魔都に烟る外伝/終宴の始まり~part5~
「おめでとうございます、伯爵」
「ああ……」
クライヴ立ち会いの元、医師に懐妊の事実を告げられた時、マーガレットの中には不安と恐れしか浮かばなかった。こうなることを望んでいたにも関わらず、自身の『目的』を知られたことで、夫に対する罪悪感が先に立つ。
もちろん、結果的には『夫』は端から気づいていた訳で、彼女の及びもつかない男、でもあった。それでも本来、権謀術数とは無縁の彼女にとっては、あくまで己の方が先にクライヴを利用しようとした、と言う認識になる。例え、