2019/7/6 J1 第18節 鹿島vs磐田 レビュー

結果は2-0。スタメンはこちら。

画像1


1.鹿島のゲームプラン
 

 鹿島は、「まず守備から入る」というこれまで通りのプランだっただろう。基本的にビルドアップで詰まったら、ボールを捨てるように前線目掛けて蹴り、相手に持たせて、守備から入れるようにゲームを作り、奪ったらカウンターでゴールを狙うことは描いていたと思う。
 しかし磐田はボールをもったところから相手を動かしていくことを不得意としており、鹿島としてはいつも通りのゲームプランだったが、理にかなっていたと思う。

2.鹿島の守備、磐田の攻撃

 磐田は攻撃時3-4-2-1で、前節の広島と同様。鹿島は広島戦(リーグ)では、3バックに対し、サイドハーフ(SH)がファーストラインまで出て3人目となり、SHのアプローチをスイッチとし、全体で前プレを掛けた。
 ただ今回は、SHは前に出ることはせず、ウイングバック(WB)(人)を見るようになっていた。これによって、高い位置で奪うのは難しいが、WBにはSH、シャドーにはサイドバック(SB)が内側に入りマークをした。高い位置まで上がったWBにボールが入ると、SHが戻らなくてはいけない(SBが2人見ることになる)ので、アップダウンが必要になるし全体が重くなる。しかし磐田は、ボールを持ったところから相手を動かすのが不得意で、自ら前に出てスペースを与える守備をやめて構えることでスペースを与えない守備の仕方はありだと思うし、結果的に0に抑えことが出来た。

 磐田の攻撃について分析させてもらうと、鹿島が前に来ないので、DFラインは数的優位となる。特に新里(左)側から、鹿島の2トップ脇をとり、そこをボールの出口としていた。ただロドリゲスのボールの引き出し方に問題があったと思う。出し手との呼吸もあるが、先にスペースに入ってしまい、永木の視野の中でボールを待っている場面が多かった。これではロドリゲスはゴールに背中を向けており、永木がアプローチするのも容易である。ここで必要なのは、相手がマーカーとボールを同一視できない位置から、ボールを引き出すことである。鹿島では土居が得意とするプレーである。

画像2

 左からの前進が多かったので、このシーンを取り上げさせてもらった。後半からロドリゲスとアダイウトンの2トップとしたが適材適所に選手をおけているかも疑問だった。
 ただ前半でも鹿島のボランチとSHの間のスペースにシャドーが顔を出し、フリーで受けたりはしていた。鹿島のSHのタスクは内側を閉めることよりもWBを見ることなのでボランチの脇が空き、4-4-2というシステム上でもあきやすいスペースである。しかしただ受けるだけで効果的とは言えず、そこからの全体でどう前進、スピードアップするか、どこを狙うかという具体性・再現性がなかったと思う。

 鹿島の守備にもう一度話を戻すと、前節の広島戦も最後に追いつかれてしまったが、5レーンで来る相手に対しての守り方の違うオプションを持っておくべきだと思っている。ここでいう違うオプションとは、終盤、短い時間で逃げ切りたいときのプラン、システムを変えたりとただ人を変える以外のものだ。今の鹿島の守り方だと、押し込まれたとき、DFラインに最終的に5人目となる選手(ボランチまたはSH)が必要だが、いつも戻れるわけでなく、負荷が大きい。最後の短い時間だけでも使える逃げ切りのオプションがあれば、広島戦のように大外が足らずに失点という確率を減らせるのではと思っている。

3.鹿島の攻撃

 鹿島はこれまでも「まずは守備から」があり、守備からゲームに入るために敵陣に蹴ったりしている。「相手が出てきたから裏へ」というより「捨てている」というプレーに近いと思う。またビルドアップで詰まったとき、チームとしてそこまでボールをつなぐことに固執せず、危なかったら蹴るというのが基準であり、ボランチが降りるのも確立されたものではなく、ビルドアップにおいてどこを出口とし、前進するかというのも見えずらい。
 ボールを捨てて守備から入ることを悪いといっているわけではない。今日の磐田のように相手を動かすのが不得意な相手には理にかなっているし、自分たちのストロング(カウンター)を活かすためなら、一つの選択肢として全体が共通していたらいいと思っている。
 ただ逆に相手が鹿島にボールを持たせてきたときや、自分たちが崩さないいといけない場面も今後あると思う。
 またそれ以前にこの試合でも「本当はつなぎたいけどつなげてない」ようにも見えることがある。なぜ詰まってしまうかというと、相手の斜めに立ててないからだ。基本的にビルドアップで詰まっているときは、相手の真正面でプレスを受けている。縦へのコースを切られるので、横か下げるしかなくなり、相手も連続してプレスをかけることが出来てしまう。ただ最初から真正面に立っているわけではない。以前も書いたが、そこから相手をみてボール保持者に「寄るのか、離れるのか」というポジショニングのマメさが足らないのだと思う。

画像3

 

おわりに

 読んでくださった方ありがとうございました。
 結果あっての内容だと思っているので、結果を出していることはすごいことです。勝つことにそれ以上ないですからね。
 前から行っていますが、これからも持続的に勝つために、自分たちが目指している順位に行くために、その目線、基準で必要なディテールを話しています。特に鹿島のレビューでは。
 「守ってカウンター」が自分たちのサッカーならば、違うサッカー(ポゼッション)ができれば様々な相手や状況に対応できると思います。それができるのが鹿島の強みだと思いますが、この試合では、「つなぎたいけどつなげてない」ように見えたので、なぜつなげないのかを考えるべきかと。原則や戦術は、「選手を助けるもの」でそれらを示せれば、選手もより頑張れるようになると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?