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アミュプラザみやざきとグリスロ

どうも、ゆうくんです。
最近は、仕事が忙しく、noteを書く気力も失っていましたが、久しぶりに更新させて頂きます。

早速ですが、本題に入っていきたいと思います。
JR九州と宮崎交通が手を組み、宮崎駅西口に今年11月20日にアミュプラザみやざきが開業します。そこで、宮崎市が中心市街地の流動化を考えグリーンスローモビリティ(グリスロ)の導入を計画していますが、実は歴史を遡ると現在の検討は正直甘いもので、5000万円近い市税が無駄になるのではないかと筆者は懸念しています。

1.宮崎市中心市街地の衰退の歴史

私が宮崎市中心部に住んでいた2000年代前半(平成13年~17年頃)、当時、小学生だった私にとって記憶は浅かったのですが、宮崎市の繁華街ニシタチ(西橘通を中心とした一帯のこと)のアーケード街である一番街にはマクドナルドや本屋があり、ボンベルタ橘や山形屋といったデパートともに地域の商業の中心として機能していました。

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今の宮崎市一番街は、キャバクラや大人向けの飲食店が多いため、イメージが付きづらいかもしれませんが、熊本市の通町筋が小さくなったイメージを抱いて頂けたらと思います。

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写真:街市実施時の一番街

私の父はよくニシタチに飲みに行っていた記憶がかすかながら残っています。
そして、休日には、母と自転車でカリーノ8階にあった本屋※に行ったり、エアラインホテルの近くにあったサンリブに買い物に行たり、宮崎駅東口にある科学技術館に遊びに行っていた記憶があります。

※現在のカリーノは1階・2階に宮崎県最大規模の蔦屋書店が出店

宮崎市の中心市街地の衰退が決定的になったのは平成17年(2005年)5月に宮崎港近くに開業したジャスコ宮崎ショッピングセンター(現:イオンモール宮崎)です。元々、福岡や鹿児島に流出していた需要を宮崎に戻し、宮崎にお金を戻すという理由で、中心市街地の商業者は反対しつつも最終的には前市長が立地を認めてしまい、15年近くに及ぶ中心市街地の衰退という問題が起きています。
4章の国土交通省の資料を読めば、衰退傾向が続いていたのが分かります。

2.中心市街地活性化の取り組み

イオンモール宮崎が開業し、様々な中心市街地活性化策が取られてきました。商業地としての市街地活性化としては、大きな成果をあげたものはあまりありませんでしたが、失敗したものもあれば、地道に取り組まれて、現在も継続的に取り組まれているものが数多く存在しています。

まず、イオンが開業した平成17年(2005年)頃、アミュプラザみやざき やま館が立地する宮崎駅前通り(あみーろーど)のアーケードの処遇が課題になります。そこで、駅前通りのアーケードの在り方について検討が行われました。
その結果、アーケード撤去の方針に決まり、アーケードを撤去したことで逆に人通りが高千穂通りに流れてしまうという事態を引き起こしてしまい、駅前通りのお店が多く閉まってしまう事態に陥ってしまいます。

※現在の宮崎駅前通りの1階空き店舗無しという状況はアミュの開業が決まり、お店が開くようになってからです。

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写真:今年3月の宮崎駅前通り(あみーろーど)

また、平成17年(2005年)頃に始めて今も継続しているものが、街市です。現在、コロナ禍の中であるため、感染拡大防止という観点から実施されていませんが、毎月第4土曜日に一番街と若草通りを中心に食品や雑貨販売やマッサージなど様々な店舗が集結し、イベントが実施されています。
こちらも今年は中止になりましたが、同じイベント系で、高千穂通りを土日の午後2日間通行止めにして、20万人を集めるお祭り、まつり宮崎が平成26年(2014年)より実施されています。

3.市街地活性化のために行われた箱モノ事業

箱モノと書くと響きが悪いですが、それを市街地に作ることで市街地に文化を作ったり意味があるものを作るのであれば、価値があるものなのです。

平成21年(2009年)に橘通り3丁目にアートセンターが開設されました。私にとっては、アートセンター前にある「ピアノ」と年に1回程度開催される企画展は楽しいものがあります。平成30年(2018年)に実施された新海誠展には私も行きましたー!
アートセンターは高校生の立場からすると市街地にある都合の良い勉強スペースのようです。

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平成23年(2011年)には、宮崎駅西口にKITENビルが建設されます。
そこには、宮崎交通の高速バス乗り場が開設され、JR九州ホテルが開業しました。その他、宮崎市の観光協会や商工会議所が入居しました。
建設された当初は、空きテナントも多く、何のために建設されたのか、理解することができませんでしたが、大学生になり、宮崎市がIT企業を誘致していく上で、高速回線に対応できるオフィスを供給していく必要があることを知り、そのような時代の要請に対応していった結果あのような形に意味があることを知りました。

現在、宮崎駅東口にアリーナの建設が検討されていますが、それこそ完全に要らない箱モノだろ~と言いたくなります。理由としては、宮崎市民文化ホールやメディキット県民文化ホールの稼働率は50%程度で建設されたのは1990年代でありまだ使えること。市立体育館も1980年代に建設されたものの、武道場が併設されており、武道場の扱いについても確り考えられていないこと。極めつけは令和8年(2026年)に予定されている国民スポーツ大会(国スポ)で新設される新県立体育館が宮崎市と宮崎県とのコミュニケーション不足で延岡市への立地を許してしまいその失敗の穴埋めを行うということが一番の理由となってしまっていることです。

