8話 不幸

ルルカールはある日、幼馴染のデコを家に招いた。

ルルカールの家は豪勢であり、彼の一族は森を管理する事でその財を為していた。

デコとルルカールはチーズケーキを食べた。

ルルカールの口にチーズケーキが運ばれる。
少し酸っぱくて心地よい風味だった。

そよ風が鳴り、ルルカールの友は夕暮れに眠った。

ルルカールは眠りとはむしろ逆の心地よさの中にあった、
五感が満たされて、空間を飛び越えてしまいそうだった、

裕福な酸素に包まれ、時間の感覚すら忘れた。

彼にその瞬間は記憶はない。その場にいたものの記憶は曖昧だった。

後の資料から分かることでは、
まず、音が消えた。
音が消え、直後風と雨がルルカールという中心に向かっていった。

様相で言えばそれは黒みの中に鮮やかな極彩が携わるような、たくさんの黒を見るようで、中心にいたルルカールを見たデコは「そこには一筋の龍雲があった」と言った。
「クマや人間を超えたメタの次元の存在を神だとすれば、それは神であったのだ」と後に高名な学者は言った。

雷はゆっくりと降りてきて、その森一帯にゆっくりと不幸を落としていった。

ルルカールは龍に成ったのだった。

その数週間後にデコは死んだ。
不幸が続くのは仕方ない。

これはあくまで事実を連ねた連作だから。

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