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【怪談・牡丹灯籠】前半

夏場になると寄席でも怪談噺として寄席でも牡丹灯籠のうちの有名な『お札はがし』の部分が良く演じられておりますが、お恥ずかしい話があまり興味が無くてじっくり噺を聴いた事がありません
でした。つまりどんな噺だか知りませんでしたので原作に対して自分の高座に向けての考えを拙く申し上げます。

その昔、牛込軽子坂に飯島平左衛門という旗本がおりました。この平左衛門がまだ部屋住みで平太郎と言った若い頃、湯島の祭礼の日に本郷の刀屋で酔っ払って絡んできた黒川孝蔵なる浪人を切り捨てた事が因縁になって物語は始まります。

ここでは『お札はがし』に出て来る人も誰も出て来ないので何が因縁なのかさっぱりわかりません。

その後に、父親が亡くなり家督を継ぎ名前も平太郎から平左衛門に改め、奥方をさる旗本から迎えてすぐにご懐妊、産まれましたのが可愛い女の子でお露と名付けます。たいそう可愛がりお露が十六歳になる頃には可愛いから美しい娘さんになりました。ところがその年にふとした事で奥方が亡くなってしまいます。

ここでお札はがしで幽霊になって出て来るお露さんが出て来ました。年頃のお露の悲しさは無かったと思います。

すると奥方付きの女中でお國というのが大変に器量よしで如才ないという訳で、男盛りの平左衛門のお手が付きましてお妾という事になります。また奥方のいないお妾ですから、ほぼ奥方と変わらない訳です。

昔ですからお妾もよろしいでしょうが、年頃の娘のお露ですから心中穏やかではないでしょう。

すると、娘のお露とお妾のお國が仲が悪くなります。平左衛門も女の間に入ってたまらない訳で私も嫌です。たまたま都合の良い柳島の寮、いわゆる別荘が見つかりましたのでお露と乳母でもある女中お米を付けて別居をさせます。

幽霊でて来るお米さんはここで出て来ましたが、お國を別宅に住まわせた方が良かったのではないでしょうかね、可愛い娘なのですから。でもいわゆる反抗期ですかね、お露さん自ら出て行くと言ったのかもしれません。

この柳島の寮を探して平左衛門に紹介をしたのが山本志丈という男で。この男はかねてより飯島家に出入りをしております幇間医者(おたいこいしゃ)医術よりも話術を使うという訳で。どちらかと言うと患者よりもご婦人、お金をを好む気質の男です。ですので娘とお妾を離すように平左衛門に進言したのもこの男なのでしょう。また色々交流範囲も広いようです。

数いる知人の中に萩原新三郎(はぎわらしんざふろう)という色男がおります。歳は二十一。この男は父親の残してくれた根津の清水谷に貸し長屋と田畑の上がりでもって暮らしが立ちますし、浪人ですが剣術よりもうちで本を読んでいる方が好きという極内気な男です。

お札はがしでは主人公ですかね⁉︎山本志丈とは父親の代から子供の自分から知っている仲でしょうか?それとも志丈が男色家で密かに狙っているのか?それともいい歳をして本ばかりで夢中なので何とかしてあげたい親心か?

色男の新三郎を連れて柳島の寮を訪ねます。ここで初めてお露と新三郎が会ってお互いに一目惚れという事になります。美男美女の出会いでなんとなく落語らしくないで演じづらい。女優さんなら誰をキャスティングしまするのかなかなか難しい。

新三郎を取り敢えず吉原へ連れて行った方が良いような気がしますが、新三郎が毛嫌いするからか、ご婦人に興味を持たせる為なのでしょうか。でも二人をくっつける為とは思えないですよね、旗本のお嬢様と浪人ですから身分が違い過ぎますしね。

さて、萩原新三郎の方はお露さんと初めて出会い別れた後、あまりにお露の事を思い詰めて恋煩いの新三郎。ここに畑を耕したり、身の回りの世話をして家賃タダで暮らしている伴蔵とおみねの夫婦がおりまして、伏せっている新三郎を心配して、釣りに誘いましたその釣船の上で新三郎は夢を見ます。それはお露とめでたく結ばれて、香箱を受け取った所で父親の平左衛門に首を斬られるという嫌な夢で、ですが夢なのにお露から形見としてもらった香箱だけが実際に手元にあるという不思議な夢を見ます。

