詩のような 日記のような
何もかもに酷く疲れた。
だが、これといって明確な理由もない。
私はぶらりと立ち寄ったカフェのカウンターに席をとり、ケーキと紅茶を注文した。仕事は早退した。誰かに見られたとしても咎められる理由は無い。
温かい紅茶を一口含み、窓の外に視線を向けた。
街はいつの間にか夜の顔に化していた。街路樹を彩るイルミネーションは綺麗というよりは寒かった。知らない間に全ての事柄は進んでいる。
ああ、まるで魚のようだ
と、行き交う人々を見て思った。
人間は浮世という海を泳ぐ魚だ。今、まわりはキラキラと輝くビルの珊瑚礁にたむろしている魚達だらけだ。
マグロや鰯、もしかしてあの人は鮫?
なんにしても魚には変わりは無い。みんな必ずいつかは死ぬ。ああ、それは人間でも同じなのだけれど人間を主体として寿命を考えるより、魚として考えた方が時間に対してよりシビアに感じられる。いつか死ぬとわかっている限られた時間しか無いと言うのに、魚同士の事で何を悩む必要があるのだろうか。
なんとなく、そう思えば心が軽くなった。
海は広い。さあ、そろそろ泳がなくちゃ。
帰ろう。
カフェの席を立った。
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