4.市街地活性化のための都市計画・交通政策

私が大学院で学んできた都市計画・交通計画についての記述を行っていきたいと考えています。

市民アンケートで「市街地になぜ来ないのでしょうか?」という質問を行った結果、「自動車で行くのが不便だから駐車場を増やして欲しい」という回答が多く、そのため、中心市街地に駐車場を増やしすぎた結果どうなったかと言うと、国土交通省で全国の事例として取り上げられるほど問題になりました(笑)
中心市街地の162ha(1.62㎢)のうち、13.3%の21haは駐車場というのが宮崎市の現実です。

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出典:https://www.mlit.go.jp/common/001190806.pdf

私が大学生になった平成26年(2014年)にこの資料を見つけましたが、平成29年(2017年)版も同じ内容が使われている状況だったのは私自身驚きです…。

そして、中心市街地で自動車を使ってお買い物した人には駐車場のサービス券を差し上げますというサービスを行っていますが、普通常識を持って考えれば、自動車使う人は駐車場が便利な郊外ショッピングセンターに行くはずで、中心市街地は公共交通が便利で公共交通や自転車、徒歩を利用する人が集まるわけですから、公共交通利用者を優遇する政策を取らなければ意味がないということに気付かないのでしょうか?
是非、公共交通利用者を優遇するサービスを中心市街地は行って欲しいものです。

続いて、グリーンスローモビリティ(グリスロ)に繋がる中心市街地周回バスの取り組み。1999年(平成11年)とKITENビルが開業した翌年の平成24年(2012年)に宮崎市中心部に100円バスを走らせるという取り組みを行っていますがともに失敗し、運行されていません
特に、平成24年の実験は今回のグリスロ計画と全く同じもので車両だけ取り換えたというのが事実です。

5.アミュプラザみやざき開業までの流れ

今年11月20日に開業が決まり宮崎駅や宮崎駅西口は絶賛工事中ですが、これは宮崎の商工会が危機感を持ち動き続けたことで実現しました。
平成23年(2011年)の九州新幹線全線開業に併せ3月3日にアミュプラザ博多が開業しました。そして、平成27年(2015年)にはJRおおいたシティが開業しました。令和3年(2021年)に開業予定のアミュプラザくまもとの開業も既定路線であり、既に開業している鹿児島、長崎、小倉を除くと、九州の主要都市でアミュプラザの開業の予定がない都市は、宮崎と佐賀のみとなっていました。それに危機感を持った宮崎の商工会が働きかけることで平成28年(2016年)7月18日の宮崎空港線開業20周年に合わせて、宮崎駅西口にJR九州が自社開発を行うことを確約させます。
そして、平成30年(2018年)10月18日に旧宮崎駅前営業所跡地(アミュプラザみやざき やま館予定地)の土地利用について検討を行ってきた宮崎交通が共同開発者となり、アミュプラザみやざきの計画が実現することとなりました。

6.グリーンスローモビリティ

令和元年(2019年)11月29日~12月15日にかけて、高千穂通り~広島通り~宮崎駅前通りを無料で周遊運転を実施しました。実験は、無料であり、もの珍しさから、5900人もの利用があったそうです。特に土日は非日常のアトラクションとして、子連れに大人気だったそうです。
宮崎市のホームページにグリスロの実証実験について載っていたので記事を読んでみましたが、利用者の感想のみとなっており、市中心部への波及効果と言った検証は行われておらず、有償化した場合の実験も行わず5000万円で2台の車両を導入するのか如何と思います。
なぜなら、平成11年(1999年)、平成24年(2012年)と2回、同様な実験を行ったのにも関わらず、定期化できなかったからです。

グリーンスローモビリティに関する宮崎市のとりまとめサイト
https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/city/policy/tourism/213102.html

もし、やるのであれば、11月20日のアミュ開業のタイミングで有償実験を行うべきではないでしょうか?
事例は、全く異なりますが、熊本市の市電を距離対運賃制度から全線均一運賃に変更する際、2カ月間ずつ、130円と150円の運賃で実験を行い、利用者と収入のバランスを見て150円の運賃にしました。(現在は、消費税増税やサービス向上を目的に170円均一となっています)そのため、本格導入するのであれば、1日100円で乗り放題にするか?1回100円にするのか?それともメリットを享受する中心部の商工会から寄付金を貰って無料にするか?もっと、詰める必要があるのではないかと思っています。
また、このグリーンスローモビリティが失敗した場合に何処に転用するのかといったことも必要だと考えています。

もしも、ここまで詰め切れる自信が宮崎市にないのであれば、同じ額で30年落ちの古参車両が70両もあり、置き換えに苦労している宮崎交通に新車の中型路線バスか大型路線バスを2台寄付するか?(グリスロ1台≒新車の大型路線バス1台)熊本市にあるSAKURA MACHI KUMAMOTOが昨年9月に開業した時のように宮崎県内の公共交通(宮交の県内全路線バスとJRの県内区間の全普通列車)無料化をアミュプラザみやざき開業翌日の21日(土)と22日(日)行うことの方が現実的で活きるお金になると思います。
※公共交通無料化の実験については「JRの収支発表と地元に思うこと」の過去記事を参照

最後は熱く語ってしまいましたが、やはりいずれは、宮崎に帰って、今頑張って得ようとしている技術・経験を活かして貢献したいと考えている立場としては、本気で伝えたいと思っているところです。

それでは、次回の更新をお楽しみに!

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