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小説 最期のミステリー 2.

『至急、連絡ちょうだい。マッハでね』

白いDM画面に浮かんだメーセージ。

 アイコンは以前と同じイルカのマーク。ただし、左右の向きが逆だ。
 それにオルガのTwitterアカウントは確かに消えた筈だ。再び作成したのか?それともオルガを模倣した赤の他人の悪戯?
 戸惑いながらも、返事をしないという選択肢は奏太の頭にはなかった。
『オルガ?』
 返信ボタンを押す。白い画面にポンッと浮かびあがるメーセージ。
 すると待ち構えていたかのようにオルガのメッセージが戻ってくる。
『そう、オルガだよ。ヒビキ!』
 ヒビキ。久しぶりに呼ばれたSNS用の筆名が、奏太の記憶を呼び起こした。

 ──1年前、SNS小説サイト『創作の海』。僕=ヒビキはオルガとそこで出会った。
 奏太の奏はかなでる、とも読める。その事から『奏でた物語を響かせたい』という願いから筆名はヒビキと名付けた。
 僕はヒビキとして自由に作品を投稿し、創作を楽しんでいた。ある時、TwitterのDMにメッセージが入った。いつのまにか僕のフォロワーになっていたオルガという人物だ。
 特に関係を持たない間柄でのDMは珍しい。僕は
好奇心を抱きながら、開くボタンを押す。

『創作の海でのパクリについて、確認したい』

 パクリ?盗作と言う事か?
 身に覚えがないとはいえ、淡々としたメッセージからは、身震いをさせるほどのドス黒い何かが漂っていた。





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