仕事について大学生は思う

昔からバイトに対して苦手意識があった。
はじめはとある飲食店でバイトとして入ったが、土日のみの固定制のシフトだったために、週末働いて平日の間に仕事の間隔が空いてまた振り出しに戻る感覚を味わった。毎週末怒られて謝って、そうしてお金を稼ぐのだなと思ったが、時給も上がらず月に2万程度だった。極めつけは社員からまだ仕事の4割しかできていないといわれたこと。モチベーションはもうほぼ残っていなかった。
春休みに暇すぎて引っ越しのバイトに応募する。ズームで簡単に面接が終わり後日メールで採用通知が届いた。このバイトも続かなかった。体力の問題もあったが人とのコミュニケーションがうまくいかなかった。前回の飲食店では少人数で運営していたので密なコミュニケーションが取れていたのだが、引越し屋は大所帯であったため現場が違えば働くメンバーの入れ替わりも激しかった。
こうして失敗体験を短期間の間に積むと自信がなくなり、やがて挑戦心も失う。大学中退も相まってますます自己肯定感がなくなりバイトに対する苦手意識は徐々に膨らんでいった。
再受験も終わり、バイトをまた始めてから半年以上経つが、働くとは信頼を得ることではないかと思う。人とうまくコミュニケーションをとるとはすなわち、人を信用し人に信頼される関係を築いていくことなのではないかと思う。十代後半の頃は街ゆく人々がみな楽しそうでうまくコミュニケーションをとれていると解釈していたが少し違う。上辺で仲良く見せることは意外とよくあることで裏で相手が自分に対して何を言っているのかわかったもんじゃない。そういったことが真実であったりそうでなくても自分が猜疑心をもっている限りはまだ信頼関係は醸成されていないことになる。これが仕事の場合、非常に働きづらくなる。
また、人に信頼されるよりも人を信用するほうが難しい。こいつは実は嘘をついているのではないかと勘繰ってしまう。何か失敗したら全部自分のせいだと気負ってしまう。そういった問題は主に時間が解決してくれるが、バイト初心者や部活経験がない人は戸惑うかもしれない。人は意外と善人で悪人はあまりいない。誰かに頼られたら嬉しいのは誰でもそうなのかもしれない。しかし、集団生活に苦手意識がある人は信用することができず、結果として周囲に馴染めないケースがある。こういうことを言ったらあいつはこういうやつだと断定されたり相手の気分を害するのではないかと被害妄想が始まる。
つまり、公私混同はよくないという話に収束してしまうが、このハードルを越えるのに私はあと何年かかるのだろうか。

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