教育に「怒る」は必要なのか?その①

皆様こんばんは、ななまるです!

最近、家庭教師の募集サイトに載っている講師の指導方針の欄に
『行動が危なかったり、授業態度が悪かったりしたときにはちゃんと怒ります』
というような内容を記載している方を見かけました。

この文章、一見至ってまともなことを書いていると思えるのですが、家庭教師を一年努めてきた私は、この表現の仕方はどうなのだろう…と思ってしまいました。


そこで今回は「家庭教師が怒る」という表現について少し考えてみようと思います。



1,「怒る」という言葉の意味

まず「怒る」という言葉の意味を改めて調べ、考えてみましょう。
そうすることで、表現したい状況がわかりやすくなるはずです。

「怒る」
①腹を立てる。興奮して気を荒だてる。
叱る

この意味を見た段階で、少し教育を齧っている読者はあれ?と思ったことでしょう。

どこかで聞いたことはありませんか?

「怒る」と「叱る」は別物だ、と。


ですが辞書には「怒る」の意味の一つに「叱る」というワードが出てきました。
どうしてなのでしょうか?



2,「叱る」という言葉の意味

では「叱る」という言葉の意味も調べてみましょう。

こちらはサイトや辞典ごとに表現がバラバラだったため、ニュアンスとして一番一般的なイメージが近いものをいくつかピックアップしました。

「叱る」
①相手の非を咎め、厳しく注意すること
②相手を正しい方向へ導くために何が良くないのかを気付かせること

こちらの意味を見る限り、私達のよく知る「叱る」のニュアンスになっています。

叱る、という表現は教育的な意味合いがあり、その叱っている姿が怒っているときと似ていることから、怒るという言葉の意味に叱る、が入ったのだと考えられます。

つまり、叱るという言葉に怒るという意味は含まれていないのです。



3,「怒る」「叱る」そして「諭す」

では叱る、という表現にするべきなのか、というと答えはNOです。

なぜならこの叱る、という言葉の意味にある何が良くないのかを気付かせるということが、叱る相手にとっては難しい問題だからです。

よく叱られている子どもたちを想像してみてください。
例えば…

・誰かに迷惑をかけた…

・授業態度が悪い…

・宿題をやってきていない…

どれもこれも、まだ善悪がついていない幼い生徒の行動だと思いませんか?叱られるようなことをしてしまう子供は、往々にして人生の経験値がとても少ないです。

特に、何故してはいけないのか、どうして言うことを聞かなければいけないのかといった理由を理解できていない子供が多いと思います。

どういうところが悪かったまでかはわかるかもしれませんが、なぜそれが悪いのかまで考えられる子供は、そもそもしてはいけない理由を理解しているので叱られるようなことはあまりしない傾向にあります。

だからこそ、してはいけないこと、その理由、どうすればよかったか、というすべての道理を丁寧に説明してあげる必要があります。

私はそれを「諭す」と表現しています。



4,「諭す」の意味

そこで先程と同様に諭すの意味を調べてみました。

「諭す」
①物事の道理をよく言い聞かせてわからせること
②言い聞かせて納得させること

先ほどとはまた違ったニュアンスの意味合いが出てきましたね。
どちらかというと、詳しく順序だてて説明する、といった感じでしょうか。



5,「怒る」「叱る」「諭す」の違い

ですが、どれがいい表現なのかわかりにくいですよね。
例として、あるシチュエーションに応じたこの三種類の表現を見てみましょう

ある一人の子供が図書館で走り回っていたときの親の注意のしかたを「怒る」「叱る」「諭す」に合わせて表現してみましょう。

「怒る」→「図書館ではおとなしくしててって言ったでしょ!どうしてそんな簡単なこともできないの?!」

「叱る」→「走り回ったら危ないし人に迷惑かかるから駄目でしょ?図書館では走らないでちゃんといい子にしてようね」

「諭す」→「図書館はほかの人も使ってるし、本を読むときは集中したいよね。走ってると、どたどたって足音が聞こえるでしょ?その音で周りの人の邪魔をしちゃうから、走らない方がいいよね。それに、早く走ると曲がり角で急に出てきた人にぶつかっちゃったりするかもしれないよね。そうなると危ないから、ゆっくり歩こうね」

わかりやすいですよね。
同じ『図書館で走り回らない』という点を注意するのに、言葉のニュアンスでこれだけ印象や表現が変わります。

これこそが私が疑問に思ったことに対する答えです。
家庭教師として子供たちとかかわっていく以上、言葉のニュアンスは大事にしていく必要があります。

それはご家庭に受け取られる印象に影響し、場合によっては子供たちに精神的な負荷がかかってしまうからなのですが…
長くなってしまうので、それは次回詳しくまとめていきたいと思います。



6,まとめ

今回は「怒る」「叱る」そして「諭す」のニュアンスについて、意味や例を踏まえて考えていきました。
同じ一つの行動の表現も、言葉が変われば印象が変わります。

受け手からの印象を悪いものにしないためにも、私たち家庭教師側は常に気にかけていく必要があるのではないでしょうか。

次回は「諭す」で指導をしてきた私の考えについてまとめてお伝えします。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?