マリは半年でサリバのパートナーたり得ることを示せるか

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マリがロンドンとブラジルを1.5往復(渡英→帰国→また渡英)しているその傍ら、サリバはサンテティエンヌのディフェンスラインに復帰し、『一流クラブ(モナコ)』相手のクリーンシートに貢献した。その『一流』相手のクリーンシートは、サリバが中足骨の負傷で離脱する前にさかのぼる。

マリやセドリックといった安価なローン選手を探して奔走した移籍市場だったが、概ね良好な結果だったと言える。不規則な冬の市場でアーセナルが大金を使えなかったという状況を加味すると、リーズナブルで短期的な守備補強が出来たという点は有意義だ。

同じく怪我人が重なり守備陣が危機に陥っていた1年前と比較すると、顕著な改善だろう。その際、アーセナルはデニス・スアレスという煌めくウィンガー(英国式皮肉)を求めたのだから。彼は、戸棚に押し込められたクリスマス電飾のセットと同じくらい有用だった(英国式皮肉)。

アーセナルは、守備を優先するクラブではない。優れたCB・大型のオーガナイザー・最終ラインの『大黒柱(Mr.Dependable)』は空欄のままとなっている。年長のルイスとソクラティスはチーム環境にカリスマ性・決断力・経験をもたらす選手として人気があるが、一方で『コピーのような』エラーをしてしまうこともある。

加えて、予算の大部分を『創造力のある』『運べる』ニュータイプなCBに費やすクラブでもない。ファンダイク・マグワイア・ラポルトは手が届かないところにいた。

したがって、アーセナルが最終ラインを変革してくれるような選手を見つけるための鍵は『ギャンブル』となる。彼らはサリバが傑出した財産となるCBに成長する可能性があると賭けている。サリバは18歳にして、既にその成熟したパフォーマンスと姿勢でファンから愛されている。まるで、自然に周囲がサリバに惹かれていくかのようである。アーセナルは、サリバが獲得不可能になる前に購入することを決断した。

サリバ獲得条件の一部に、1年間サンテティエンヌにローンバックするという内容が含まれていた。1年間待っている間にサリバの価格が高騰するという予想があったので、この条件を受け入れる必要があった。また、プレミアの重量級から離れて学ぶこの期間は、サリバのような有望選手にとって悪いことではない。とは言え、同年齢のマルティネッリが進化しているのを見ると、必ずしも慎重になりすぎる必要もないと言えるが。

サリバはこの冬の大部分を中足骨骨折で離脱していたが、仏杯モナコ戦アウェイ1-0勝利における偉大なパフォーマンスと共に戦線に復帰した。それはある意味、マリや他のDFが貢献するのと同じくらい重要なことであり、サリバの経験が遅れを取っているというわけではない。

ここから数ヶ月に及ぶマリの挑戦は、単なる穴埋めというだけではなく、来季サリバのパートナーになり得る存在であることを知らしめることでもある。それまでの間、マリはピッチ上で『ラポール』を形成するためにルイス・ソクラティス・ホールディングと理解を深めなければならない。マリはアルテタの起用における新たな選択肢になるだろう。

バーゲン価格でDFを買うことは、アーセナルでは一般的なことだ。その市場が重要で、それというのも、アーセナルはDFの『生産ライン』を有しているわけではないからである。ユースから昇格してきた若手たちを見ても、近年でファーストチームに挑んだDFは非常に少ない。今シーズンはサカとナイルズがプレイしているが、彼らはMFからポジションを移されているに過ぎない。

アーセナルの移籍金トップ10におけるDFは、ムスタフィ(望んだ通り働いているとは言えないが…)と大いなる希望・サリバのみだ。

一方で、アタッカー獲得のために予算を注ぎ込むことは極々当たり前のように行われている。アルテタの戦線4枚ファーストチョイスであるぺぺ・オーバメヤン・ラカゼット・エジルは、奇しくもアーセナルの移籍金トップ4だ。

マリは限られたリスクと限られた期待と共にチームにやってきた。夏に来るサリバとは、全く別のストーリーを有する。

原典:https://theathletic.com/1570468/2020/01/30/pablo-mari-william-saliba-arsenal-transfer/?source=shared-article

【雑感】

タイトルと内容のちぐはぐ感は否めない。マリとサリバの補完可能性を示す展開を希望していたのだが、アーセナルのDF及びその補強事情に終始していたのはやや残念なポイント。また、本文の大部分がサリバについてのものであり、マリは一体どこに?と途中で不安になるなど。もっとも、それを抜きにすればある程度網羅的にDF事情が把握できるという点は評価に値するだろう。

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