トールマン
改札を出て、すぐにスタバがある。
スタバは人気で、朝早くてもたくさんの人がそこにはいた。
ぼくもそこに入ろうとしたけど、
サングラスをかけた人がぼくの前に立ちはだかった。
それはトールマン。
背が高くて、上からぼくを睨みつけた。
窓の外にはトールマン
黒い服着たトールマン
今日も駅からトールマン
サングラスをかけたトールマン
ぼくはギョッとしていつも逃げた。
でも、いつかそんなに怖くはなくなり、
ぼくはトールマンと毎朝、毎夜挨拶を交わすのが日課になった。
そんな時トールマンが危害を加えた。
ぼくがいつものように駅で挨拶をした時、その時、トールマンがぼくを押し、ぼくは倒れ、強く頭を打った。
ぼくは恐怖におののき、怒りに震えた。
通じていると思っていたトールマンとの仲を彼が身勝手に断ち切ったからだ。
翌日ぼくは沸騰した水をポットに入れ、駅に向かい、トールマンにかけてやった。
トールマンは苦しみもがいて、黒い服を脱ごうとした。
ぼくはそれをとめた。
トールマンには黒い服が似合っていたから。
トールマンから黒ではないものが見えようものなら、それはトールマンではなくなってしまう。
トールマンは顔を上げて、こちらを見た。
サングラスの奥に綺麗な光が見えた。その光はゆったりと時間をかけながら閉じていき、やがて見えなくなる。
そよそよと風が鳴り、木々はからからと言った。
静かで乾いた季節の中、目の前から出るアスファルトをこする音が止むのを身じろぎ待った。
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