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2023.5.21 酔シグレ1st event 『吟遊詩人の追想録』を終えて


今回のイベントの基になったアルバム「吟遊詩人の置き手紙」
考案書を見せてもらった段階でなんかドキリとしたのを覚えている。
詠の設定が、数年前、音楽に囚われていた私自身がほとんどそのままそこに記されていたから。
もちろんその時期の話も香音ちゃんに出会って仲良くなった頃、彼女にも打ち明けた内容だった。

少しずつまた音楽をやっていこうと踏み出した頃だった。

あることがきっかけで香音ちゃん、樹里さん、Hちゃんと知り合い、そこから私も皆に刺激を受け、今では表に立って歌うことに対する過去のトラウマ的なものも乗り越えられたが、

音楽に悩み囚われていた当時は、
まだ見える世界が狭く、理想を込めて創り上げた“本宮瑠華”という人物像そのものが私には馴染まないものばかりで、人間味のない機械的な歌い方しか出来なかった。

音楽が手につかなくなったのも、他者から見れば、大した事ではないものばかりで、理想とプライドだけが無駄に高かったのだと、今では自分の弱さも笑い話に出来るくらいにはなった。

過去の全てが、今の私を作り上げている。
それはどこかで理解していたのだが、
不意にこの考案書を渡され、
…あぁ。あの時の不幸を幸に返す時が来たのだと、そう思った。
彼女となら、この作品を作り上げた時、ようやくあの日の自分に区切りをつけられるのではないか、と。

まだ全てのストーリーが完成される前にレコーディングが始まって、企画書/歌詞カードにはおおまかなあらすじと、曲ごとの細かな設定が記されていた。
レコーディングのために曲と、歌詞から背景を深く読む。毎回のように過去の思い出がそこにあって、目を逸らしていたものに向き合う時間が増えた。
ようやくアルバムが完成して、小説を初めて読んだ時。何度涙したかわからない。
詠が語る想いのシーンは特に楽曲制作中の思い入れもあってより沁みた。
ライブではそれぞれの曲をレコーディング時より理解を深めて臨んだので、一層、詠の心情に寄り添って歌うことが出来たし、それを少しでも感じてもらえていたら良いなと思う。

アルバムの発送作業を手伝っている時に、こんなに沢山の方が楽しみにしてくれている作品に参加できた事への感動や、皆さんの手元に届いた時どう受け取ってくれるのだろうか、というドキドキがあって。
作品が公開されたあと、多くの方がそれぞれの楽しみ方で作品を受け取ってくれたことや歌った曲を好きだ!と言ってくれることが何より嬉しかった。

その後、今回のイベントの企画案が来た時、
香音ちゃんから「朗読劇みたいな形にしたいんだけど...」と言われて、

正直「おい、待てよ…⁈」となった、
しっかり声に出して言ったかもしれない…。笑
というのも、そもそも“お芝居”というものに対する、私の中での高いハードルと、歌う時には感じない気恥ずかしさというものがレベルマックスに感じて、
「たのむ、、、歌だけやらせてくれ、、!」
とどんなに叫びたかったか…、、、笑

実際、第一回目の初読み合わせの棒読み加減は恐ろしかった。共演者の皆を心底不安にさせたことだろう。
それぞれ何かしらの経験や声劇そのものを好きだったり、それを基に自身の担当するキャラクターを初回からほぼその通りに再現して来た皆に純粋に感心したし、
いくら初心者、未経験とはいえ、自分だけこのままではダメだな、と改めて思わされた。
決まってしまった以上はやるしかない。と
腹を括った。

幸いなことに身近に信頼できる声優の知人がいて、
企画が決まった段階ですぐに泣きつく形で指導依頼をした、何度か時間をとって指導をしてもらううちに、
演技に対する奥深さや、声だけで表現する、ということがいかに難しいものなのか、改めて思い知った。
やる前は全く気にしていなかった息遣いや、表現方法も、私が歌を歌う時に深掘りすることと似通った部分もあり、少しずつ楽しいと思えるようになった。歌以上に練習もした。多少なりと成果は出せていたとはおもう…がんばった。笑

