「わたしの好きな歌」



さくらももこさんの作品は小さな頃から読んでいて、特にちびまるこちゃんは、
文庫本サイズの黄色いコミックスを全9巻、繰り返し繰り返し眠たくなるまで読んでいた。
水だか麦茶だかをこぼしてブヨブヨになっている巻もある。

このタイトルの話を始めて読んだ時、
ものすごく泣いたのを覚えてる。
もうまるちゃんの年齢から、絵描きのお姉さんくらいの年齢になってしまったなぁと
可愛い可愛いまるちゃんを見てて思う。
お姉さんはどんな気分でまるちゃんに接していたのかな。

たまに路上で似顔絵を描きながら、少し働いて、コンクールに出す絵を描いて。
そんなお姉さんに憧れていたな。
すごくお金を持っていたり社会的に立派なわけじゃないかもしれないけど、優しくて、綺麗で、芯の通っている人。
魔女の宅急便に出てくるウルスラみたいな。
つい何か相談したくなるような、でも答えをくれなくてもいいような、そんな人。

あんなちっちゃいまるちゃんに懐かれたら、私だって泣いちゃうよ。
馬の絵なんて何回でも教えちゃうよ。(描けないけど)



さくらももこってなんでこんなにあったかいんだろう。
日常の些細なことに対して、ユーモアだったり空想だったり愛だったりを交えながら描く。くだらない毎日が愛おしいなって思える。きっと小さいながらにも、そういう愛と笑いを彼女の漫画からもらっていたのだと思う。


わたしの好きな歌。


私だったら、何だろう。歌なんて、好きなものがありすぎてもうどうしたらいいのかわからないレベル。
まるちゃんみたいに合唱曲にするなら、心の瞳かなぁ。洋楽なら、シンディローパーのTime After Timeかなぁ。いや、もっとありそうだな。
でも、やっぱりあれかな。口笛。

口笛はミスチルの曲なのだけど、
(ミスチルは好きすぎて私の骨身まで全楽曲が染み付いている。)
とっても好きなのに、
ここが好き!!と即座に言えないのだ。

「好きな人の、好きなところってどこ?」と聞かれるのと似ている。
聞かれると、うまく答えられない。
だけど、ものすごく好きなのだ。

暖かい雰囲気とか、とにかく愛が詰まっている感じが、1日の終わりに湯船に浸かるようなじんわりした安心感になって、私を包み込む。
直接温度を感じられる。そして安心する。
そんな曲。


まるちゃんみたいに、私も好きな歌の絵を描いてみようかな。
それともまるちゃんを描こうかな。

ネットフリックスでアニメを観れたことに感謝を申し上げ、私も絵描きのお姉さんやウルスラのような人でいるべく、
今日もちょっとずつ唇を震わして音を奏でるのであった。

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