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宇都宮ライトレール 2021春編(その2)

前回、前々回と続いてきた宇都宮ライトレールに関する記事ですが、今回も、宇都宮ライトレールに関する記事です。

前回は、鬼怒川橋梁の手前までご紹介してきましたが、今回は、鬼怒川橋梁から終点まで紹介したいと思っています。

1.宇都宮駅東口側(ライトライン)について

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前回は、上図の川(鬼怒川)から左半分を紹介しましたが、今回は川から右側半分をご紹介します。

鬼怒川橋梁~犬山城電停付近

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宇都宮駅東口を真っ直ぐ貫く鬼怒通りから南の方に逸れ、専用軌道区間を進み、線路は、鬼怒川に向けて東進していきます。(詳細は、前回の更新分をご確認ください)

鬼怒川をまたぐ区間、この区間は昨年、訪問した際にも既に工事に着手しているところが分かる状態でしたが、今年再度訪問してみたところ、このような形で橋梁がほぼ完成し、あとは、前後の区間の整備を進めているところです。

これからは、架線やレールなど、鉄道を運行する上で必要な設備の工事が行われる予定で、現地には、枕木やレールなどが資材置場に置かれていました。

犬山城電停~清陵高校付近

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清陵高校前電停は既に電停の工事が終了しており、あとは架線とレールの敷設を待つばかりとなっております。
近隣には、作新学院大学があるため、大学生や高校生の通学需要も大きく見られているのではないでしょうか。

清陵高校前電停からは、再び併用軌道区間(道路空間の一部が軌道空間)となります。
鬼怒通りは、道路の中央に線路があるセンターリザベーション方式でしたが、清陵高校前電停から清原中央通りにかけては、道路の片側に線路を建設するシングルサイドリザベーション方式となります。
私が知っている範囲(国内)では、熊本市電の熊本駅前~田崎橋間のみですが、この区間は、地元の熊本大学が景観計画に関わっているそうです。

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清陵高校付近にはL字だった道路をトラムが走りやすくするため、S字に改良されていました。道路には、起点である宇都宮駅東口からのキロ程が養生テープに記されており、まさに新しい鉄道路線が建設されていることを実感しました。(なお、訪問後に架線柱に架線を載せるビームが取付されたそうです)

また、7月の4連休を活用して、犬山城電停と清陵高校前電停の間にある国道408号を跨ぐ跨道橋の建設が夜間工事にて行われました。

清陵高校~清原地区市民センター前電停付近

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清原地区市民センター付近と「清原地区市民センター前」電停の写真です。
「清原地区市民センター前」電停は、「宇都宮大学東陽キャンパス」、「平石町」と同様にトランジットセンターが設けられます。他の2電停と比較すると既に形ができていることから、どのようなトランジットセンターになるのかイメージがしやすくなっています。
現地の写真をする際に、スマートフォンで撮影したため、カバーが写ってしまっており、申し訳ございません。なお、撮影の際は、周りの交通環境に留意して撮影してます。

そして、清原中央通りについては、架線柱の取付はまだ行われていないものの、線路が敷設されています。

清原中央通り

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清原中央通りには、「グリーンスタジアム前」電停が設けられます。
この電停は快速列車が運行された際に各駅停車と快速列車が暖急接続を行う電停になります。
また、J2の栃木SCのホームグラウンドがグリーンスタジアムであることから、試合開催時に観客を輸送するための折返し設備も整備されています。
現在、ホームとレール、架線柱、信号機が整備されており、あとは架線と車両が来るのを待ちわびる状況になっています。
今回訪問した工事区間の中でも最も完成に近い状況にあります。
その後、線路は、専用の高架となり、一旦離れた主要地方道64号(宇都宮向田線)と再び合流する形になります。

野高谷交差点~管理センター前交差点

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野高谷交差点から管理センター前交差点までの区間には5つの電停が設置されます。「ゆいの杜西」、「ゆいの杜中央」、「ゆいの杜東」、「芳賀台」、「芳賀町工業管理センター前」です。「ゆいの杜東」までが宇都宮市内の電停で、「芳賀台」からは芳賀町が整備する電停になります。「芳賀町工業管理センター前」はトランジットセンターになります。