後で幽霊が出るくらいですからこれぐらいは有りでしょう。ちなみに香箱というのは身分の高いお嬢様の嫁入道具として持たされたものだそうで。またこの香箱が亡くなった母上から譲り受けた物なんですから、これをもらった新三郎は夢でもその時は嬉しかったでしょうけど。原作では香箱の蓋を渡すのですが、これは二人で半分に分けた解釈なのか?私はそっくり渡す形にしました。

同じ頃、飯島家に新しい奉公にがやって来ました。名前を黒川孝助と言いまして歳は二十一で誠に誠実ないい男です。ところが孝助から話を色々聞くとなんと孝助の父親が黒川孝蔵である事を平左衛門は知ってしまいますが、孝助はそれを知らずに誠心誠意殿様に尽くします。

いきなり因縁が効いて来ましたね。なぜ飯島家に来たのか?殿様である飯島平左衛門が剣術の達人なので剣術を習いたいからという訳ですけど、どこに縁が転がっているかは本当にわからない所です。

この飯島家では妾になったお國が殿様の留守に隣の旗本の次男坊の源次郎とよろしく密通をしております。どうしてか?殿様よりもっと若い男が良かったのか?源次郎は素行不良で勘当寸前の所を親類の平左衛門に助けられている位の不良な男です。

昔、好きな女の子がことごとく不良系の男子を好きだったのを思い出しますが、そんな所が女心をくすぐるのでしょうか。

その上、今度 殿様平左衛門と源次郎が一緒に釣りに出かけて時に、船から泳げない殿様を突き落とし溺死させ亡き者にして、源次郎を養子にして家まで乗っ取ろうという計略を立てている所を孝助に聞かれてしまいます。これはいけないというので、殿様の前に孝助を亡き者しようとお國と源次郎は考えます。

お國は悪い女になってます。元々出世欲が強くて平左衛門を色仕掛けで落としたのでしょうか?こういう人間になるには過去お國に何があったのか?見かけも仕事ぶりもいい女だと思うのですが私も対比の為にちょっと嫌な女にしてしまいます。

明くる日この事を孝助は証拠も無いので殿様に言えないでおりました。そこへ忠義の孝助へ知り合いの相川家から婚礼話が飛び込んで来ます。平左衛門も喜び早速結納という事に決まりましたが、孝助はそれどころでは無く何とかお國の悪事を殿様にお知らせして殿様をお守りしたい一心でございますが、言えばよいのにと思ってしまいますが、証拠も何もないのにむやみやたらには言えない訳で、証拠探しでもしたらどうですかね。

一方お國と源次郎は、結納の帰りに孝助を一人にした所を金で頼んだ中間に殺させようと企みますが、あまりにも孝助の剣術が上達していて返り討ちにあってしまい。孝助暗殺の計略は失敗してしまいます。

孝助をやっける計略は源次郎案なんですけど、同じ金で雇うならもう少し強そうな浪人か何かなら孝助も危うかったと思いますが、この頼まれた中間が後で出てくるから驚きます。

さて、ますます思い詰めている新三郎です。柳島に行ったのが2月そして3、4、5、6月になって久しぶりに山本志丈がやって来ていきなりお露さんが死んじゃったと聞かされて益々滅入ってしまいます。しかも自分に恋焦がれて死んでしまったとは重いですな。

その年の7月13日の大盆。新三郎は迎え火をして精霊棚にはあの香箱を備えてお念仏。夜も更けてぼんやりと月を眺めていると、八つの鐘がゴーンと鳴り響くと、清水の方からカランコロンカランコロン…こんな夜更けに駒下駄の音で、誰かと思えば亡くなったと聞きいたお露さんとお米さんですから新三郎は驚きます。

訳を聞けば仲の悪い妾のお國が仕組んで山本志丈にそう言わせたと言う。また新三郎の事を殿様に告げ口をしたので殿様はお怒りになるが、お露さんは強情を張り柳島を追い出されて今は二人で谷中の三崎の長屋に移り住んでいて、今日はお盆で方々お参りをして遅くなったと言う。

