れいゆ大學①② 《お伽話》オズの魔法使いとその後の泣いた赤鬼
ドロシーとカカシとライオンとブリキは冒険の果てに、オズの魔法使いのお城に辿り着いた。
カカシは脳を、ライオンは勇気を、ブリキは心を欲しかった。
オズの魔法使いはブリキに《ハート型の時計》をプレゼントした。
ブリキには最初から心があったから。
オズの魔法使いは、心を持っていることを認識できるようにブリキに時計をあげた。
「脳みそがなくても、おしゃべりさ」とウィットに富んだジョークを言えるカカシには脳があり、「羊が怖いから、羊を数えてじゃ眠れないよ」と言うライオンは勇気があって自信が足りないだけだった。
そしてすべては夢で、カカシもライオンもブリキも、ドロシーの家で働く人たちだった。
4人目の奉公人は、赤鬼だった。
赤鬼はドロシーたちに語り出す。
「私はブリキさんみたいに、心が欲しかった。そして、ブリキさんみたいに最初から心があった。ところが私ときたら、私の犠牲になった青鬼に会いに行かないまま、嘘の中で人間たちにちやほやされて暮らしている。私には確かに心があるだろう。私に足りないのは愛だ。私は愛が欲しい。愛されることばかり考えてきてしまった。人を愛する力を欲しい。私もオズの魔法使いのところに連れて行っておくれ」
するとドロシーは呆れて言った。
「それは夢の中の話よ。いまは現実なんだから。アニメでも映画でもないわ。竜巻だって起こってないし」
ブリキが言う。
「僕たち人間の姿をしてるでしょう。カカシやライオンやブリキになっていたのは夢の中だけですよ。あなたも鬼じゃなくて人間のはずです。だいいち日本風だし、ヘンテコですね」
「でも確かに私は赤鬼なんです」
すると突然、カンザスに竜巻が起こり、光の中から声が響き渡った。
おしまい♡
🐯ホームページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?