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綾─なる─花 彩る香(か)

 
 
 
ほんのりと咲き初めた蕾は
夢より儚く摘み取られ

咲き誇ろうとしていた花は
不粋に抉じ開けられた

境界を踏み越えるでなく
ただ連れ去られるように


吹き折れまい
手折られまい


胸に宿った真の蕾


心の芯に沈ませ
冷たい底で凍りつく


人知れず覆い隠した本芯に
綾の花びら 鎧と纏い
 
 

 
 
 
いつしか構えた心の角度は
斜に織られて浮き出す紋様と同じ

絢爛たる華となり
かりそめの繚乱を誇る
 
 

 
 
 
心は何処
芯は何処
真は何処に

 
薄れ往く幻 奥底で求めても
忘れじの遠き日は戻らず


永(なが)の眠り まどろみの中
失くしたはずの季節が訪えば

忘れかけていた刻が
纏を攫ってひるがえし

覆い隠していたはずの
蕾がいつしか疼き出す


遮るもののない世界

そおっと辺りを見回せば
そこに見えるは蕾か花か


目をこらして映るのは
鏡に映る己が姿


全てを超えた暁に
ついに咲き誇るは花の紅
 
 

 
 
彩るは
綾の錦の
花びらに
秘して隠せぬ
香(か)匂い立ちて
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
[写真モデル: 彩香さま]
 
※代理人よりご本人の許可を得て掲載しております。
 
 
 
 
 
 

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