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40歳にして『男はつらいよ』にめざめる 20190826

両親が『男はつらいよ』いわゆる「寅さん」が好きで、子供の頃にテレビ放送があると両親が見ているのをチラ見していた。
家族の誰かがもしくは全員が好きで一緒に見て好きになったものはたくさんある。
しかし、どうしてもハマれなかったものが「寅さん」と『赤毛のアン』だった。
小学六年生の時に2週間ほど入院することがあり、母が『赤毛のアン』を買ってきてくれたが、15ページほどで挫折し「横溝正史か江戸川乱歩買ってきて!」と言ってがっかりさせた記憶がある。(翌日、父が買ってきてくれた)
小学4年生の時に、家族全員で行った初めての東京(地元は北九州)も、私の希望の原宿にも行けたけど、全然興味のなかった帝釈天に行き団子を食べた。

最近、仲の良い友人のお母さんが『男はつらいよ』に関するツイートをしているのを見ていて、そういえばまだ私は大人になって「寅さん」に向き合ったことがないということに気づいた。自分が加入しているamazonプライムとNetflixで検索したら、なんとNetflixで全49作観れるではないか!
これはチャレンジするしかないと、昨日生まれて初めて『男はつらいよ』第1作目を観た。

率直な感想…笑ってホロリときて、見事な「寅さん」マジックにかかってしまった。
50年前の東京の下町の風景に、過剰な笑いや涙ではなく、なんだかじんわりと来る人情劇がたまらないのである。とにかく「ホロリ」とはこういうことなのかと。
放蕩で顔立ちも整っていない兄(この理由も1作目を観て初めて知った経緯があった)に美人でしっかりものの妹(倍賞千恵子の可愛らしさがすごい)。この二人を取り巻く人々とのやりとりも絶妙で観終わった後に「いいもの観たわー」と部屋で独り言が出ていた。『男ははつらいよ』の良さがわかってしまった昨日、自分がすっかり大人になったのだなとしみじみと思った。

学生時代に「寅さん」好きの先輩が「映画だから楽しめるけど、身近にいたら大変でかなわん」と言っていた意味も納得。
うちの母の双子の兄(私にとっての伯父)が寅さんタイプの人で、16歳で家出し、いつの間にか結婚し、いつの間にか他の女性と駆け落ちし、広島で別の若い女性と再婚。再婚相手の奥さんがかなりのしっかり者で40歳手前ぐらいでようやく落ち着いた人だった。
ちなみに私が初めて出会ったときは左手の小指がなく(若い頃に板金工をやっていて機械に巻き込み切断)、その左手で謎の蛇の浸かった酒を飲んでいた。こうやって書いてみると寅さんよりも荒くれている…。
うちの母もかなり迷惑をかけられたらしいが、なんだかんだ仲がよく、後年は逆にうちの母を心配し手を貸してくれた。
それを思うと母はどういう気持ちで「寅さん」を楽しんでいたのだろうと気になってきた。帰省しても会話の少ない母と娘ではあるが、次に帰った時には「寅さんおもしろいね」と言ってみようと思う。

ちなみに『男はつらいよ』シリーズは全49作。一日一寅さんでも制覇までに二ヶ月近くかかる。しかも年末にはシリーズ50周年の50作目があるとのことでそれまでにはなんとか49作制覇したい。となると、二日に一本見ることは必須条件となってくる。年内の目標がまた一つ増えてしまった。

『赤毛のアン』に向き合ってみるのは、「寅さん」を制覇してからにしよう。 

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