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「一生に一度は見たい」と思っていたオーロラを求めて、フィンランドを旅した

「一生に一度は見たい」テレビでよく言われたり、インターネットでよく書かれていたりするキャッチフレーズ。私もそう思っていました。「いつかは見たいよね……」と。

オーロラを見に行くことが「一生に一度」「いつか」と漠然として言われるのはなぜでしょうか。

“遠い” “寒い” “見られるかわからない” この3つの要因が「今度見に行きたい」ではなく、「いつかは見たい」と私に漠然と思わせていました。

また、オーロラの映像や写真をテレビなどで見ても、あまりに幻想的で本当にこの世に実現するのか……現実的にイメージすることができなかった、ということも大きいかもしれません。

今回は約2年前、「いつかは見たい」と思っていた私が、フィンランドにオーロラを見に行った体験をまとめました。

いつか見たいっていつ?そんなんじゃ、オーロラは一生見れないよ!

今回オーロラを一緒に見に行った友人から、私が実際に言われた言葉です。この言葉を聞いて、私はグサッと何かが胸に刺さるような感覚を味わいました。

その友人とは仲が良く、年に1回は国内外問わず、一緒に旅行をしていました。「次はどこに行こうか」と話していたとき、友人から「オーロラを見に行きたい!」と言われたのです。

正直、私はどこか現実味がなく「いつかは見たいよね」と返したところ、先ほどの言葉を放たれたのです。

「いつか見たい」と本当に思ってはいたけれど、行動に起こすまでではない、という私の気持ちを見透かされた、と思いました。

この友人の一言がきっかけとなり、私は冒頭でも書いた通り“遠い” “寒い” “見られるかわからない” という言い訳をやめ、オーロラを見に行くことを決意したのでした。

オーロラ旅の詳細は……

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(*写真はサーリセルカから北へ約25kmに位置するイヴァロ空港)

友人の一言のおかげで、私はオーロラを見に行くと決意することができました。まずここで、私たちの旅行日程をお伝えします。

行き先:フィンランド(サーリセルカ、ヘルシンキ)
日程:6泊8日(サーリセルカ3泊、ヘルシンキ3泊)
ツアー:オーロラバスツアー3日間 申し込み
旅費:航空券+宿泊費+オーロラツアー 約28万円

オーロラを見れる国としてカナダのイエローナイフが有名ですが、私たちはフィンランドに行くことにしました。

理由はとても単純で、当時私が住んでいた北海道新千歳空港〜ヘルシンキ空港の直行便が就航したタイミングだったからです。

フィンランドにはオーロラを見れる街が何箇所かありましたが、私たちが選んだのはサーリセルカという村。サーリセルカはフィンランド内でも北部に位置します。

6泊の旅をする中で、サーリセルカとヘルシンキ、半々にしたのはなぜか? それはただ単に首都であるヘルシンキにも行きたいという思いがあったからです。

せっかく行くのであれば、フィンランドを満喫したい!という誘惑には勝てませんでした。(ヘルシンキではオーロラは見られません)

インターネットの情報によるとフィンランドでのオーロラ観測率は30〜50%ほど。天候にもよるので、まったく見られない可能性もありましたが、私たちは3泊に賭けてフィンランド、サーリセルカに向かいました。

オーロラチャンスはたったの3日、でもそのうち1日が無駄になる?!

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(*写真はサーリセルカで宿泊したホテル。部屋にはサウナがあった)

サーリセルカにはヘルシンキで飛行機を乗り継いで向かいます。

しかし、ここでトラブルが起こります。なんと預けていた荷物が行方不明になってしまったのです。

手荷物にカメラは持っていましたが、オーロラを見るためのスノーボードウェアや手袋などの防寒具、撮影には欠かせない三脚はすべて預けてしまっていました。

ここで余談ですが、私も友人も趣味で写真を撮ります。

元々カメラは持っていたのですが、オーロラをどうにかして自分のカメラに収めたい!と思った私は、約20万円のレンズを買い、カメラスクールにも通いました。

ここまで準備万端にしていたのに、まさか肝心の三脚がないだなんで……。(三脚を使わないと、ブレてしまいオーロラ撮影はとても難しい)

チャンスはたった3日なのに……と悲しくなりましたが、どうしても諦めきれなかった私たちはオーロラツアーのガイドさんに相談をすることに。

まず、ガイドさんは私たち2人の姿を見てとても驚いていました。それもそのはず、私たちは長時間の飛行機移動を快適に過ごすためにワンピースにショートダウンという、軽装をしていたのです。

それでもガイドさんは「バスで移動するから、寒かったらバスに戻りな!」や「今日は比較的暖かいから大丈夫!(といってもマイナス10℃)」と優しい声をかけてくれたので、ツアーへの参加を決意しました。