気の毒に思いますよね、夜も遅いし自分うちも部屋があるから新三郎は二人を泊めてあげます。ここでお米さんが見守る中をお露と新三郎が結ばれて、七日の間雨の日も風の日も訪ねて来て夜が明けないうちに帰る事が続きます。

じっと見守るというより、外に出るとかしたんですかね?それともお露さんはお嬢様だからお付きのお米がいるのが当たり前だったのか?新三郎にしたらやりずらいから次の日からはお露さん一人でいいとはいえないのかな、お嬢様ですからね。

19日の晩に夜遅くに便所に起きた伴蔵が情事を覗き見して、驚く訳です。

驚いた伴蔵が、同じ長屋に住む新三郎の叔父代わりでもある人相見の白翁堂幽斎に話をすると、幽斎と契りを結べば必ず死ぬ、そうであれば死相が出ると言うので、新三郎の人相を見るとバッチリ出ている。それでも新三郎はお露さんと一緒になりたいと言う。

これは初恋だからですかね。身分も、育ちも違うし、まして死んでしまったのですから諦めるよか仕方が無いはずですが、諦められない気持ちですかね。昔から恋は盲目ということでしょうか。ここが私とは違うのです。私は昔からなんでも諦めるタイプなので、この辺りを演じるのは難儀です。

そこで困った白翁堂幽斎は実際に山谷の長屋にそのお嬢さんがいるのが確かめさせます。確かめてみたらそんなご婦人の二人暮らしはどこにも居ない事がわかり、たまたま通り抜けたお寺にお露とお米のお墓まである事に気がつきます。ここで新三郎は現実を突きつけられる訳ですが、目覚めるかと思えば目覚めず、それでも一緒になりたいと言いいだす始末で。こうなると神経病で今なら即入院させた方が良いでしょう。あ、でも幽霊が病院まで来るか。

白翁堂幽斎は幽霊避けを知り合いでもある良石和尚に頼みます。この良石和尚は博識の念仏行者という事ですが霊感も強かったのでしょう。ここで、死霊避けにお札と海音如来という四寸二分の金無垢の仏像と雨宝陀羅尼経という経本を授かります。入口という入り口にお札を張り、仏像を肌身離さず身につけて、お経を唱えております。お札は演目になるくらいですし、金無垢の仏像も重要なアイテムなのですが、このお経だけ難しくてさすがの本好きの新三郎もなかなか読めないというだけのアイテムなので私はお念仏にしております。なんとか後にも効くようなアイテムにしたいですが、今は思いつきません。

その晩にまたお露とお米がやって来ますがお札が張ってあるので入れません。ここでお露の嘆き、願いがあります。

ただひたすら会いたい、会いたい、どうかお札をはがして中に入れてください!と

これを戸の隙間から見ると、美しいだけになお恐ろしいという。見てしまった新三郎の苦悩も有ると思います。

見せ場で有るとは思いますが、上手い演出が思い浮かばず、セリフを言う時に女の声色から声を時折低くしてもののけ感を出して見ました。

お米はお露を諭すんですね、『心変わりをしたのですからそんなに奴は諦めましょう!』と…ここもお米はお嬢様を思っての一言ですが、お露は『嫌だ、どうしても会いたい!』と。ずっとこの我儘に付き合ってきたのでしょう。するとそれではとお米は思案するんです。伴蔵の存在を除かれた時に知っていたのか、それともたまたまなのか伴蔵の所に『お札をはがしてください。』と掛け合いに行きます。おみねの知恵で百両くれるならはがすと伴蔵は条件を出します。お札をはがしてしまえば新三郎はあの世に連れて行かれてしまうのに、お金の方を取ってしまうんですね。欲というとは恐ろしいものでとなります。

お米は百両をどうするんだろうと思っていたら、ちゃんと原作にはありました。飯島家に取りに行き、あくる日の晩にまた伴蔵おみねの所にあらわられるのですが、幽霊なのですぐ行って帰って来れないのかな⁉︎とここは短縮出来る所かも知れませんけど、種明かしは後半で。









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