卵子凍結の話②

初めての診察は36歳のとき。
冬が本格的に始まりつつある12月のことでした。

どのくらい時間がかかるかわからなかったので、週末を選んで行きました。
ダウンコートに身を縮めながら、緊張の面持ちでクリニックに足を踏み入れた時、待合にいる患者さんの多さに驚きました。

自分と同年代か、少し上くらいか。
同伴の旦那さんやパートナーと寄り添うように順番を待つ人もいました。
まさに今妊娠したいと願う女性たちに混じって、
同じソファで待つ私自身をどこか異物のように感じた覚えがあります。

クリニックでは、
まず、採血から始まり、超音波(エコー)で卵巣の様子を見る内診、先生の診察と続きます。

不安だった初めての内診は、
「うーん、気持ち悪いなあ・・」と思っていると、1分ほどで終了。

それよりも、内診台の横にモニターに映し出される
楕円形の卵巣と、その中に詰まった黒抜きの大小の丸い物体。
先生が内診の器具を動かすたびに、たくさんの丸状の影が見え隠れします。
「これが卵胞かー!!」 と感動。
自分がまるで子持ちししゃもになったかのような気分。
ああ自分は卵を体に宿しているんだなあという実感が込み上げ、
テンションが上がりました。

その後の診察で、
「無事に黄体化しているみたい」と先生。
私はAMHが年齢の割に高く、たくさん卵胞ができる体質のようでした。

エコーで確認できただけで左右計30個以上。
先生「36歳にしては多い方だね」
私「・・・それはいいことなんでしょうか?」
先生「大事なのは量よりも質だからね」

なるほど。多いだけではだめなのね。
とはいえ、採れないよりはいいのだろう、とこの時は漠然と考えていました。

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