は、攻撃→守備の局面。今日の相手の「特徴」、「点差」、「状況」を考えて、したたかに戦えたことが良かったですね。相手は後半は特に前がかりなので、人数を掛けなくても攻めれる、こちらのFWと同数の時もありました。カウンターが無理だったら回す、まさに鹿島というゲームでした。
先制→相手が出てきたところを凌いで追加点→自陣に下がってでも逃げ切るといった「ファーストプラン」が今日のようにはまればいいんですが、それ以外の状況になったときに、選手の判断に茹れるのか、周りが提示してあげるのかにも注目していきたいと思います。

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