急に耳元で

嫌な夢を見た

薄暗い部屋で 自分と誰か、女の子?が立っている

「推し変、するんだ」
諦めたような淡々とした彼女の声が響く
「…っ!」
ジリジリとした視線を感じながら何か答えようと口を開くが何も声がでない
いや、声にならない

しばらく沈黙が続く
気持ちの悪い空気がまとわりついて居るような居心地の悪さが堪らない
「っ、違う!」
「何が違うの?!」
ようやく出せた声も被さるような彼女の声にかき消される

「違うよ、、僕なんか居なくっても何も変わらない…君はそれだけ大きくなったんだよ…」
数年前の僕と数人だけのチャット欄だけだった時代とは違う。ゆったりとしたコメント欄と今はだいぶ様変わりをしている。
それはとても喜ばしいことのはずなんだ
僕はそれを望んでいたはずだった

「なんでそう思うようになったの?」
「だって…!僕がコメントしなくたって他の人が配信を、イベントを、賑やかしてくれるじゃないか!Twitterのリプだってそう、、」
さっきまで声にすらならなかったのに酷い焦りから早口になってしまう
「そう?」
「そうだよ…僕なんか居なくなってももう君は、、平気だよ…」


僕はダメな人間だ
君という存在に勝手に思いを寄せていたのに勝手に失望している

君は
僕なんか
居なくても
もう、、

「違うよ…居なくても平気になったのは貴方のほう」
…?
「君は私が居なくても平気になったから」

やめて
その先を
言わな、

「推し変するんだよ」

急に耳元で君の声が聞こえた瞬間

目が覚めた

ぐゃぐしゃに濡れた顔
じっとりとしたTシャツの胸ぐらを掴んだ状態で

目が覚めた




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