線路は中央部にセンターリザベーション方式で整備されますが、現在は、中央分離帯が撤去され、芳賀町内は工事が行われており、道路が拡幅されているのが分かりますが、宇都宮市内は野高谷交差点を除き、トラムが新たに入ってくる様子は感じられませんでした。

管理センター前交差点~芳賀・高根沢工業団地(終点)

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長かったライトラインの終点が見えてきました。
ここに設けられる電停は、「かしの森公園前」「芳賀・高根沢工業団地(終点)」の2つです。
線路はセンターリザベーション方式となります。
かしの森公園通りの勾配は60‰(6.0%)で鉄道では、北陸新幹線開業に伴い廃線になった信越本線横川~軽井沢間並みの急こう配となりますが、導入される車両は67‰(6.7%)まで対応した車両が導入されます。
そして、道のりに進むと、道路と歩道の植樹帯に街路樹が見られるようになります。
そこがライトラインの終点になるようです。

用語説明
‰(パーミル):鉄道の勾配表記で使われる単位で、1000m(1km)で何メートル標高が変化するかを示した単位になります。

感想
昨年4月、現地出向いた際は、2週間という短い期間だけど、折角東京にいるし九州から、中々出向くのは難しい宇都宮ライトレールを見に行ってみようという軽い思いで宇都宮に行きましたが、実はライトラインの沿線は公共交通網がとても低いレベルで、公共交通を使用して現地を見て回るということは非常に困難であるということをこのとき訪問してみて、痛いほど痛感しました。
それを踏まえて、今年は自転車を使用して沿線を見て回ることにしましたが、自転車を使用して回ることが非常に効率よく回れることが分かりました。
しかしながら、当日漕いだ距離は45km余りとなり、事前から体力を付けて挑戦しなければかなり難しいものであることも2月から自転車を漕ぐ中で実感しました。
それ故、3カ月弱で、45kmを漕ぐ体力を身に着けたことはとても大きい収穫だったと思っています。
また、ライトラインは道路を新設する方法で作ることから、専用軌道区間では、トラムだけでなく、自転車の高速道路としても道路整備していく方が宇都宮市としてはより良い方向に向いたのではないかと思いました。
また、来年、開業する再来年と現地を訪問することが叶うことを願っています。

3.ついに車両が登場

私が現地を訪問した数日後、5月下旬に納入されると言われていたHU300形が宇都宮ライトレール(平石車両基地)に納入されました。

車両は、福井鉄道で走っているFukuramやえちぜん鉄道のKi-bo、万葉線、富山ライトレール、岡山電気軌道MOMO、熊本市交通局のCocoroで走っているベースにした車両で、新潟トランシスが製造した車両となっています。車体長は約30mで軌道法の関係から日本国内で走らせることができる最大の長さの車両になります。
また、福井鉄道・えちぜん鉄道や富山ライトレールで、1067mmの軌間で最高速度60km/hで走っている実績があることからこのメーカーが選定されました。

4.私が作っていきたいまちとモビリティの関係

最近しばしば、テレビで高齢者の交通事故が多いことから、自動運転車の開発が行われているという情報を耳にします。
私自身は、自動運転車は解決するとは思っておらず、むしろ課題が多すぎるように感じます。
例えば、鉄道や新幹線のように、「専用空間に入ることは法律違反である」という規定があるのであれば、自動運転というのを認めるのもありかもしれませんが、日常使用する道路は、必然に人と車が共存しなければいけません。今(2021年時点)の自動運転車両の知能は2歳児の子供レベルということを最近、書籍で知り大変驚いたところです。
常識的に考えたら2歳の子供が運転する車に乗りたいでしょうか?そして、そんなレベルで直ぐに自動運転の社会が訪れると期待できるのでしょうか。

4年後の2025年には団塊の世代が75歳になり、後期高齢者が1000万人を占めるようになると言われています。
実は、公共交通に対して2000年代初頭には投資を始めて、インフラを充実させておく必要があったのですが、投資を怠った結果、現状のような状況になっています。

それでも、今からできることをできることをやっていくことが大事ではないかと思っています。

また、20代の私が、次の世代に向けてどんなまち、移動手段を提供していけばよいのか。共有していくことが大切ではないのではないかと考えています。

今までは、自動車が便利なまちづくりを行ってきましたが、これからは、歩行者、自転車、公共交通利用者(グリーンモビリティ)に優しいまちづくりを進めていく。行けるように自分の現場で日々頑張っていきたいと思います。

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