オーロラ観測1日目

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こちらが困難を乗り越えて見ることのできた1日目のオーロラです。

薄く緑色のオーロラがきれいに写っていると思います。写真ではしっかり光が見えていますが、実は肉眼ではここまできれいに見ることはできませんでした。

この日のオーロラはとても光が弱く、肉眼だと正直雲なのかオーロラなのか、判断はつきません。

しかし、「まったく見れないかも!」と思っていた私たちは、このオーロラでも大満足! ワンピース姿で寒さも忘れ、三脚がない中、地面にカメラを固定して夢中で何度もシャッターを切りました。

「フィンランドに来てよかった……」「肉眼ではあまりわからないけれど、写真にオーロラを収めることができてよかった……」

ウルウルとしながら、約2時間、オーロラを満喫した初日でした。

オーロラ観測2日目

荷物がないままサーリセルカで3泊を過ごすのか……と心落ち着かなかった私たちですが、この日の夕方にキャリーケースが無事に届き、2日目は防寒具に三脚と準備万端でオーロラ観測に挑むことができました。

しかし、2日目はあいにくの曇り空……。雲の切れ目を目指して、何度かバスで移動をしたのですが、オーロラを見ることができませんでした。

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写真に収めてこの状態なので、肉眼では本当に雲にしか見えません。

せっかく三脚があるのに、オーロラが全然見られない。昨日三脚があれば、もっとオーロラを写真に収めることができたのに。

悔やんでも悔やみきれない、なんとも言えない思いが私の中でモヤモヤしていました。

オーロラ観測3日目

ついにラストチャンス。この日の空も、見上げれば雲に覆われて真っ白。今日も見られないのかな……と私の心も雲に覆われたようにどんよりしていました。

前日と同様、雲の切れ目を目指してバスで移動をし、オーロラスポットでカメラを三脚にセットし待機をすることに。

すると遠くからうっすらと光の線が……。それは1日目のオーロラより、少し強いかな?と感じる程度のものでした。その光に希望を持ち、ずっと見つめていると、徐々に光が濃くなってきたのです。

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その間わずか10分ほど。薄かった光がとても濃く、緑に輝きはじめました。カメラ越しではなく、肉眼でも、です。

さらにその数分後には1つの光が長く伸びはじめ、1つから2つ、2つから3つとたくさんの光が現れました。

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ふと反対側の空を見てみると、そこからも光が……いや、反対側どころではない。どこを見ても美しい光が夜空を照らし、気がつけば空一面がオーロラの光に覆われていたのです。

ゆらゆらと揺れ動くオーロラ。少し目を離すとすぐに形を変えてしまうため、目を離せない。瞬きするのも惜しいと思えるほど、美しい……。

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こんなにも神秘的で幻想的な空を見たのははじめてでした。ここまできれいなオーロラを目にすると、なにも言葉は出てきません。その代わり、涙がぽろぽろと目からこぼれ落ちました。

この感動を少しでも逃したくない!という思いで、シャッターを切りながら、自分の目でもしっかり見て、脳裏に焼き付ける。この作業を夢中で繰り返しました。

約3時間ほどのオーロラ観測。マイナス20℃の気温でも、寒さを感じないほどオーロラに魅了された夜でした。

言葉では伝えきれない、貴重な体験

オーロラを実際に目にして、脳裏に焼きつけて、はじめて思ったことがあります。

それは友人が私に放った言葉の通り、「いつか見たい」と思っているだけでは、一生見ることはできない。さらに見たいと思って行動に移しても、見られない可能性もある、それがオーロラというものだ、ということです。

頭ではわかっていたつもりでも、実際に自分の目で見たからこそ奇跡なんだと実感しました。

神秘的で幻想的な空、その迫力は写真でも動画でもけっして伝えきることはできない。自分の足でその場にしっかり立っていたからこそ、自然の雄大さを感じることができました。

あれから2年経った今でも、オーロラを見た感動は忘れません。

全力でおすすめしたい、オーロラ観測

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(*写真はオーロラと私と友人)

もしかすると、私はとても運がよかったのかもしれません。3泊中2日はオーロラを見ることができ、うち1つはとても光の強い、まさにテレビ番組の特集で見るような幻想的なものでした。

オーロラは自然現象で、絶対に見られる!と約束できるものではありません。

それでも、私は「一生に一度はオーロラを見たい」と思っている方には全力でおすすめします。もしオーロラを見ることができたのなら、その感動は計り知れないものだからです。

一度しかない人生、「いつか」ではなく自分の気持ちに素直に、後悔しないよう行動に起こしていきたいです。

すっかりオーロラに魅了された私。次は違う季節や別の場所でオーロラを見に行きたいなと思います。


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