あとは純粋に香音ちゃんとなら、今までやって来なかったものにも臆せず挑戦できる機会かもしれない。と謎の勇気が湧いてきて、不思議だった。
それは多分、香音ちゃん自身が、常に新しい事に挑戦して、成し遂げている姿を身近に見せてくれるからかもしれない。
自分も出来ることを増やしてみよう。やってみたら意外と楽しいかもしれない。と思わせてくれるのも彼女の魅力だと思う。
作中、詠が時雨に抱く憧れと尊敬心は私が香音ちゃんに抱いているものと似通った部分でもあると思う。

でも、彼女のキャパは普通ではないので、真似できるものでは到底ないのも理解している。笑

今回も、イベントの企画、運営の他に、ライブ用の楽曲・BGM制作、シナリオ制作、グッズ制作、スクリーン動画の制作、物販対応、打ち上げ会場準備、そして演者、等
まだまだ挙げたりないくらいの事をほぼ2ヶ月弱で1人でこなしている上に、リハ日の朝から数日間友人夫婦宅の飼っている鳥ちゃんに、夫婦が不在の間餌やりまでこなして来ていたのだ。もちろん当日も…笑(私は、初ワンマンの当日にそんなことしてる人を過去に一度も出会ったことがない…。)

そんなスーパーウーマンの彼女も1人の人間なので、もちろん天然な一面なんかもある。
それをかましてくれた時にはなんかとても安心するし、頼ってくれた時は可愛いなぁと思うし、ちゃんと彼女の頑張りを見て、私は私なりに彼女を解っていてあげていたいなと思う。

彼女が私を信頼して楽曲の歌唱を託してくれたり、何かを共に作り上げられることは私としてもとても光栄なことで、
今回のアルバム、そしてイベントで私の過去を、ひとつの作品として昇華してくれたことにも本当に感謝している。

実際めっちゃくっちゃに悩んだ結果、
今回のイベント会場に、当時私が大変迷惑と心配をかけてしまった、某事務所関係者の方をご招待でき、大変タイトなスケジュールの合間を縫って途中からではあったが、来て頂くことができた。
途中、後方に座っている姿が見えて内心グッときたものはあったが、
今の私は元気に音楽をやれているよ!と見てもらうことができたし。相変わらず歌声がいいね。よかったですと。嬉しい言葉もかけてもらえて、再度ゆっくりお話をさせて頂ける事になった。

私や詠のように音楽でなくても、何かしら夢を抱き、そこへ向かおうと必死に歩んできた物のある人なら、同じ気持ちを抱いた経験も少なからずあるんじゃないだろうか。

好きな物で輝いていたはずなのに、いざその道を極めようとすると醜くなっていく自分への嫌悪、他人への劣等感、自分への過度な期待、絶望して世界が狭くなる感覚、何処へも吐き出せない苦しみや、理解して欲しいのに分かり合えないと閉じこもってしまう事。

でも好きなものはどこまで行っても変わらないのだ。
現に、私も詠も、音楽で苦しんだのに、音楽と、音楽を通じて知り合ったことや人や物に救われた。

詠が後編にかけてどうなっていくかは作者の香音Pに委ねられているのだが、
現実の私は、香音ちゃんしかり、樹里さん、Hちゃん、声優の知人、周りの皆に出会って変えられて、支えられて、
そして今回初めて共演させて頂いたルシアンヌ、うららちゃん、みょんちゃん、スタッフの方、そして作品を受け止めてくれた皆がいたから、イベントをやり切ることができたし、あの時から沢山時間は過ぎてしまったけれど、無駄ではなかったと今ならそう思える。

思いの丈が強すぎて、ここまでの長文になって内心自分でも引いているが、それほどまでに、私の人生においても、今回の事は大きな糧となった。
演者の皆にもそれぞれ沢山学ばせていただいた事があって、それはTwitterの方で語り尽くせたらなと思う。

最後に関わって下さった全ての方に、
そして何より色んな物に繋げてくれた香音ちゃんにとっても感謝しているよ。
素敵な機会と縁を本当にありがとう。
皆様も作品と私の歌声と出会って、
愛してくれてありがとう。
音楽は私の生きる糧です。

後編も全力で向かいたい所存…!!
がんばるでーぃ( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧


詠役 本宮 瑠華

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